[活用事例] Simpleware SoftwareとLS-DYNAの連携による強度解析 - 腕神経叢モデル
- 分野
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- 医工連携
- 構成
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- Simpleware Elite
- 解析ソフト
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- LS-DYNA
CT・MRIデータから作成した腕神経叢モデルの有用性を検討
本事例は山口大学大学院医学系研究科整形外科学、山口大学大学院創成科学研究科機械工学科で交通事故やコンタクトスポーツ、転落など高エネルギー外傷で生じる腕神経叢損傷に対して、臨床的に報告されている腕神経損傷の受傷機序の解析を3D‐FEMモデルで実施し、碗神経叢モデルの有用性を検討した事例です。
腕神経叢3Dモデルの作成
ScanIPによりCT・MRI画像/解剖書を元にそれぞれ頸椎、肋骨、鎖骨、肩甲骨、上腕骨、椎間板、肋軟骨、腕神経叢モデルを作成されました。
Simplewareによる3Dモデル化とFEモデル作成
- 頸椎、肋骨、鎖骨、肩甲骨、上腕骨、椎間板、肋軟骨をCT・MRI画像を元に作成。
- 解剖書を参考に頸髄硬膜から神経根を延長しすることで硬膜・腕神経叢モデルを作成。
- 各種骨モデルと硬膜・腕神経叢モデルを組み合わせて全体モデルを作成。
上肢モデル
LS-DYNAによる動作解析
作成したモデルに対して頸部の後屈、側屈、回旋、上腕の外転動作を模擬した条件を与えることで各挙動に対する腕神経叢へのひずみの集中を確認されています。
動作条件
頸椎に強制角変位を与えることで頸部の後屈、側屈、回旋をそれぞれ再現した。
与えた強制角度変位は各変位方向の最大可動域より以下の角度を与えた。
- (1) 頸部後屈:33°
- (2) 頸部側屈:23.5°
- (3) 頸部回旋:25.5°
上腕の外転は上腕骨に以下の強制角変位を与えることで再現した。
- (4) 上腕外転:30°
解析結果
解析の結果頸椎屈曲、頸椎側屈動作は碗神経叢上部にひずみが集中し、上腕外転動作では腕神経叢下部にひずみが集中することが確認されました。
碗神経損傷の受傷機転として上位型は頭頚部が患側の上肢と反対方向に暴力的に加わることで発生し、下位型は上肢に強い外転・拳上の力が加わることで発生することが報告されています。
ひずみの集中している部位は碗神経損傷の受傷機転の臨床報告と一致しているため、このモデルは様々な病態生理の解析の一助となる可能性が示されました。
- 出典
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- Mihara A, Kanchiku T, Nishida N, Tagawa H, Ohgi J, Suzuki H, Imajo Y, Funaba M, Nakashima D, Chen X, Taguchi T.
Biomechanical analysis of brachial plexus injury: Availability of three-dimensional finite element model of the brachial plexus.
EXPERIMENTAL AND THERAPEUTIC MEDICINE 15: 1989-1993, 2018.
- Mihara A, Kanchiku T, Nishida N, Tagawa H, Ohgi J, Suzuki H, Imajo Y, Funaba M, Nakashima D, Chen X, Taguchi T.
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