ARUP softwareの機能
自動車衝突解析に携わるエンジニアのための多くの機能を搭載
ARUP softwareは、PRIMER、D3PLOT、T/HIS、REPORTERの4種のプリポストで構成されています。いずれも、LS-DYNAで自動車衝突・乗員安全解析を行おうとする利用者にとって有用な、多くの機能を備えています。
PRIMER
LS-DYNA専用のプリプロセッサーです。ほぼ100%のキーワードに対応、豊富なチェック機能を備えています。複雑な参照関係を網羅しているため、信頼性が高く、データロストや参照関係の破壊を防ぎます。また、自動車安全解析に特化した豊富なツールにより、モデル作成の工数削減を実現します。
PRIMERの主な機能
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- 乗員ダミーモデルのセッティング
- PRIMERには乗員ダミーモデルの位置をセッティングするための様々な機能があります。シートフォームの圧縮を考慮した位置合わせや、ダミーモデルの位置の変更に合わせて自動的に再計算されるシートベルトのフィッティング機能などが含まれます。
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- エアバッグ折り畳み
- PRIMERのエアバッグ折り畳み機能は様々なタイプに対応しており、3Dエアバッグも取り扱えます。歪みやめり込みなど、最終的に折り畳まれたエアバッグモデルの品質をチェックする機能が備えられています。折り畳みのパターンデータをキーワードファイルに紐づけて保存しておくことで、モデルの更新への対応が容易になります。
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- 結合定義の作成・管理機能
- スポット溶接、ボルト、ジョイント、接着剤などの結合定義を、すばやく簡単に作成できます。
"Connection Table" により、結合定義状況の確認や変更が可能です。 作成した情報をキーワードファイルに紐づけて保存すれば、モデルの更新への対応も容易にできます。 また、外部ファイルに書き出して別のモデルに適用することもできます。
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- 自動ポジショニング機能
- 従来多くの工数をかけてきた各モデルのアセンブリ、すなわち車体、バリア、インパクター、ダミーなどのモデルの結合を自動化する機能です。ポジショニングファイルやテンプレートファイルにより、計算ケース分の解析データを自動的に作成します。
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- ユーザーカスタマイズ
- ユーザー独自の手順に合わせて、PRIMERをカスタマイズすることができます。例として、JSOLが提供しているエアバッグ折り畳み専用ソフトウェアJFOLDは、PRIMERのカスタマイズ機能を用いて独自に開発したものです。JFOLD詳細はこちら
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- エラーチェック機能
- LS-DYNA実行モデルとして矛盾がないか確認する機能です。エラーとワーニングの区別、ツリー構造による表示の整理、ユーザー独自のエラークライテリア設定などが可能です。さらに、グラフィック上にエラーの原因となっている要素などを表示するため、エラー修正をより効率的に行うことができます。
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- 設定のアニメーション表示機能
- *BOUNDARY_PRESCRIBED_MOTION および *BOUNDARY_PRESCRIBED_FINAL_ GEOMETRY の設定内容を、PRIMERでアニメーション表示できます。 動作が正しく設定されているか容易に確認することができます。
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- グリッド表示機能
- 2Dならびに3Dのグリッド表示ができます。サイズ確認や位置合わせに便利です。
PRIMERの機能一覧
- ・キーワード間の参照関係を何階層でも表示・編集できるCross Reference editor
- ・形状的に関連付けられているデータを次々と表示するAttached機能
- ・要素だけでなく*CONSTRAINED、*LOADなど様々なキーワードをエンティティとして管理、表示
- ・プリ画面で必要な物理量をコンター/ベクトル表示
- ・パネル板厚 | 材料降伏応力 | 時間増分 | 初速度など
- ・解析を実行する前に接触不具合を検出・修正できる接触めり込み検出機能
- ・モデルの一部あるいは全部の重量・重心・慣性モーメントを任意に調整できるAssign Mass機能
- ・モデルの単位系変換
- ・ダミーポジショニング
- ・シートベルトフィッティング
- ・エアバッグ折りたたみ
- ・スポット打点
- ・FMHポジショニング
- ・ひとつの車両データから複数の解析仕様を作成するモデルアセンブリ機能
- ・さまざまな処理を自動化するスクリプト機能
- ・JavaScriptデバッガー
D3PLOT
LS-DYNA専用のポストプロセッサーです。多彩な描画方法に対応し、高速なポスト処理が可能です。
D3PLOTの主な機能
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- 実験写真・動画との重ね書き
- 解析結果の変形図やアニメーションを表示する際の背景に、実験の写真や動画を使用することができます。モデルを見る角度を背景の写真に合わせて調節する機能や、モデルアニメーションと実験動画のタイミングを同期する機能が備わっています。実験と解析結果との比較に非常に有用です。
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- 高速アニメーション
- 画像表示のアルゴリズムを見直すことにより、アニメーションの表示が大幅に高速化されています。また Coarsen機能により、モデルのスケールにより表示上のメッシュの粗密を調整し、たとえば車両全体の挙動の把握などではメッシュを粗く表示しつつアニメーションを高速に表示することができます 。
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- T/HISとのリンク
- D3PLOT内にT/HISを取り込み、時刻歴グラフとアニメーションを同時に表示できます。グラフ上の、たとえば進入量が最大値をとる時刻をピックすることによりアニメーションをその時刻で表示するなどの工夫が諮られています。
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- マルチウィンドウ
- 複数のウィンドウを開いて、別々のモデルを同時に表示します。それぞれの表示内容は個別に設定することができます。
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- 並行断面図
- 断面表示機能が拡張され、並行断面図の表示が可能になりました。
D3PLOTの機能一覧
- ・コンター図・ベクトル図など物理量の分析のための描画
- ・断面描画・視点固定描画など衝突解析特有の描画処理
- ・複数結果の同時描画・重ねあわせ描画・シンクロナイズ
- ・BMP・JPEGなどへの画像保存
- ・MPEG・AVIなどへのアニメーション保存
- ・各部材の表示/非表示・透明化・色の変更などを簡単に行うクイックピック機能
- ・変形モデル上でのメッシュ/形状データの表示
- ・局所座標系による計測
- ・さまざまな処理を自動化するスクリプト機能
- ・JavaScriptデバッガー
T/HIS
LS-DYNA専用のグラフプロセッサーです。処理を自動化するスクリプト機能も備え、処理工数の大幅な削減が可能です。
T/HISの主な機能
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- 複数のグラフの表示
- 複数のウィンドウでグラフを表示できます。どのウィンドウにどのグラフを表示させるかの設定は簡単です。グラフウィンドウはマウススクロールで自由に移動することができます。
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- FAST-TCF
- T/HISの定型処理を自動実行させるスクリプト言語です。ほぼ100%、T/HISのコマンドに対応しています。T/HISのオペレーションにあわせてスクリプトを保存できるため、エディタでの編集は必要ありません。一般的にグラフ処理は同じ作業を繰り返すことが多いため、FAST-TCFにより、効率よくポスト処理を行うことができます。
T/HISの機能一覧
- ・四則演算・微積分など数学関数による処理
- ・SAEフィルタ処理
- ・HIC・NIJなどの傷害値計算
- ・D3PLOTと連動することによりアニメーションとグラフのシンクロナイズ
- ・CSVファイル出力
REPORTER
D3PLOT、T/HISと連動した解析結果処理ツールです。ひとつの仕様に対して複数の解析が必要な場合(FMH、歩行者保護、ストカスティック解析など)に威力を発揮します。
REPORTERの主な機能
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- D3PLOT,T/HISとの連携
- 解析レポートの書式を定義して、D3PLOTの変形図/コンター図、T/HISの各グラフなどを自動的に貼り付けます。
D3PLOTやT/HISは自動的にREPORTERから実行されます。
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- Built-In Library of Scripts
- 事前定義されたプログラムによりキーワードや結果ファイルから実行に関する情報を抽出し、レポート内の任意の位置に挿入することができます。歩行者衝撃やUS-NCAPのHIC等高線図のような複雑なプログラムも含まれています。
REPORTERの機能一覧
- ・テンプレートによる各解析結果処理の一括自動処理
- ・LS-DYNAが出力したd3hspファイルから特定のキーワードを検索して記述
- ・Microsoft Power Point, PDF, HTMLファイル出力
動作環境
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- ※ARUP software の開発元は、Ove Arup & Partners (英国)です。
- ※LS-DYNA は米国 Livermore Software Technology, LLC の登録商標です。
- ※このサイトに掲載されている一部の車体モデルは NCAC/GWU の提供です。
- ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。