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異方性複合材料のシミュレーションとその応用について

大畠 広介 (株)JSOL エンジニアリング事業本部

2021年7月 「MATERIAL STAGE Vol.21, No.4 2021」掲載

1. 異方性複合材と均質化法による物性予測

2種類以上の異なる材料を組み合わせた材料を複合材料と呼ぶが、繊維強化樹脂を代表として、現在、あらゆる製品で使用されている。複合材料のメリットは、添加物・フィラーの配合量や組み合わせを調整することで、樹脂の特性を改善し、必要な特性を持つ材料を低コストで得ることができる点にある。複合材料の特性は材料の種類や組み合わせだけでなく、フィラーの分散構造などのミクロ構造にも起因しており、単純な複合則では予測できない場合も多く、材料や製品の設計・開発を効率よく進めるためには、シミュレーションを用いてミクロ構造を考慮した予測を行うことが重要となる。特にガラスファイバーや炭素繊維、セルロースナノファイバーなどのアスペクト比の大きいフィラーを配向させることで材料に異方性を持たせ、希望する方向により強い特性を持たせるといったコントロールを行うことが可能であるが、そうした材料の特性評価にはシミュレーションが有用である。

複合材料の物性を予測するためには、均質化(Homogenization)と呼ばれる手法を用いることが多い。これは、基材およびフィラー単体の材料特性とそのミクロな構造を用いて、複合材としてのマクロな材料特性を予測する手法である。均質化の手法には大きく分けて二つあり、一つは平均場法、もうひとつは直説法である。弊社取り扱いの複合材料向けの物性予測ソフトウェアであるDigimatではそれぞれDigimat-MF, Digimat-FEが対応する。平均場法の代表的な手法の一つは等価介在物法であり、ミクロ構造と複合材料物性の関係が解析的な式として落とし込まれているため、 ユーザーは基材・フィラーの材料特性やミクロ構造をパラメータとして与えることで高速に非線形材料特性を計算することが可能である。そのため、製品部品の評価を行う際にも、構造解析ソルバーの材料モデルとして組み込み連携解析を行うことが可能である。一方の直接法では、実際に複合材料の微細な構造の3次元モデルを作成し、そのモデルを用いて有限要素法解析を行うことにより、複合材料の物性を予測する。3次元モデルの作成と有限要素法解析を行うため計算時間がかかるが、平均場法では考慮できないような複雑なミクロ構造でも材料特性を評価することが可能である。以下、それぞれのシミュレーション手法と異方性材料への適用例について説明する。

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