[技術情報:新機能] 多層溶接向け固有ひずみ予測
予備試験なしで、突合せ多層溶接の変形予測が可能です
多層溶接を対象とした固有ひずみ法による変形予測においては、複数パスによる変形を考慮して固有ひずみを作成する必要があります。JWELD Welding MEGAは固有ひずみ予測機能を搭載しており、従来から1パス溶接の固有ひずみ予測が可能です。
JSOLでは、従来の1パス溶接の予測機能を拡張し、突合せ多層溶接の固有ひずみ予測機能を開発いたしました。図1のように、継手タイプを選択し、電流、電圧、開先角度や溶接層数といった基本的な溶接条件を入力するだけで固有ひずみが予測できます。予測手法は、佐藤・寺崎の多層溶接予測式※1をベースに開発しております。この固有ひずみ予測機能を利用することで、手軽にJWELD Welding MEGAによる構造物の溶接変形解析が可能です。
図.1 溶接条件設定画面
図2ではV字開先の多層突合せ溶接を対象として、固有ひずみ予測機能を用いたJWELD Welding MEGAでの解析と詳細解析である熱弾塑性解析を比較しています。熱弾塑性解析は溶接学会のアドホック研究会報告資料※2を参考にしています。熱弾塑性解析では、解析モデルに示す溶込み形状や、高温領域での材料定数の準備が必要な一方で、Welding MEGAでは溶接対象の形状データ、室温での材料定数および固有ひずみ予測結果で解析が可能です。面外方向変形量に示すように、熱弾塑性解析の変形を良好に再現でき、非常に短い計算時間で予測結果が確認できます。
予備試験せずに、多層溶接を対象としたJWELD Welding MEGAによる高速なデジタル試作が可能ですので、ぜひご活用ください。
図.2 JWELD Welding MEGA と熱弾塑性解析の比較
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- ●参考文献
- *1. 佐藤邦彦, 寺崎俊夫, 多層溶接の溶接変形におよぼす溶接諸条件の影響, 溶接学会誌, 45巻, 6号, 464?470, 1976.
- *2. アドホック研究会 実構造物への展開を目指した溶接変形予測技術の検証, 溶接学会, 2017年2月.
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