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2012.06.01

ドイツ自動車衝突安全の最新動向 SafetyWeek 2012参加レポート

カテゴリー
: セミナー・イベント

2012年5月8日〜10日にドイツで開催されたCarhs社主催のSafetyWeek2012に参加いたしました。(株式会社JSOL 岡村昌浩)

SafetyWeek 2012 開催概要

日時: 2012年5月8日〜10日(3日間)
場所: Stadthalle Aschaffenburg(ドイツ、アシャッフェンブルグ市)
URL: http://www.safetyweek.de/134-1-News.html

今回参加したSafetyWeek2012はSafetyUpdate、CrashTesting、SafetyExchange、SafetyExpoといった一連のカンファレンスやフォーラムを含む、3日間の自動車衝突安全関連のイベントで、ドイツ各地の自動車メーカー、サプライヤはもちろんの事、日本や韓国などドイツ語圏外の方々も参加されていました。

5月8日 Crash Testing 2012

自動車衝突安全に関する実験装置に関する最新情報を提供するCrashTesting2012には50名程度の参加者があり、衝突試験施設、衝突実験の機器メーカー、ダミーメーカーおよびセンサーメーカーから、衝突試験を取り巻く現在の環境や、今後の動向等が紹介されました。

特に今年はサイドクラッシュのスレッドテストがクローズアップされており、各社独自の特色を持つスレッド試験機を紹介していました。また乗員ダミーメーカーから乗員・歩行者ダミーの現状や今後の展望、そして製品の品質向上に対する取り組みについての講演が行われた他、計測機器メーカーより実験データ収集システムや実験時の照明、Car2Carクラッシュに対する最新技術および今後のアクティブセーフティーへ対応についての展望が紹介され、今後の自動車衝突安全の動向を理解するための貴重な情報を得ることができました。

5月9日〜5月10日 SafetyUpdate 2012

SafetyUpdateは、ドイツの自動車関連企業が最新情報を入手・交換しあう場として2003年に第一回が行われてから今回で丁度10回目の記念を向かえ、今回参加者は130名を数えました。講演自体はドイツ語で行われますが、ドイツ語圏外の参加者のために同時通訳が行われ、ほとんどの資料は英語に翻訳されて提供されているため、近年ではアジアからの参加者も目立ち始めています。

今回は2日間14セッションに渡り、ドイツの大学、研究機関、企業から各分野を代表する方々により自動車衝突安全の最新情報と今後の展望について講演が行われました。

  • Biomechanics
    障害メカニズムについて現在注目されているトピックについての講演がミュンヘンの大学教授より行われました。今年は女性の鞭打ち障害についての研究プロジェクトADSEATの最新情報が紹介されました。また、今後注目される後部座席の乗員安全についての展望についても紹介が行われました。
  • Consumer Tests(NCAP)
    世界各国のNCAP(New Car Assessment Program)についての最新情報が、ドイツ連邦道路交通研究所(bast)より行われました。今回の講演ではChina-NCAPの最新情報およびEuroNCAPで2013年から2017年までに予定されている変更点が非常に分かりやすく説明されました。また今後重要となるNCAPでのアクティブセーフティーに対する考え方についても紹介されました。
  • Forward Looking Pedestrian Protection
    歩行者の保護を更に進めるためには一般に行われているパッシブセーフティーだけではなく、衝突する前に歩行者を検知し対策を行うアクティブセーフティーが重要になります。今回はドイツvFSS(advanced Forwardlooking Safety System)プロジェクトから、「歩行者検知」の重要性と、検知性能の評価手法についての講演が行われました。
  • Safety Concept(Ford, Opel, Audi, Mercedes)
    現在、アクティブセーフティーやドライバーアシスタンスシステムが急速に広がりを見せてきています。今回のSafetyUpdateでは欧米各社よりレーンキーピングデバイス、レーンデパーチャーワーニングや自動ブレーキングシステムをはじめ、乗員の疲労度検知や自動縦列駐車システム等の最新機能の紹介が行われました。
  • Rules & Regulations
    自動車の普及に伴い、各国の交通事情に合わせて制定される法規制も多様化しており、それらの動向を掴むことの重要性が増しています。今回はEEVC(European Enhanced Vehicle-safety Committee)の現状、 GTR(Global Technical Regulations)より歩行者保護、鞭打ち対策、側面衝突についての最新情報が、ECE(Economic Commission for Europe)について正面衝突、幼児保護、歩行者保護の最新動向が紹介されました。
  • Pedestrian Protection
    歩行者保護についてはドイツのOEMより歩行者脚部インパクターであるFlex PLI(Flexible Pedestrian Legform Impactor)の開発最新情報と今後の展望および、歩行者ヘッドインパクト試験のグリッドメソッドについての最新情報および評価方法の詳細が紹介されました。
  • Testing
    今後重要となるアクティブセーフティー関連の試験装置の紹介および乗員ダミーの開発状況と今後の展望の講演がドイツOEMより行われました。また側面衝突やIIHS(The Insurance Institute for Highway Safety)のSmall Overlapに対してドイツOEMで行われた試験の実験装置が紹介されました。
  • Quantum Leaps in Safety
    SafetyUpdateが今年で10周年を迎えるにあたり、1960年台から現在までの衝突安全における革新技術の変革に関するプレゼンテーションが行われました。過去から現在に渡る豊富な資料と共に、車体構造や乗員拘束装置が法規制の変化やNCAPからの要求と共にどのように進化して来たかが紹介されました。
  • Simulation
    ドイツOEMより、自動車衝突安全に関するシミュレーション技術の現状と最新技術、更に今後の展望が紹介されました。またドイツのCAEワーキンググループで現在取り組まれている最新の研究テーマからの成果紹介が行われました。
  • Frontal and Side Impact
    正面衝突ではIIHSスモールオーバーラップで実際に行われた試験結果を紹介し、その内容についての考察が行われました。また今後重要となると思われる、幼児保護や後部座席の乗員保護についての情報や知見が紹介されました。

5月9日 SafetyExchange

SafetyExchangeはSafetyWeekのレセプションとして行われるイブニングイベントで、一般にもオープンとなっています。SafetyWeekへの参加者は自動車衝突安全のエキスパートであることから、人脈を広げるためにイブニングイベントのみに参加する方も見受けられました。

今年はSafetyUpdateが10周年ということもあり、有識者によるパネルディスカッションが開催されました。その中でもアクティブセーフティーの話題が多く、今後の方向性を示していると感じました。

まとめ

今回のSafetyUpdateでは全般にわたりアクティブセーフティー、インテグレーテッドセーフティーの重要性が上がってきていることや、保護対象について乗員の年齢・性別、座席の位置等の幅が確実に広がってきていることが見て取れました。今回得た情報を今後のサービスに生かしていきたいと考えています。

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