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【Seminars and Events】セミナー・イベント

ユーザー会 / 技術交流会

LS-DYNA Users Week 2005

プログラム

2005年11月30日(水)

9:30- 受付
10:00- 開会挨拶
10:05- 【特別講演】
Recent Developments in LS-DYNA(1)
Livermore Software Technology Corporation (LSTC) 社長 , John O. Hallquist氏
11:05- 【招待講演】
シミュレーション文化と未来設計
独立行政法人 海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター センター長 佐藤 哲也氏
12:05- 昼食
13:35-
15:15
開発設計トラック Ⅰ 生産設計トラック Ⅰ
長周期地震動による大容量石油タンクのスロッシング挙動解析と安全性評価
東電設計株式会社
火力本部
保延 宏行氏
CAEを活用した自動車プレス部品生産におけるエンジニアリング活動
株式会社豊田自動織機
工機事業室 型技術室
プレス技術グループ シニアスタッフ
鈴木 直守氏
LS-DYNAによる車両の旋回および制動のシミュレーション
日産自動車株式会社
総合研究所 第4技術研究所
福島 達也氏
2輪車開発におけるプレスシミュレーションの活用
株式会社本田技術研究所
朝霞研究所 CIS
研究員 荻野 孝氏
Railway Vehicle Crashworthiness: A Review of System Performance from LS-DYNA Simulations of Real-life Impact Scenarios
Ove Arup and Partners Limited
Director Richard Sturt氏
日本総研による板成形シミュレーション・ツールの開発 -JSTAMPとHYSTAMP-
株式会社日本総合研究所
エンジニアリング事業本部
麻 寧緒
構造物への鉄道車両の衝突が与える影響に関する研究
大阪大学
教授 橘 英三郎氏、久森 崇彦氏
並列計算システムによるプレス成形解析の活動とその精度向上
菊池プレス工業株式会社
開発本部 常務執行役員
宮本 豊氏
15:15- コーヒーブレイク
15:35-
16:50
開発設計トラック Ⅱ 生産設計トラック Ⅱ
熱可塑性エラストマーの製品設計におけるCAE解析の適応
東洋紡績株式会社
高機能化成品開発研究所
部長 山下 勝久氏
アルミニウム合金製造メーカの板成形シミュレーション技術の現状
住友軽金属工業株式会社
研究開発センター 第1部
構造解析グループ 主任研究員
山田 賢治氏
新しいアワグラスコントロールを使ったタイヤ解析
株式会社ブリヂストン
タイヤ研究部
主任研究員 大沢 靖雄氏
逐次バーリング方式による分岐管成形技術の開発
株式会社日立製作所
生産技術研究所/生産システム第二研究部
研究員 寺前 俊哉氏
乗用車の正面衝突に対応する大型トラック前部構造に関する検討
日野自動車株式会社
技術研究所 車両研究室
小林 広和氏
個別プレス機械対応次世代型合わせ技術に関する研究開発
株式会社ぐんま産業高度化センター
代表取締役 斎藤 勝政氏
17:15- 懇親会
9:30- 受付
10:00- 【基調講演】
自動車衝突解析の20年
トヨタ自動車株式会社 車両技術本部 車両CAE部 シニアスタッフエンジニア 安木 剛氏
10:45- Status and Challenges in Crashworthiness and Occupant Simulation from a German Viewpoint
DYNAmore GmbH and University Karlsruhe, Chair in Mechanics
Technical Director DYNAmore GmbH; Professor 
Karl Schweizerhof氏
11:30- 日本総研ソリューションロードマップ
株式会社日本総合研究所 エンジニアリング事業本部 林 公博
11:55- 昼食
13:25- SAMP-1 : A Semi-Analytical Model for the Simulation of Polymers
P.A. Du Bois氏
14:10- WorldSID 50th The Next Generation Side Impact Dummy
First Technology Safety Systems, Fuchun Zhu氏
14:35- 休憩
14:45- Simplified Concrete Modeling With *Mat_Concrete_Damage_Rel3
Len Schwer氏
15:30- Automatic Processes for Multiple LS-DYNA Analyses
Ove Arup and Partners Limited, Director Richard Sturt氏
15:55- コーヒーブレイク
16:15- LS-DYNAの最新機能を応用した解析テクニックと解析事例のご紹介
株式会社日本総合研究所 エンジニアリング事業本部 鈴木 健太郎
17:00- 【特別講演】
Recent Developments in LS-DYNA(2)
Livermore Software Technology Corporation (LSTC)
社長 , John O. Hallquist氏
17:30- 閉会挨拶

本件に関するお問い合わせ

株式会社JSOL エンジニアリングビジネス事業部
セミナー・イベント事務局

11/29(火)10:05-【特別講演】

「Recent Developments in LS-DYNA」(1)
Livermore Software Technology Corporation (LSTC) 社長 , John O. Hallquist氏

解析技術に関する将来ビジョンとして、LSTC社では以下のような進展を予測している。 自動車開発においては複数の解析グループがただひとつの解析モデルを共有、メンテナンスすることにより、衝突、疲労耐久性、NVHなどの解析を行なう体制が確立される。
エアバッグ、乗員および燃料タンクを含む完全な衝突解析用車両モデルを構築するためにはスケーラブルなマルチフィジックスコードが必要となる。
加工シミュレーションの結果を継承した衝突、疲労耐久性、NVH解析のモデリングが普及する。
解析精度の向上により実機テストの必要性がより低下する。
こうしたビジョンに基づき、LSTC社はLS-DYNAの開発目標を以下のように設定している。
高度に非線形な過渡現象を取り扱うことが可能な多くのマルチフィジックス解析機能をスケーラブルコードの中に統合する。
1回の計算実行の中でマルチフィジックス連成問題およびマルチステージ問題を取り扱うことを可能にする。
多数のソフトウェアを用途により使い分ける手間とコストを大幅に削減するために、ひとつのコード内で複数の解法をサポートする。
このような方針の下に次期リリースバージョンであるLS-DYNA version 971の新機能を紹介した。version 971は並列計算陰解法を含むversion 970のアップデートバージョンとしての位置づけとなっている。陰解法に関してはスケーラブルな陰解法ソルバー実装の現状について報告した。またALEおよびEFG機能に関する最近の開発状況について紹介した。LS-DYNA version 970/971の機能を最大限に活用するためにプリ/ポストプロセッシングも重要なテクノロジーである。LS-DYNA用プリポストプロセッサーであるLS-PrePostはLS-DYNA 970/971の全てのキーワードをサポートしており読み込み、編集、出力が可能となっている。LS-PrePostの開発の現状および将来の開発計画についても紹介した。LS-DYNA 971は今後も開発が継続され、非線形陰解法オプションの安定性およびスピードの改善が図られる。またエアバッグ展開のためのALE機能の高速化およびユーザーからのリクエストによる機能追加も計画されている。さらにさらなる将来構想として計画されているLS-DYNA version 980についても紹介した。version 980はまったく新しい極めて柔軟性のある出力データベース、新しい陽解法圧縮/非圧縮流体ソルバー、電磁場解析ソルバーを有しており、これまでのLS-DYNAのバージョンアップ時のリライトではなされなかった最大のコード再構築となる予定である。

11/29(火)11:05-【招待講演】

「シミュレーション文化と未来設計」
独立行政法人 海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター センター長 佐藤 哲也氏

地球シミュレータは、従来の「理論」と「実験」を支援する補助的研究方法を、科学技術の発展を主導する第一の研究法に進化されるというシミュレーション革命を行った。本講演では、はじめにその実証例を示した。次に、地球環境変動予測を国民が信頼をもって受けとめることができ、産業製品を試作品による実験ではなく、シミュレーションを主たる開発手段として開発する新しい社会の到来が目の前に見えてきたことを示すシミュレーションを示した。

11/29(火)13:35-15:15 開発設計トラックⅠ

「長周期地震動による大容量石油タンクのスロッシング挙動解析と安全性評価」
東電設計株式会社 火力本部 保延 宏行氏

ダブルデッキ浮屋根式石油タンクのスロッシング挙動に対する健全性を数値解析により評価した。解析手法は時刻歴直接積分法を用い、解析モデルは地盤−タンク−内容液(石油)の連成を考慮した有限要素法による3次元フルモデルとした。入力地震波形については3次元のスロッシング挙動を模擬するため、南関東地震を想定した3成分の長周期地震波形を作成し、同時に入力した。結果としてスロッシングによる溢流のないこと、タンク主要構造部の健全性が保たれること、浮屋根の機能が保たれることを確認できた。

11/29(火)13:35-15:15 生産設計トラックⅠ

「CAEを活用した自動車プレス部品生産におけるエンジニアリング活動」
株式会社豊田自動織機 工機事業室 型技術室 プレス技術グループ シニアスタッフ 鈴木 直守氏

自動車プレス部品生産における初期検討、生産準備、設備製造、量産という一連の生産過程の中で初期検討から設備製造までの当社の取り組みについて、CAEの活用事例を交えて報告した。

11/29(火)13:35-15:15 開発設計トラックⅠ

「LS-DYNAによる車両の旋回および制動のシミュレーション」
日産自動車株式会社 総合研究所 第4技術研究所 福島 達也氏

タイヤの簡易FEモデルを用いることにより、限界走行時のタイヤの大変形を伴う車両の走行シミュレーションを実用的な計算時間でシミュレーションできるようになった。この簡易タイヤモデルを使って車両の旋回運動と制動運動をシミュレーションし実験結果と比較した。旋回運動のシミュレーションでは、車両重心の加速度と角速度が実験結果とよく一致した。また、制動運動のシミュレーションでは、車両重心の加速度が実験結果とよく一致した。

11/29(火)13:35-15:15 生産設計トラックⅠ

「2輪車開発におけるプレスシミュレーションの活用」
株式会社本田技術研究所 朝霞研究所 CIS 研究員 荻野 孝氏

プレス成形性机上検討ツールとして、内作の簡易ツールおよびJSTAMP-Worksを活用し、設計段階においてプレス成形性を評価している。2輪車開発での適用事例を紹介した。

11/29(火)13:35-15:15 開発設計トラックⅠ

「Railway Vehicle Crashworthiness: A Review of System Performance from LS-DYNA Simulations of Real-life Impact Scenarios」
Ove Arup and Partners Limited Director Richard Sturt氏

従来、鉄道車両の構造上の衝突安全設計は、線路上の車両対車両衝突を想定した縦方向衝撃荷重に関する法的要件を反映するものであった。しかし最近の大規模な鉄道事故は、鉄道車両が線路沿線建造物に衝突するといった、これまでとは異なる衝撃のケースを検証する必要性を浮彫りにした。脱線後の衝突時における鉄道車両の構造的挙動は、線路沿線構造物のデザインに大きく影響を受けることが明らかになりつつある。脱線後の衝突によって車体構造が大変形した場合、結果的に乗員の生存空間が大幅に圧縮されることとなる。本講演では線路沿線構造物から建造物までを含む鉄道客車の衝突に関わる一連の非線形動的有限要素法シミュレーションに基づいたリサーチの結果を示している。また線路周辺において構造物または建造物を設計する際に考慮されうる衝撃軽減対策を提示している。

11/29(火)13:35-15:15 生産設計トラックⅠ

「日本総研による板成形シミュレーション・ツールの開発 -JSTAMPとHYSTAMP-」
株式会社日本総合研究所 エンジニアリング事業本部 麻 寧緒

板成形シミュレーションの現状、動向および要求に対して、日本総研による開発活動と『JSTAMP-Works/NV』の最新構成を紹介した。さらに設計工程流れの中において、高速インバース・ソルバー"HYSTAMP"と高精度ソルバー"LS-DYNA"をどのように使い分けするかを提案した。具体的に、初期設計や初期検討の段階で高速インバースソルバー『HYSTAMP』の適用事例を説明した。さらに、新しく開発した高精度LS-DYNAサブルーチン「吉田-上森移動硬化モデル」を利用することにより、プレス成形のスプリングバック予測精度の向上例を示した。

11/29(火)13:35-15:15 開発設計トラックⅠ

「構造物への鉄道車両の衝突が与える影響に関する研究」
大阪大学 教授 橘 英三郎氏、久森 崇彦氏

2005年4月25日兵庫県尼崎市を走るJR福知山線の通勤電車が脱線し近隣のマンションに衝突するという事故が発生した。近年の建築物に対する衝突・衝撃に関する研究においては、アメリカのオクラホマビルの爆破テロ事件や、9.11米同時多発テロなどをきっかけに、その対策としての需要が高まっており、数多くの研究がなされるようになってきた。一方で、列車が構造物に衝突するといったケースはあまり想定されておらず、今回の事故が与えた影響は大きいものであった。そこで、今回の電車衝突事故を研究対象とし、公表されている情報に基づいて簡素化された解析モデルを構築し、有限要素法を用いた解析を行った。そして、電車の破壊過程を再現しこのような衝撃荷重が建物に与える影響についてまとめることを目的としている。

11/29(火)13:35-15:15 生産設計トラックⅠ

「並列計算システムによるプレス成形解析の活動とその精度向上」
菊池プレス工業株式会社 開発本部 常務執行役員 宮本 豊氏

弊社におけるプレス成形解析は、1999年のJ-STAMP導入後2000年にワークステーション8台をクラスターにした並列計算に始まり、PenⅢの32クラスターシステム1号機を経て、現在オプテロンの64CPUクラスターシステム2号機を運用している。それによりプレスの工程企画の精度向上ならびに金型製作時のトラブル解消に大きく貢献してきた。しかしながら、最近の高張力鋼板の採用拡大に伴いスプリングバックの対処が重要な問題であるが、現状の成形解析の精度は不充分である。更なる改善の方向について報告した。

11/29(火)15:35-16:50 開発設計トラックⅡ

「熱可塑性エラストマーの製品設計におけるCAE解析の適応」
東洋紡績 株式会社 高機能化成品開発研究所 部長 山下 勝久氏

ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)は、ゴムとエンジニアリングプラスチックの両方の特性を有しており、その特性や多様性から、近年注目を浴びている材料の一つである。特に、他の熱可塑性エラストマーに比較して、使用可能な温度領域が広く、また、耐久性に優れることから、自動車・機械・電子・電気・建築・土木などの幅広い工業分野において優れた特性を生かした用途が拡大している。本講演では、ペルプレンを例にTPEEの物性)およびCAE解析による製品設計について報告した。

11/29(火)15:35-16:50 生産設計トラックⅡ

「アルミニウム合金製造メーカの板成形シミュレーション技術の現状」
住友軽金属工業株式会社 研究開発センター 第1部 構造解析グループ 主任研究員 山田 賢治氏

近年、広範な産業分野において、シミュレーション技術の適用が進んでいる。国内においては、自動車関連メーカや鉄鋼メーカ等が、最もシミュレーション技術が進んだ産業と思われる。一方、アルミニウム製造メーカにおいてもそれなりに努力している。ここでは、アルミニウム製造メーカのシミュレーション技術の現状について、板成形シミュレーションを例に取り概説した。

  1. アルミニウム合金板材の板成形シミュレーションの取り扱いは、軟鋼板のそれと大きな差はない。
  2. アルミニウム合金板材の成形シミュレーションにおける材料モデル(異方性降伏関数)としては、Barlat型の高次のものが好ましいと思われる。

11/29(火)15:35-16:50 開発設計トラックⅡ

「 新しいアワグラスコントロールを使ったタイヤ解析」
株式会社ブリヂストン タイヤ研究部 主任研究員 大沢 靖雄氏

新しいアワグラスコントロールタイプのタイヤ解析への適用可能性を検討した。テストとして粘弾性体ブロックを平滑板上で滑らせる解析を実施。新しいアワグラスコントロールを適用することで、アワグラス変形を抑制することができ、ブロックが発生する滑り方向の力を精度良く予測できた。 タイヤへの適用テストとして、スリップ角を与えた場合に発生するコーナーリングフォース、回転方向にスリップ率を与えた場合に発生する制駆動力の解析を行った。デフォルトのアワグラスコントロールを用いると大入力条件下にてソリッド要素が崩壊し計算が中断するのに対し、新しいアワグラスコントロールを適用すると正常に計算が実行、結果は実測とほぼ一致した。新しいアワグラスコントロールをタイヤ解析に適用することは有効であることが確認できた。

11/29(火)15:35-16:50 生産設計トラックⅡ

「逐次バーリング方式による分岐管成形技術の開発」
株式会社日立製作所 生産技術研究所/生産システム第二研究部 研究員 寺前 俊哉氏

大口径分岐管を対象に、成形性向上および生産性向上を目的として逐次バーリング方式による分岐管成形技術を確立した。本技術の特徴として以下の点があげられる。
多様な分岐管径及び母管径に対して、1本の棒状工具を用いてフレキシブルに分岐管を成形できる。
従来困難であった分岐管径と母管径の比が1の分岐管も容易に成形できる。
成形前の素管の熱処理や潤滑剤が不要であること。
本講演では、従来技術との比較及び技術開発において数値解析により成形条件の検討を行った内容を中心に技術紹介をした。

11/29(火)15:35-16:50 開発設計トラックⅡ

「乗用車の正面衝突に対応する大型トラック前部構造に関する検討」
日野自動車株式会社 技術研究所 車両研究室 小林 広和氏

交通事故における死者数の削減に向けて、より高い速度の乗用車との正面衝突事故に対応する大型トラックの車両前周り構造のコンセプトを検討した。当コンセプトはデフレクターにより乗用車を大型トラックの進路方向から外にガイドするとともに乗用車の衝撃を吸収する機能を有する。LS-DYNA3Dを用いてデフレクター角度や衝撃吸収材の特性を検討した結果、より少ないフロントオーバーハングの延長量で、より高い衝突速度での乗の正面衝突に対応できる構造案を見出した。

11/29(火)15:35-16:50 生産設計トラックⅡ

「個別プレス機械対応次世代型合わせ技術に関する研究開発」
株式会社ぐんま産業高度化センター 代表取締役 斎藤 勝政氏

自動車の車体パネルのプレス加工に用いる金型加工面の転写精度を向上させるため、型合わせと称する金型熟練工による手作業が行なわれる。この作業は金型設計・製作時間の20%、コストの10%を占めている。これらの手作業を削減し、金型の一発立上げを実現するために、形状を付与する最大加工圧における金型とプレス機械の弾性変形量を測定・解析することにより、金型の加工面の補正方法と補正量を最小にする金型とプレス機械の補償ジグを提案した。

11/30(水)10:00-【基調講演】

「自動車衝突解析の20年」
トヨタ自動車株式会社 車両技術本部 車両CAE部 シニアスタッフエンジニア 安木 剛氏

衝突解析のこの20年および、現在の課題と今後の展望に触れた。バネマスモデルから始まったコンピューターによる自動車の衝突性能の予測技術は、1985年のFATによるFEMの衝突解析検討プロジェクトから本格的な適用が始まった。その後の新要素モデルの開発などを経て衝突FEM技術は格段に精度が向上した。いくつかの技術的課題を残しているが、それらの克服にあわせて更なる適用範囲の拡大が期待されている。

11/30(水)10:45-

「Status and Challenges in Crashworthiness and Occupant Simulation from a German Viewpoint」
DYNAmore GmbH and University Karlsruhe, Chair in Mechanics Technical Director DYNAmore GmbH; Professor Karl Schweizerhof氏

世界の多くの工業国と同様にドイツにおいても様々な産業で多くのユーザーがLS-DYNAを用いた製品開発に携わっているが、そのうち自動車メーカーでは多くの車種の開発を同時に進めており、それぞれの車種に対して衝突安全、強度、疲労耐久性、NVH、空力特性、音響などの様々な設計要求を満たすことが求められている。この中で衝突性能についてみると、安全性の要求を満たすために高張力鋼を用いた高剛性構造、様々なタイプのエアバッグやシートベルトといった乗員拘束装置の機能をシミュレーションによって可能な限り正確に検証する必要がある。そのため車体モデルはここ数年で著しい品質改良が行なわれている。
本講演ではそのようなモデル品質の改良の例を幾つか紹介した。また法規および安全基準の強化により、検討すべき衝突形態が増加している反面、新型車の開発期間のいっそうの短縮が求められている。このためLS-DYNAによるシミュレーション技術はいっそう重要性を増すものと考えられるが、その一方で数値シミュレーションにおいてはスポット溶接、加工プロセスの影響、破壊のモデリング、材料物性モデルなど検討すべき課題も多く残されている。さらに、自動車開発に関連したエアバッグのモデル化、頚部障害評価用のBioRID-Ⅱダミーモデルの開発の現状、最適設計などについてのトピックスを紹介し、最後に2004年および2005年のドイツ LS-DYNAユーザー会議で取り上げられたホットトピックスについて紹介した。

11/30(水)13:25-

「日本総研ソリューションロードマップ」
株式会社日本総合研究所 エンジニアリング事業本部 林 公博

「PLM(Product Lifecycle Management)」とは、新製品を適切な時期に適切な価格で市場に投入するため、製品開発の研究・企画段階から設計、調達、生産、販売、保守サービスに至るまでの「製品のライフサイクルに渡るすべての過程」を包括的に管理しようとする考えである。IT技術を活用して、開発期間の短縮、生産の効率化を目指すもので、製品の品質や市場適合性の向上も考慮したコンセプトである。PLMはあくまでコンセプトなので、様々なベンダーからいろいろな製品(ソフトウェア)が提案されている。このコンセプトの中で設計開発や生産準備のためのIT活用は非常に重要な位置をしめており、いろいろなCADシステムやCAE解析システムが提案されている。日本総研でも構造系のCAE解析システムとして「JVISION」や「JSTAMP-Works」を開発しており、PLMのコンセプトに合致した方向で開発を進めている。本講演では、「ソリューションロードマップ」と題して、日本総研の考えるPLMとCAE解析システムの関係をご紹介し、「JVISION」・「JSTAMP-Works」の開発計画をご説明した。

11/30(水)14:10-

「SAMP-1 : A Semi-Analytical Model for the Simulation of Polymers」
P.A. Du Bois氏

ポリマーで成形された構造物の挙動を高い信頼性をともなって予測することは、エンジニアリング技術の応用に関する重要な課題のひとつとなっている。とくに構造物に動的荷重が作用する場合の機械的挙動を適切に考慮する構成モデルは、現状の商用有限要素コードには組み込まれていない。本講演では、はじめに、熱可塑性プラスチックの材料構成則の概要を示し、その材料挙動が粘塑性モデルの使用によりどのように特徴づけられ、近似されるかを示した。またネッキング、ひずみ速度依存性、除荷挙動および破断といった重要な現象を示す実験結果について紹介した。そのうえで実験より得られた知見を含んだ構成モデルを導出した。この構成モデルにより標準的な検証試験が充分な精度でシミュレーション可能であることが示される。また延性破壊モデルを使用することにより、熱可塑性プラスチックの除荷挙動を適切に近似できることを示した。

11/30(水)

「WorldSID 50th The Next Generation Side Impact Dummy」
First Technology Safety Systems Fuchun Zhu氏

ヨーロッパでは自動車の側面衝突事故は乗員死亡数全体のほぼ43パーセントを占めている。NCAPに代表される安全性評価プログラムの普及や能動的、受動的車両拘束システムの導入にもかかわらず、車両衝突による死亡者数が減少する徴候はみられない。EEVCは、現在および将来の全車両の安全性確保の取組みにさらに有効な最新の側面衝突法規を検討している。そこで現在側面衝突テスト形態および衝突テスト用可動変形体バリアの研究が進められている。本講演は側面衝突テスト法規に準じた新しい側面衝突用人体型テストデバイス (ATD)、すなわちWorldSID 50thダミー (50パーセンタイル標準男性)に焦点をあてている。?
FTSSは、WorldSID 50thダミーを設計開発する中で、進行中の5パーセンタイルバージョンの開発とともに有限要素シミュレーション技術を広範に使用している。FTSSはこれまでも設計、エンジニアリングおよび車両の衝突安全性研究において有限要素ダミーモデルの使用を要望する企業に向けて詳細かつ検証されたWorldSID 50thモデルを開発してきている。

11/30(水)14:45-

「Simplified Concrete Modeling With *Mat_Concrete_Damage_Rel3」
Len Schwer氏

米国陸軍工学研究開発センター(ERDC)の地質工学・構造研究所では単軸圧縮強度が45.6 MPaと正確に特性が規定されたコンクリートを有している。これは「標準コンクリート」として多くの数値シミュレーションで参照されている。本講演は標準コンクリートの実験室内における材料特性と、それに対応する「K&Cコンクリートモデル」と呼ばれる材料モデルの挙動を比較することを目的としている。この材料モデルはLS-DYNAバージョン971リリース5266において「*Mat_Concrete_Damage_Rel3(K&C コンクリートモデル リリースⅢ)」として提供されている。この比較評価において注目すべき点は、モデルのデフォルトパラメータ、つまり45.6 MPaの単軸圧縮強度が、すべての材料特性シミュレーションで使用されていることである。すなわち非常にわずかな材料モデルの入力のみで、多様な材料特性テストに対する複雑な反応が的確に再現される。材料モデルの挙動と実験上の材料挙動が大幅に異なる場合、モデルパラメータのキャリブレーションを追加することによって両者の不一致を改善する方法についても提案した。

11/30(水)15:30-

「Automatic Processes for Multiple LS-DYNA Analyses」
Ove Arup and Partners Limited Director Richard Sturt氏

LS-DYNAのユーザーは、ほぼ同じ条件の解析モデルを多数作成し、実行および評価しなければならないことがしばしば生じる。このような例としてはボンネットの様々な位置に対する歩行者頭部の衝突や、車両の設計変更にかかわる多様な衝突形態の解析などがあげられる。本講演ではこうした作業に対する工数と時間を数時間のオーダーから数分にまで短縮できるARUP Software(バージョン9.2)に追加された新機能を紹介した。この新機能としては複数の解析モデルのワンステップアセンブリ機能や、複数のモデルをLS-DYNAによりマルチ実行する機能、また一連の解析結果をひとつに集約し、まとめて評価を行なう自動ポストプロセッシング機能などがある。

11/30(水)16:15-

「LS-DYNAの最新機能を応用した解析テクニックと解析事例のご紹介」
株式会社日本総合研究所 エンジニアリング事業本部 鈴木 健太郎

現在、LSTCではv971のリリースに向けて、ユーザの方々からの要望による開発はもちろん、CAEへの適用が期待される新しい解析テクノロジーの積極的な導入を行っている。v971では、約30の新キーワード、約80の新オプションが追加されている。これらの機能を設計開発における解析プロセスに適用することで、できなかった解析を可能にしたり、解析の生産性を向上することが期待される。これらの機能を有効に利用いただくため、新キーワードのいくつかを取り上げ、その詳細な利用方法、および適用方法を紹介した。

11/30(水)17:00-【特別講演】

「Recent Developments in LS-DYNA」(2)
Livermore Software Technology Corporation (LSTC) 社長 , John O. Hallquist氏

解析技術に関する将来ビジョンとして、LSTC社では以下のような進展を予測している。 自動車開発においては複数の解析グループがただひとつの解析モデルを共有、メンテナンスすることにより、衝突、疲労耐久性、NVHなどの解析を行なう体制が確立される。
エアバッグ、乗員および燃料タンクを含む完全な衝突解析用車両モデルを構築するためにはスケーラブルなマルチフィジックスコードが必要となる。
加工シミュレーションの結果を継承した衝突、疲労耐久性、NVH解析のモデリングが普及する。
解析精度の向上により実機テストの必要性がより低下する。
こうしたビジョンに基づき、LSTC社はLS-DYNAの開発目標を以下のように設定している。
高度に非線形な過渡現象を取り扱うことが可能な多くのマルチフィジックス解析機能をスケーラブルコードの中に統合する。
1回の計算実行の中でマルチフィジックス連成問題およびマルチステージ問題を取り扱うことを可能にする。
多数のソフトウェアを用途により使い分ける手間とコストを大幅に削減するために、ひとつのコード内で複数の解法をサポートする。
このような方針の下に次期リリースバージョンであるLS-DYNA version 971の新機能を紹介した。version 971は並列計算陰解法を含むversion 970のアップデートバージョンとしての位置づけとなっている。陰解法に関してはスケーラブルな陰解法ソルバー実装の現状について報告した。またALEおよびEFG機能に関する最近の開発状況について紹介した。LS-DYNA version 970/971の機能を最大限に活用するためにプリ/ポストプロセッシングも重要なテクノロジーである。LS-DYNA用プリポストプロセッサーであるLS-PrePostはLS-DYNA 970/971の全てのキーワードをサポートしており読み込み、編集、出力が可能となっている。LS-PrePostの開発の現状および将来の開発計画についても紹介した。LS-DYNA 971は今後も開発が継続され、非線形陰解法オプションの安定性およびスピードの改善が図られる。またエアバッグ展開のためのALE機能の高速化およびユーザーからのリクエストによる機能追加も計画されている。さらにさらなる将来構想として計画されているLS-DYNA version 980についても紹介した。version 980はまったく新しい極めて柔軟性のある出力データベース、新しい陽解法圧縮/非圧縮流体ソルバー、電磁場解析ソルバーを有しており、これまでのLS-DYNAのバージョンアップ時のリライトではなされなかった最大のコード再構築となる予定である。

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