粗視化ポテンシャルの評価
ポリブタジエンの粗視化分子動力学(Coarse-Grained MD)計算を実施しました。その際、J-OCTAの機能を用いて、全原子MDの結果から粗視化ユニット間の結合長・角・二面角の分布を評価し、粗視化ポテンシャルを決定しました。さらに、バルク状態でのポリマー構造の評価や、リバースマッピングによる全原子構造の再構築を実施しました。
解析・利用例のポイント
- 粗視化ポテンシャルの推算
- バルク状態でのポリマー構造の評価
- リバースマッピングによる全原子モデルの構築
粗視化ポテンシャルの評価
J-OCTAの粗視化モデリング機能を用いて求めた粗視化ポテンシャルを用いて、ポリブタジエンの孤立鎖(真空中に一本のポリマー鎖が浮かんでいる状態)の粗視化MD計算を実施しました。そのうえで、粗視化ポテンシャル推算に用いた孤立鎖の全原子MDの結果と比較しました。粗視化ユニット間の結合長、結合角、結合二面角の分布を比較したところ、概ね一致しています。

粗視化ポテンシャルの評価
バルク状態のポリマー構造の評価
重合度Nを変えたバルク状態でのNPTアンサンブル計算により、慣性半径と末端間距離の二乗の比がNを大きくすると6に漸近することが確認され、高分子理想鎖の特徴が得られた。

バルク状態の高分子鎖の構造(慣性半径と末端間距離)
全原子モデルへのリバースマッピング
リバースマップ機能を用いて、粗視化MDの緩和計算結果から全原子モデルのモノマー構造を結合軸の方向が合うように配置し、より緩和された全原子MD構造を作成。

粗視化モデルとリバースマップ後の全原子モデル
参考文献
- J. Chem. Phys., 116, 8183, (2002)
- Macromolecules, 42, 791, (2009)
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