ユーザー会 / 技術交流会
LS-DYNA & JSTAMPフォーラム 2015
プログラム
2015年11月6日(金)
1日目:2015年11月5日(木)
2日目:2015年11月6日(金)
本件に関するお問い合わせ
株式会社JSOL エンジニアリング事業本部 セミナー・イベント事務局
11月5日(木)13:20-15:00 【1-A-1 自動車セッション 1】
※同時通訳
「複合材料を用いたエネルギー吸収部材の研究U」
富士重工業株式会社 スバル技術本部 CAE部 池田 聡 様
複合材料の特性である「軽量かつ高エネルギー吸収」に着目し、前報にて自動車用クラッシュボックスが静的条件化で十分なエネルギー吸収量を発現することを報告した。実車規模での解析に向けての課題に計算コスト・計算安定性・動的特性がある。そこで単品でのモデリング技術に着目し実機との相関を検討した。計算のコスト・安定性に関しては単一シェルモデルの活用、また動的特性に関しては接触摩擦係数に着目することで、実験の荷重再現の見通しを得たので報告する。
「ランダム長繊維複合材のMeso-Scale解析とMAT058を使ったランダム配向を考慮した解析手法」
株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター 第9技術開発室 第2ブロック 林 誠次 様
株式会社JSOL 西 正人
ランダムに配向されたカーボン繊維複合材の破壊挙動をDIGIMAT-FEから作成したMeso-Scaleモデルを使い、その破壊メカニズムの解析を引張、曲げの各事象について実施した。この結果を基に実際の破壊事象と近くなるようにLS-DYNAのMAT058(積層複合繊維材モデル)を使い、各積分点ごとに材料強度のランダム性を与えた材料モデルを構築した。本材料モデルでのクーポンとコンポーネントの検証結果を報告する。
「自動車用シート開発におけるLS-DYNA適用事例」
テイ・エス テック株式会社 開発・技術本部 設計部 CAE課 宮澤 祐貴 様
自動車用シートには多くの強度要件があり、それらを満足させる為、設計初期段階よりLS-DYNAを活用している。近年は計算サーバーの進化やLS-DYNAの新機能も追加され、従来出来なかった解析が実施できるようになってきた。本報告ではシート開発における解析事例を紹介する。
11月5日(木)15:30-17:10 【1-A-2 自動車セッション 2】
※同時通訳
「新しい衝突安全性アセスメントに対する数値計算LS-DYNAダミーモデル開発状況」
株式会社ヒューマネティクス・イノベーティブ・ソリューションズ・ジャパン CAE部 李 仁澤 様
日本と欧州を含め各地域での自動車アセスメントプログラムに対す統合H350とH305モデル開発を初め、Qダミー、THORダミー開発での新しい情報と検証条件、整合性について報告致します。スレッド試験サポートやロバスト性確認など広範囲での整合性確認内容を持ちまして報告いたします。
「自動車樹脂部品の低温割れ予測」
日本プラスト株式会社 先行開発部 安全商品企画課 橋本 和茂 様
エアバッグ展開時に、樹脂が飛散する不具合をCAEで予測する取り組みを行っている。MATカードは様々なものがあるが、破断特性や樹脂の速度依存性、三軸応力度を考慮できるSAMP-1が目的に適していると判断した。しかし、SAMP1で樹脂物性を取得するには、高速引張試験をはじめとする多くの試験が必要であり、工数や外部委託による試験費が必要となってしまう。今回、これらの試験を落錘試験で代替えし、物性取得を試みた。最終的に、樹脂部品が割れるか否かを予測できるレベルまで、精度を高める事ができた。この一連の開発について説明する。
「LS-DYNAを用いたラジエータ付車両模型のピッチ運動時の非定常空力解析 」
トヨタ自動車株式会社 車両CAE部 熱・流体開発室 高光 二郎 様
新規に開発されたLS-DYNA ICFDソルバーのポーラスメディア計算機能を用いて、エンジンルームにラジエータを有する車両模型がピッチ運動する際に車体へ作用する非定常空気力の解析を実施した。先に実施したエンジンルーム無しの車両模型を用いた同様の解析の結果と比較した結果、車体へ作用する非定常空気力に大きな差異があることが判明した。解析の結果、ラジエータを通過した流れが外部流れ、特に車体床下の流れと干渉することで車体床下の流れ場に差が生じ、それが非定常空気力に大きな影響を与えることが判明した。
11月5日(木)13:20-15:00 【1-B-1 強度・衝撃セッション】
「衝突損傷を想定した船舶の縦曲げ崩壊模型実験と数値計算を用いた解析検証について」
国立研究開発法人 海上技術安全研究所 構造安全評価系 山田 安平 様
非対称断面を有する箱型船舶の縦曲げ崩壊メカニズムを明らかにすると共に、数値計算手法の妥当性検証のために、船側開口部を有する鋼製模型を用いて、ハルガーダの4点曲げ崩壊実験を行った。数値計算法の妥当性検証のためにLS-DYNA及び簡易解析法(Smith 法)を用いて実験に対応する解析検証を行った。今回のような非対称断面の曲げ崩壊についても、LS-DYNAは、比較的良好な精度で実験結果を推定できることが分かった。
「鉄筋コンクリート壁への竜巻飛来物(車両)衝突解析」
株式会社テラバイト 技術部 マノチユ マドウラペルマ 様
近年の破壊的な竜巻の発生により、重要構造物の竜巻飛来物の衝突に対する防護対策が必須となってきている。本研究では、鉄筋コンクリート壁(RC壁)に竜巻飛来物としての車両が衝突する場合を想定し、重量及び大きさの異なる2種類の詳細FEM車両モデルを用いて、RC壁の衝突による損傷状況を調べる。車の衝突速度によりRC壁の損傷状況が異なるが、コンクリート壁の裏面剥離限界および貫通限界を推定する近似式を提案する。本研究成果は、技術者や研究者に有用である。
「動的陽解法によるビル用マルチエアコン室外機の準静的変形解析」
ダイキン工業株式会社 環境技術研究所 劉 継紅 様
一般的に言えば、製品の全体解析モデルは規模が大きく部品間接触等の強い非線形性を考慮した準静的解析を静的陰解法で行うと、メモリ消費量等の計算コストが膨大になるだけでなく反復計算が収束せず結果が得られないことが往々にしてある。そこで、製品の全体解析モデルにシステムダンピングを加えた上、マススケーリングを適用した動的陽解法をビル用マルチエアコン室外機の準静的捩じり変形解析に試みた。解析結果と試験結果によい一致が見られたので、動的陽解法による非線形性の強い大規模モデルの準静的解析は結果の得られやすさと精度、計算コストの面において有利であることがわかった。
11月5日(木)15:30-17:10 【1-B-2 生産技術セッション 1】
「JSTAMPを用いたプレス成形シミュレーションの活用事例の紹介」
三重県工業研究所 ものづくり研究課 中村 創一 様
三重県工業研究所では、県内の中小企業を中心に技術支援を行っており、近年ではシミュレーションに関する企業からの相談等も受けております。プレス成形シミュレーションを自社の生産活動に生かすためには、プレス成形だけでなくシミュレーションに関する知識なども必要となるため、中小企業にとってはハードルが高くなっています。本発表では、これら中小企業を集めて開催した研究会で取り組んだ、解析精度向上プロジェクトのテーマの1つである、高張力鋼板(ハイテン材)の解析精度向上の事例(材料パラメータの取得、解析、試験の実施、評価)を紹介いたします。
「中国の金型メーカー(六豊模具)におけるスプリングバックのCAEの活用事例」
六豊模具(昆山)有限公司 研発部 工藤 恭二 様
近年、中国でのプレス品は590Mpa以上のハイテン材が多用されてきている。六豊模具でも、これらの金型の仕事の比率が増加しており、今までのような、過去の経験と勘によるスプリングバックの見込みでは、補正工数の低減、リードタイムの短縮が見込めない。そのため、昨年8月にJSTAMP/NVとMatparaを導入し、スプリングバックのCAEに取り組み始めた。今回、その導入経過と途中経過ではあるが結果、問題点などについて報告する。
「樹脂ブロー成形CAEの取り組み」
八千代工業株式会社 生産技術部 樋高 徹 様
LS-DYNAで解析を行っているブロー成形加工解析の事例を紹介する。溶融樹脂のブロー成形の解析は、大変形と複雑な接触を伴う問題であり解析モデル化にも工夫を要する。本講演ではその取組みの実際について紹介する。
11月5日(木)13:20-15:00 【1-C-1 現物融合CAEセッション 1】
「Simpleware™によるリチウムイオン電池の3D 構造電極での充放電・劣化現象解析」
株式会社コベルコ科研 技術本部 エンジニアリングメカニクス事業部 山上 達也 様
リチウムイオン電池の電極は活物質・導電助剤・結着剤・電解質で構成される複雑な3次元多孔質構造を持つ。ここでは、人工的に作成した凝集構造や、3D FIB-SEMによる分析画像に基づく実構造をSimpleware™によりモデル化する事で、電池の充放電時の電気化学反応やLi濃度の電極内分布を解析した結果を紹介する。また、充放電時に生じる劣化反応について言及する。
「層構造マウスガードの前歯列への効果」
大阪大学 大学院 基礎工学研究科 教授 田中 正夫 様
スポーツにおける口腔領域での外傷防止の観点から、マウスガードの使用が推奨されるようになっている。その効果についての知見は疫学的研究により確認されてきており、種々のデザインコンセプトが提案されている。しかしながら、その力学的効果についての定量性のある知見は十分とはいないのが現状である。近年では本格的スポーツを対象に2層あるいは3層構造のマウスガードが用いられるようになっている。ここでは、このような層構造がマウスガードの力学的効果にどのように貢献するかについて、歯科用CT像から再構築した歯槽骨、象牙質、エナメル質、歯根膜からなる前歯列モデルを用いた有限要素解析により検討した一端を紹介する。
「解析用高分解能X線CTについて」
株式会社マーストーケンソリューション 第三本部 瀬下 郁朗 様
画像解析を目的とした高分解能X線CTの撮像と事例についてご紹介します。
1. X線CTの原理
2. 直交型CTと傾斜型CT
3. 材質によるX線吸収量とコントラスト
4. 撮像視野と分解能
5. X線CTの撮像事例(CFRP、樹脂内有機繊維、多孔体、発泡体、リチウムイオン電池、他)
6. X線CTデータの画像解析
11月5日(木)15:30-17:10 【1-C-2 材料セッション】
「ヒト組織材料試験による加齢変性を考慮した解析とその展望
― 脊椎脊髄疾患のオーダーメイド解析にむけて ―」
山口大学 大学院 医学系研究科 整形外科学 助教 西田 周泰 様
山口大学 大学院 医学系研究科 応用医工学系専攻 准教授 大木 順司 様
外傷や変性による脊椎脊髄疾患は日常生活に多大な影響を与え、様々な治療法が開発されてきた。同時に有限要素法による様々な病態解析が行われてきた。しかし、各患者に対して術前予後予測ができる段階には至っていない。この要因は、骨格の個人差やヒト組織の加齢変性など明らかにしなくてはならない多くの問題があるためである。我々は、脊椎脊髄患者の画像データおよび術中採取したヒト組織の材料特性を解析し、それらを用いSimplewareとLS-DYNAによる解析に繋げる計画を進めている。その成果と展望について述べる。
「GISSMOによる薄板金属材料の破断予測解析」
株式会社神戸製鋼所 機械研究所 マルチマテリアル構造・接合研究室 鎮西 将太 様
近年、自動車の衝突安全性と車体の軽量化の両立に対する要求の高まりとともにBIWに適用される薄板金属材料の高強度化、薄肉化が進んでおり、車体衝突時における材料破断予測技術の重要性が増している。本報告では、薄板金属材料を対象に各種素材試験によって、応力3軸度に応じた破断ひずみを評価し、LS-DYNAのGISSMOに導入する破断クライテリアの同定を行った。さらに、HAT部材の準静的圧壊試験における破断予測解析を行い、実験値との比較により、GISSMOの適用性に関する考察を行う。
「Crash simulation of adhesively bonded automotive structures - the need for rate-dependent material data」
Fraunhofer EMI Dynamics in Microstructures Dr. Michael May
The increasing use of structural adhesives in automotive industry drives a need for material models capable of predicting the crash response of this class of materials. In this talk a material model for cohesive elements is presented which can be used in predictive simulation of the crash-response of adhesively bonded structures. Information on the calibration of this type of material model is provided. This talk also highlights differences obtained in the simulation of structural tests if rate-dependent material parameters are neglected.
11月5日(木)13:20-14:55 【1-D-1 テクニカルセッション 1】
「LS-DYNAの最近のICFD機能・EM機能開発と連成解析のご紹介」
株式会社JSOL 大平 博道
LS-DYNAのマルチフィジックス機能は、構造・熱との連成解析や相互の連成解析に強みがあります。本講演では非圧縮性流体解析(IFCD)および電磁場解析(EM)について、機能の概要および最近の開発動向を簡単にご紹介します。また、これらの機能を用いた解析について、例題をベースに適用例をご紹介します。取り上げるテーマは、弁のまわりの流れ解析(ICFD+構造)、冷却管を考慮したホットスタンプ解析(ICFD+構造+熱)IHによる液体の加熱(ICFD+EM+構造+熱)、抵抗加熱溶接(EM+構造+熱)、通電加熱成形(EM+構造+熱)などを予定しています。
「LS-DYNAによる周波数応答・音響解析 〜設計の提案と新規開催セミナーのご紹介〜」
株式会社JSOL 石井 亮
LS-DYNAによる音響・周波数応答解析ができるようになり、振動特性などの評価のために御使用になるユーザ数が増えて参りました。今後、さらにご使用いただけるよう、新たに解析にてこの機能を用いた評価を行っていただくために、いくつか振動に関連する実践的な解析をご紹介いたします。出来る限り設計に有益な影響をもたらせる内容を解説致します。
[内容詳細]
-モード信頼性評価基準MAC(Modal Assurance Criterion)を用いた最適化解析
-MACを用いた積層材における各層の組み合わせ最適設計
-LS-DYNAによる音響解析の基礎事項のご紹介
-音響・周波数応答解析の2016年新規開催セミナーのご紹介
など
11月5日(木)15:30-17:10 【1-D-2 Simpleware技術交流会セッション】
「ヒト組織材料試験による加齢変性を考慮した解析とその展望
― 脊椎脊髄疾患のオーダーメイド解析にむけて ―」
山口大学 大学院 医学系研究科 整形外科学 助教 西田 周泰 様
山口大学 大学院 医学系研究科 応用医工学系専攻 准教授 大木 順司 様
外傷や変性による脊椎脊髄疾患は日常生活に多大な影響を与え、様々な治療法が開発されてきた。同時に有限要素法による様々な病態解析が行われてきた。しかし、各患者に対して術前予後予測ができる段階には至っていない。この要因は、骨格の個人差やヒト組織の加齢変性など明らかにしなくてはならない多くの問題があるためである。我々は、脊椎脊髄患者の画像データおよび術中採取したヒト組織の材料特性を解析し、それらを用いSimplewareとLS-DYNAによる解析に繋げる計画を進めている。その成果と展望について述べる。
「現バージョンのFAQと次期バージョン主要機能のご紹介」
株式会社JSOL 宮崎 美季
Simpleware Ltd. Dr. Rebecca Bryan
JSOLの宮崎美季より現バージョンのFAQや知っておくと便利な機能のご紹介に加え、SimplewareのTechnical Sales ManagerであるRebecca Bryans氏に次期バージョンの主要機能をご紹介いただきます。(Rebecca Bryans氏の講演は英語での講演となります。)
11月6日(金)10:00-11:40 【2-A-1 乗員安全セッション】
※同時通訳
「オートリブ(JAPAN)での前突拘束システムCAEの取り組み」
オートリブ株式会社 技術本部 性能開発部 システム開発室 大里 秀一 様
これまでオートリブ(JAPAN)では、前突乗員拘束システム検討にはMADYMOを使用してきた。計算時間が短く、ユーザーにとって使い勝手の良いものであり、開発スタイルに合っていた。近年、各OEMにおいては、前突乗員拘束システムCAEをLS-DYNAで実施されている事や、競合他社にて高精度のOutputがなされている事実を受け、弊社でも前突乗員拘束システムCAEのLS-DYNAへの移行活動を実施することとなった。この活動の中で、MADYMOモデルのような短い計算時間を再現するために、DummyデータはLSTC社製のFAST Dummyを使用している。
「人体有限要素モデルおよび実体モデルを活用した傷害バイオメカニクス研究」
東京工業大学 大学院 情報理工学研究科 情報環境学専攻 准教授 宮崎 祐介 様
事故・傷害の発生は空間的相互作用の観点から考えると、人間−環境−モノの三要素のシステム不調和により、時間軸の観点からは事故発生から傷害発生、被害拡大に至る三プロセスの各々の時間スケール内の因子およびその相互関係に依存する。そこで、傷害メカニズムを解明し適切な予防策を提案するためには、傷害の時空間構造を理解し、潜在的な危険を統合的に評価する必要がある。本研究室では有限要素モデル、実体モデル、動物モデルを活用し、時空間統合的に種々の外力環境下において発生する傷害バイオメカニクス研究に取り組んでいる。本講演では特に、実体モデルと有限要素モデルの活用によるモデルの相互バリデーションと有限要素モデルを用いた自動車乗員の頭部外傷メカニズム解明に関する取り組みについて紹介する。
「簡易的な運転席エアバッグを用いた熱伝達係数の傾向調査」
タカタ株式会社 技術本部ゼネラルエンジニアリング部 システムエンジニアリング室 中村 浩隆 様
自動車の乗員保護解析に用いるエアバッグ解析モデルの開発においては、エアバッグの展開挙動およびエネルギー吸収特性について、実機に対する再現性を向上することが重要な課題である。
実機のエアバッグのエネルギー吸収特性をエアバッグ解析モデルで再現する上で、熱損失の特性を決める熱伝達係数の設定は重要である。
本発表では、エアバッグの容積違いに着目して熱伝達係数の算出を行い、傾向を調査した内容について紹介する。熱伝達係数は、簡易的な運転席エアバッグを用いて展開試験を行った結果をエアバッグ解析モデルで再現することにより算出した。
11月6日(金)12:40-14:20 【2-A-2 THUMSセッション】
※同時通訳
「THUMS Version 5の開発・検証と車両安全研究への応用」
株式会社豊田中央研究所 機械2部 生体力学研究室 岩本 正実 様
豊田中央研究所は1997年よりトヨタ自動車とともに、衝突時の人体の挙動や傷害をシミュレーションするため、人体の有限要素モデルTHUMSを開発してきた。2007年以降に、衝突前の乗員の筋活動が衝突時の乗員の挙動や傷害に及ぼすという研究報告を考慮して能動特性を有する筋を含むTHUMSを開発してきた。豊田中央研究所とトヨタ自動車は6月末にTHUMS Version 5として1次元の筋モデルを複数含むTHUMSの新バージョンをリリースした。THUMS Version 5の新機能と検証結果および前突や側突へ適用した事例について紹介する。
「衝突時の自転車乗員の有限要素解析」
名古屋大学 工学研究科 教授 水野 幸治 様
自動車衝突における自転車乗員の挙動と傷害を有限要素解析により検討した。自転車乗員の膝関節がフードリーディングエッジよりも高い場合には、腰部がボンネット上を滑る挙動が見られるが、膝関節が低い場合には大腿部がフードリーディングエッジまわりに回転して、歩行者と類似した挙動となる。フードリーディングエッジとの接触によって膝関節にはせん断と曲げの負荷が発生し、ACL,MCL損傷が発生した。自転車が速度を有する場合には、膝部には前後せん断も発生する。
「自動車アセスメントの将来展望とCAE適用」
日本文理大学 工学部 教授 宇治橋 貞幸 様
自動車アセスメント(NCAP: New Car Assessment Program)について日本における事業を中心としながら世界における過去から現在に至る経過を概観し、衝突安全(Passive Safety)から予防安全(Active Safety)へ移行していく将来展望を解説する。その上で、実験を中心とした現在の自動車アセスメント事業への将来におけるCAE適用の可能性について私見を述べる。
11月6日(金)10:00-11:40 【2-B-1 クラウドセッション 1】
「ホンダおよび自工会でのCAEクラウド活用の取り組みについて」
本田技研工業株式会社 IT本部 システム基盤部 インフラ技術ブロック 多田 歩美 様
エンジニアリングシミュレーションのニーズが高まる一方で、クラウドの利用を検討する企業が増えており、「どこからはじめたらよいのかわからない」、「ライセンスは大丈夫なのか?」、「セキュリティの問題は?」といった声が多く聞かれます。
このセッションではこうしたエンジニアリングシミュレーションの分野でクラウド利用をしたいと考えている皆様の障壁となりやすいポイントに対して、ホンダ内および業界団体(自工会)としてどのように取り組んでいるのかをご紹介します。
「リアル事例から学ぶSoftLayerクラウドの活用ノウハウと最新ベンチマーク」
日本アイ・ビー・エム株式会社 クラウド事業統括 クラウドソリューション 安田 智有 様
エンジニアリングの基盤としてクラウドを検討したい、というお客様が増えてきています。どの様な用途を対象として、どの様な確認をした企業が使っているのか、具体的な事例を交えて、ユーザー企業の検討ポイントをまとめてご紹介します。
また、LS-Dyna on SoftLayerの最新ベンチマークデータと、クラウドを活用する上で最も重要なコスト情報も公開予定です。
「Microsoft Azure HPCのCAEへの取り組みと最新状況」
日本マイクロソフト株式会社 クラウドプラットフォーム技術部 佐々木 邦暢 様
自動車やコンシューマ製品を始めとする製造業において、シミュレーションを駆使した設計開発は不可欠なものとなっています。一方で、このような複雑で高い再現性が必要な解析・シミュレーションに求められる実行環境をオンプレミスで構築・管理・維持することは大きな負担となってきました。Microsoft Azure ではオンデマンドでHPCコンピューティングをご利用いただけるクラウド環境をご提供することで、大規模な計算モデルの実行に必要なコストと労力の削減をお手伝いします。本講演ではMicrosoft Azure HPCの最新状況をご紹介します。
「PLEXUS CAEにおけるLS-DYNAの活用」
株式会社電通国際情報サービス エンジニアリングソリューション事業部 ES技術第2ユニット 製品技術部 沼尻 剛志 様
本講演では、クラウド型CAEサービス PLEXUS CAEの概要についてご紹介するとともに、LS-DYNAに焦点をあてた、計算実行方法、ベンチマーク情報、クラウド上でのプリポスト、また従量制で提供されるライセンス体系についてデモを交えてご紹介いたします。
「解析に集中できるクラウドサービス・HPC OnLineのご紹介」
NECソリューションイノベータ株式会社 第一製造業ソリューション事業部 エンジニアリンググループ 松井 周一 様
解析業務でのクラウドサービスを活用する際の課題を取り上げ、それらの克服方法をご説明します。お客様の課題とその解決方法について、HPC OnLine ユーザ様の実例を交えて、NEC が提供するワンストップサービスの利点をご紹介します。
11月6日(金)12:40-13:30 【2-B-2 クラウドセッション 2】
「IaaSにおけるLS-DYNAの検証」
SCSK株式会社 エンタープライズ第一部 技術第三課 中田 温朗 様
昨年よりIaaSタイプの商用クラウドが本格的に日本市場に展開し、そこでCAE解析を行おうという試みが始まっている。今年IBM SoftLayer上でLS-DYNA用のシステムを構築し、ベンチマーク等を行った経験を元にIaaS環境におけるCAEシステムについて検証する。
「FOCUSスーパーコンピュータシステム」
公益財団法人 計算科学振興財団 共用促進・研究部門 西川 武志 様
計算科学振興財団(FOCUS)では平成23年度よりスーパーコンピュータ京へのステップアップと産業界のHPC利用の裾野拡大に寄与するため、産業界向けにスーパーコンピュータを時間従量制、日・月・年度単位予約制で計算資源を提供しています。利用者はFOCUSスパコンをインターネットからノード時間単位の支払いで利用できます。平成27年3月末には143法人168課題が利用しました。
平成27年度からはクラウド環境とオンプレミス環境をVPNや専用線を介して融合させて利用可能なサービス基盤を提供し始めました。
「ジョブ投入から使えるHPC向けクラウド・サービス 〜解析者を付帯業務から解放するCAE〜」
株式会社クレディスト 代表取締役社長 高野 和吉 様
CAEをクラウドで利用したいという声を聞く機会は増えていますが、クラウドでの実行環境構築などの付帯業務の手間を考えると、なかなかクラウドの利用に踏み切れないケースが多いと思います。
クレディストが提供するクラウド・サービスでは、オンプレミス・クラウドを意識させない解析環境で、付帯業務を最小化して解析業務に集中できます。
設計者・解析者の視点で効率よくCAEを利用できる環境を、利用開始と同時にジョブ投入が可能な状態でご利用できる方法をご紹介します。
「LS-DYNA on Rescale - Enterprise HPC Platform」
Rescale, Inc. 中村 啓 様
Engineering and science simulations demand an increasing amount of computing resources often constraining on-premise systems. Rescale provides a comprehensive cloud simulation platform optimized to run LS-DYNA simulations on-demand. Rescale has the largest cloud HPC network globally and supports over 120 other CAE simulation software codes.
「LS-DYNAをクラウドでスケールする 〜Linux RDMA対応したAzureでのLS-DYNAの活用〜」
マイクロソフト・コーポレーション テジャス・カルマルカー 様
Azure のクラウドHPCインスタンスでは、WindowsだけでなくLinux 上でもリモート ダイレクト メモリ アクセス (RDMA) テクノロジをサポートすることにより、多大な投資をすることなく、お客様・パートナー様が迅速に計算リソースをスケールすることを可能としました。LS-DYNAにおいてもLSTC社とMicrosoftの協業の元で検証を重ねております。
本セッションではMicrosoftクラウドでのLS-DYNAのスケーリング、および活用サービスをご紹介いたします。
11月6日(金)10:00-11:40 【2-C-1 生産技術セッション 2】
「JFEスチールにおけるハイテン材のスプリングバック予測精度向上の取り組み」
JFEスチール株式会社 スチール研究所 薄板加工技術研究部 石渡 亮伸 様
近年、環境負荷への対応から自動車の軽量化が求められている一方で、衝突安全基準がさらに強化されてきている。これらを解決する方法として高強度薄鋼板の適用が拡大してきている。高強度薄鋼板のプレス成形において部品のスプリングバック(SB)は大きな課題であり、CAE解析による事前の予測が重要となってきている。JFEスチールではスプリングバック解析の予測精度向上を目的に、各種の取り組みを行ってきいる。本報告では、高強度鋼板の各種の変形挙動を正確に表現した材料モデルによりSB予測を高精度化した事例と、従来は剛体としてしか考えていなかった金型の弾性変形の考慮によりSB予測を高精度化した事例について報告する。
「Elastoplastic finite element analyses of clad-metal sheet metal forming or plate forging processes.」
MFRC Corporation President Prof. ManSoo Joun
In this study, clad-metal sheet metal forming and plate forging processes are simulated using an elastoplastic finite element method. A layered mesh system generation scheme is employed to reflect the variation of state variables acrosss the thickness using multi-layer mesh system. The force prescribing die is used to apply the blanking holding force on the material. FLD approach is applied to predict the fracture ocurring on the surface of thin clad metal. The predictions are compared with experiments in terms of fracture or length, showing that they are in a good agreement with each other. Rigid-plastic finite element method is also applied to reveal the difference between the two approaches, especially for plate forging simulation.
「ジーテクトにおけるシミュレーションの取り組み紹介」
株式会社ジーテクト 技術本部 開発部 開発課 鈴木 宗 様
G-TEKTは自動車用車体骨格部品の専門メーカーであり、プレス成形シミュレーションの予測精度向上を推進してきた。一方で骨格を構成する要素は材料、構造、接合方法など多様化しており、加工と性能を両立させるためには構造解析の能力も必要だと感じる。そこで、既存の材料データベースを活用しながら、衝突解析も実行する現実的な解決方法についての検討事例をご紹介します。
11月6日(金)12:40-14:20 【2-C-2 新領域セッション】
「包装設計におけるCAE活用」
TOTO株式会社 生産技術本部 技術開発センター CAE技術グループ 三谷 修太郎 様
段ボール解析は、試験片レベルでの基礎検討は行われているが、製品モデルへの適用についてはあまり事例がない。弊社では、主力製品である衛生陶器製品において開発プロセス革新を推進しており、その一環として包装設計へのCAE活用による、設計効率化、適正包装の実現を目指し推進中である。本報告では、衛生陶器製品の底面落下の緩衝性評価手法について報告する。
「超高磁場生成解析の検討」
株式会社テラバイト 技術部 竹越 邦夫 様
高速大変形を可能な電磁成形技術の実用化が進みつつある。数値計算を用いて、複雑形状の電磁成形性を検討するためには、3次元の熱−構造−磁場連成解析が必要である。LS-DYNAでは、バージョンR7から磁場ソルバーが利用可能となっており、LS-DYNAのみで2次元及び3次元での熱−構造−磁場連成解析が可能である。電磁成形解析に関する技術獲得のため、多くの研究者によって取り組まれてきた超高磁場生成法(実験)を題材として、本研究では、電磁成形解析を実施し、解析実施に必要な技術の検討を行った。また、解析の妥当性検討のため、導電性金属の大変形、及び生成される磁束密度について、実験結果との定量評価比較を行った。
「蚊の生体模倣による無痛針の開発 −LS-DYNAによる針の穿刺シミュレーション−」
関西大学 システム理工学部 機械工学科 教授 青柳 誠司 様
蚊の口針の形状と穿刺方法を模倣した低侵襲性の微細針の開発を行なってきた。蚊の口吻は直径が30-50μmと非常に細い複数の口針で構成されている。口針のうち中央の血が通る上唇とその両脇の2本の小顎が、交互に前進しがら徐々に皮膚深部へ進入していくことを、高速度カメラを用いた観察システムにより解明した。
実験・理論の両面から、この3本の針の協調動作が蚊の穿刺を容易にしているメカニズムを解明することを試みている。針が皮膚に挿入される非線形現象を解析するために、LS-DYNAを用いた陽解法有限要素法シミュレーションを実施している。実際の蚊の針を3次元的に精緻に模倣したモデルを作成し、振動を加えながら穿刺することで穿刺抵抗力が低減することの確認に既に成功している。
11月6日(金)10:00-11:40 【2-D-1 テクニカルセッション 2】
「LS-DYNAにおける計算時間短縮方法の紹介」
株式会社JSOL 伊田 徹士
数値解析業務を遂行するにあたり計算モデルの高精度化は重要なポイントですが、近年では高精度化に伴いモデルが大規模化する傾向にあります。そのため計算コストは増大しており、これが生産性を下げる要因の1つになっている、と考えられます。対策として計算の並列化が一般的に利用されるようになってきましたが、計算モデル化によっては通常の並列化では期待した効率が得られないこともあるようです。そこで、本講演では計算モデル化から計算時間を短縮する手法を検討し、種々の問題に応じた効率な使い方をご紹介します。
「LS-DYNAにおける要素の利用技術」
株式会社JSOL 清水 則雄
構造解析において、要素は解析の精度を担う重要な因子の1つとなっています。LS-DYNAには、ソリッド要素、シェル要素、ビーム要素といった構造解析で広く一般的に用いられる要素群、また、EFG、SPHといったメッシュフリー法など、多種多様なフォーミュレーションが実装されており、ユーザーの方には扱われている現象に応じて適切な要素タイプをご活用いただいています。本講演では、上記背景をふまえ、LS-DYNAに実装されている要素の概要と特徴についてご説明するとともに、一般的な利用法についてご紹介いたします。さらに、近年実装された、要素関連の機能についても事例を交えてご紹介いたします。
11月6日(金)12:40-14:20 【2-D-2 テクニカルセッション 3】
「LS-DYNAによる接着剤モデル化手法」
株式会社JSOL 岡村 昌浩
近年、軽量化、異種材料結合の観点から接着剤に対する注目が高まっており、製品開発プロセスにおいて期間短縮が進むなか、CAEによる性能予測が重要となっています。
本公演ではLS-DYNAおいて接着剤をモデル化する手法を、事例を交えながら紹介します。
「LS-DYNAによる破断現象のモデル化」
株式会社JSOL 齊藤 啓
変形中に生じる材料の破断現象が解析結果に与える影響は大きく、予測精度の向上が望まれている。これを背景として、近年、様々なモデル化手法の提案がされた結果、金属に関しては破断の発生を高精度に予測した報告が多くみられる。一方で、破断現象の再現に対するメッシュサイズや方向の影響など、実用的な破断現象のモデル化には解決しなければならない点が多い。LS-DYNAにおいては、このような問題に対応するため新たな要素モデル化手法やリメッシュ機能の導入が進められている。本講演では、LS-DYNAを用いた破断現象のモデル化手法と開発中の新機能の現状についてご報告する。
11月5日(木)9:40-12:20 【1-K-1 全体セッション 1】
※同時通訳
【全体講演】 「JSOLソリューションマップ」
株式会社JSOL 宮地 岳彦
現在CAEを用いた製品開発は産業界ではなくてはならないものになってきています。一方でその役割は一層重要に、かつ複雑になってきており、さらなる課題に直面しています。JSOLではLS-DYNAを中心として、構造、材料、工法を支援するCAEソリューションを構築、お客様のモノづくりの一助を担うべく努力してまいりました。本講演では、LS-DYNAとJSTAMP、およびその周辺のソフトウェアの今後の展開をご紹介します。
【基調講演】 「マルチスケール欠陥力学 ー欠陥転じて強化となすー」
大阪大学 大学院 工学研究科 機械工学専攻 教授 渋谷 陽二 様
マクロな塑性変形は、一般に最密充填原子面での局所的なずれ、転位に起源を持つ。ナノメートルオーダーの線欠陥である転位が、1m2 の面積に1 億個程度突き抜けた状態の密度で塑性変形が進行し、非可逆な過程を経てモノが形作られることなる。この時空間の中で起きている事象をモデル化し、スケールを跨ぐ連成問題として捉えることは非常に困難であるが、材料特性値や変形メカニズムを情報伝達するマルチスケールモデリングが試みられている。本講演では、分子動力学法を用いて大規模な原子モデルの変形過程における欠陥の生成について解析し、線欠陥の転位と結晶粒界の面欠陥との相互作用について述べる。欠陥間の相互作用は、転位の運動を阻止することになり、さらなる荷重が必要となる。すなわち、このことが材料の強化につながる。
【全体講演】 「Recent Development in LS-DYNA」
Livermore Software Technology Corporation Dr. John Hallquist
11月6日(金)14:50-16:55 【2-K-1 全体セッション 2】
※同時通訳
【招待講演】 「New insights into materials and structures using state-of-the art measurement technology」
Fraunhofer EMI Dynamics in Microstructures Head of Department Dr. Michael May
Over the last decade, significant improvements in computational power and choice of material models have resulted in big leaps in crash simulation. On the other hand, basic material testing is - and will always be a necessity - for generating input for the numerical simulation. Additionally, physical crash tests are also required for validation of the models. Therefore, engineers are usually interested in information such as rate- and temperature dependent material behavior, deformation during test, damage and failure, ... This talk gives some insight into recent and currently ongoing developments in material and structural testing. Special attention is given to optical deformation measurements, X-ray imaging, and high-rate testing.
【基調講演】 「新型マツダ・ロードスターの衝突性能開発」
マツダ株式会社 衝突性能開発部 衝突性能先行技術開発Gr マネージャ 上野 正樹 様
ロードスターはマツダブランドの象徴であり、マツダらしい走る歓び"人馬一体"を体現する必要がある。4代目にあたるND型では、初代NA型に迫る車両総重量1トンを切る軽量化と、ブランドテーマである"魂動"デザイン実現に向けた車体骨格の小型化が重要な技術課題であった。お客様に、安心して高いダイナミック性能を堪能いただくために、衝突安全性を犠牲にすることなく、上述の課題を解決していくことが衝突性能開発部のミッションであった。LS-DYNAを中心に最新のCAE技術を駆使しつつ、車体の基本骨格設計から、各部の最適な機能配分、軽量なアルミ材料の適用、そしてグラム作戦と称する徹底した構造の無駄排除により軽量化目標と車体小型化を実現した。その技術内容を解説する。