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雑誌掲載記事

【特集】解析技術を活用した材料開発

シミュレーションを活用した機能性材料の開発

株式会社JSOL エンジニアリング本部

高分子関連技術情報誌「Polyfile Vol.51 No.599」掲載

1.はじめに

機関において適用事例が積みあげられてきている。材料,例えば高分子材料をターゲットとして考えると,その物性発現のメカニズムを十分に理解するためには,分子単体の特性に加えて,複数の分子が相互作用することにより発現する特性,さらに高次な構造(相分離,コンポジットなど)を形成する場合に発現する特性などを考慮する必要があり,その空間スケールはA(10-10m)からμm(10-6m)にわたる。このため,ひとつの物理モデルのみでは高分子材料の物性発現のメカニズムを説明することは難しく,スケールごとに異なる物理モデルが適用される。

本稿で紹介するソフトウェア「J-OCTA(ジェイオクタ)」1)は,国家プロジェクト「高機能材料設計プラットフォーム」の成果であるオープンソースソフトウェア「OCTA(オクタ)」2)をベースとして,開SOL が開発,販売している。複数の異なる物理モデル(スケール)をベースとした解析エンジン群と,それらをコントロールするための統合GUI から成り立っており,さらに,それぞれのスケールで得られる情報を互いにやり取りできる仕組みが提供されている。やり取りされた情報を適切に解析に取り入れることで,より幅広いスケールのシミュレーションを行うことが可能である。また,解析エンジンについては,OCTAには含まれない外部のソフトウェアとのインターフェイスも整備されてきており,ユーザーがもともと慣れているエンジンで計算を行うこともできる。

以下では,J-OCTA の機能を中心に,各計算手法を用いたアプローチを紹介する。本ソフトウェアでは様々な材料物性,現象を扱うことが可能であるが,本稿では特に機械特性にターゲットを絞る。

2.全原子分子動力学法

図1 シリカとポリアミドの界面構造 図1 シリカとポリアミドの界面構造

全原子分子動力学法(Full Atomistic Molecular Dynamics: FAMD)を用いることで,主に1 〜 10nm スケールの現象の解析が可能である。図1 は,シリカと高分子(ポリアミド)の界面構造をモデリングしたもので,例えばコンポジット材料における,シリカフィラー表面近傍の現象解析に役立てることがきる。ここでは,解析エンジンとしてOCTA に含まれるCOGNAC とJ-OCTA に含まれるVSOP を用いている。表面への吸着エネルギーや,表面修飾の効果,界面で生じるダイナミクスを直接的に評価することが可能である。ただし,扱える時間スケールは,空間スケールと同様にナノ秒オーダーとなることに注意する必要がある。

図1 のようなモデリングを行うには,各分子の立体構造,原子間のポテンシャル,結晶構造などの情報が必要となるが,J-OCTA にはこれらを含むデータベースや,3 次元モデリングのためのツールが整備されている。

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