[解析事例] ケーブルで接続された基板の放射ノイズの高速計算
- ソルバー
- PEEC 3D
- 解析対象
- プリント基板 / ケーブル・ハーネス

3D PEEC ソルバーにより、基板を含むシステムの計算を高速化
ケーブルで接続されたプリント基板の放射ノイズ計算には、一般に長い時間を要します。EMCoS Studio の 3D PEEC ソルバーは、モデルの 3次元形状の等価回路表現を利用することで、基板を含むシステムの解析を近似的ながら高速に行うことができます。
解析モデル
プリント基板2枚をケーブルで接続したシステムの計算モデルを、下図に示します。各基板はシンプルなマイクロストリップ線路とし、一方の終端部にsin波状の動作電圧を与えたとき、約 1m 離れた測定点における電界強度を計算しました。
図1. 基板 2枚 + ケーブルの 3次元モデル
結果:放射ノイズの傾向を高速に評価可能
PEEC ソルバーの結果と、より精密な3次元電磁界解析(モーメント法)の計算結果を比較すると、以下のようになります。PEEC ソルバーの放射電界は、精密なモーメント法と比べて若干の違いがあるものの、おおむね同じ傾向であり、十分妥当な精度であると言えます。一方で計算時間は、PEEC ソルバーのほうが大幅に短くおさえられます。
厳密な精度は求めないので高速に放射ノイズの傾向を見たいという場合、PEEC ソルバーの活用をぜひ検討いただければと思います。
図2. 放射電界の結果 (モーメント法・PEEC比較)
手法 | 計算時間 |
---|---|
3次元電磁界 | 3分38秒 |
PEEC | 21秒 |
技術解説:PEEC ソルバーについて
本項で使用した手法 PEEC(ピーク)は、別名:部分要素等価回路法ともよばれ、1970年代に開発されたシミュレーション手法です。3次元形状全体を等価回路モデルに変換し、回路計算によって高速に電流分布や電磁界を予測します。
主にプリント基板の計算に利用されている手法ですが、EMCoS Studio の PEEC ソルバーは基板以外の任意の3次元形状の適用可能です。参考として、PEEC の計算のフローを下図に示します。
図3. 3D PEEC ソルバーの処理の流れ
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- ※EMCoS Studio は、旧 EMC Studio が名称変更された製品です。
- ※EMCoS Studioの開発元は、EM Consulting and Software, EMCoS, Ltd.(本社:ジョージア)です。
- ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。