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2018年11月21日(水)に東京コンファレンスセンター・品川にて「J-OCTAユーザー会議2018」を開催しました。当日の開催レポートをお届けします。
J-OCTAユーザー会議では毎年ユーザーの皆様をお招きし、企業・大学で材料物性シミュレーションに携わる方に最新の研究・事例に関してご講演いただいております。今年もJSOLからはJ-OCTAの新機能の紹介や実装予定の機能についての発表を行いました。出席者数は年々増加しており、今年は約150名の方々にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。
基調講演~高分子の多階層計算はどこまで可能か~
講演者: 名古屋大学 増渕 雄一 様
OCTAには、ソフトマテリアルを計算機シミュレーションで扱うために、さまざまな理論に基づいたシミュレーションモデルが用意されています。
本講演では、OCTAで扱うことのできる種々のモデルの基礎理論から適用事例に至るまで、わかりやすくご説明いただきました。各スケールの担う役割や計算時間の制限、検討可能な物理量など、初心者からベテランの方々にまで非常に参考になるご講演でした。
基調講演~マルチスケール手法と機械学習を用いた分子動力学シミュレーションによる物理量予測~
講演者: 慶應義塾大学 泰岡 顕治 様
本講演では、2つのトピックについてご講演いただきました。
・全原子MDと粗視化MD(Kremer-Grestモデル)をつなぐためのマルチスケール技術
全原子MDで扱うことが難しい時間・空間スケールを扱うためには粗視化モデルが必須となりますが、一般的に、異なるスケールを直接接続することは困難です。本講演では、スケール間をつなぐ手法と事例をご紹介いただき、その妥当性についてご説明いただきました。
・機械学習による物理量予測
機械学習(深層学習)を高分子シミュレーションに適用した研究成果についてご講演いただきました。短時間のシミュレーションデータを用いて長時間のデータを再現するために機械学習を活用する手法です。これは長時間ダイナミクスの計算コストがネックとなる分子動力学計算にとって非常に有用なものとなります。分子動力学計算で数か月かけて得られた結果を機械学習によって数日の計算で再現した事例についてご発表いただき、機械学習に対する期待がより一層高まる内容でした。
当日の資料はユーザー専用ページで公開しています。
ポスターセッション
本年度のJ-OCTAユーザー会議では、新たな試みとして、学生の皆様によるポスター発表を行いました。開催時間中、多くのお客様にご来場いただき、たいへんな盛況ぶりでした。皆様それぞれのポスターの前で足を止めて活発な意見交換がなされていました。
懇親会
講演後に催された懇親会では、和やかな雰囲気のなか、JSOLへのご相談や参加者様同士の交流などがおこなわれました。参加者の皆様から次期バージョンに搭載する機能について多数のご要望をいただき、私たちもユーザーの皆様の課題とご要望についての理解を深めることができました。いただいたご意見をもとに、今後とも引き続き皆様にご満足いただけるようJ-OCTAの開発に精力的に取り組んで参ります。
2019年度ユーザーフォーラム
来年度は、2019年11月6日(水)〜11月8日(金)の3日間にわたり、東京コンファレンスセンター・品川にて、J-OCTAを含むJSOLが扱う種々のCAEソフトウェアのユーザーフォーラムを合同で開催いたします。来年度も多くの方々のご参加をお待ちしております。