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CAE Technical Library 注目機能紹介 - CAE技術情報ライブラリ

ODYSSEEによるデータ活用:
Reduced Order Model(次数低減モデル)
によるリアルタイム予測

カテゴリー
: 機能紹介
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ODYSSEE / LS-DYNA

従来のCAE、特に設計の現場ではこれまで大量の計算が行われてきました。そのなかには、モデルはほとんど同じまま、板厚・材料定数・コーナーRなど、一部の条件を変えて実行された解析も数多くあるはずです。そのような計算結果が数多く残されているモデルで、また新たに「ほんの少しの条件違い」で計算をするときは、ODYSSEE(オデッセー)の出番かもしれません。

ODYSSEEでは、条件を変えたいくつかの計算結果があれば、簡単な操作で次数低減モデル(ROM)の作成が可能です。次数低減モデルの利用により、短時間・低負荷で解析結果を予測できるため、ラップトップPCのような解析向きではないマシンでもリアルタイムで予測結果を得ることが可能となります。

スレッド解析のROM作成

本稿では、スレッド解析の事例を対象にROMの作成方法およびそのメリットを紹介します。自動車メーカーでは、下図のようなスレッド試験装置を用いた傷害値計測が行われてきました。なかでもダミー頭部の加速度は、傷害値を算出する上で重要な指標となりますが、非線形性が強く複雑な応答を示します。

スレッド試験における頭部加速度
Fig. 1 スレッド試験における頭部加速度

ROMの作成に必要な情報は、変更したい条件(入力)と評価したい応答(出力)の2つです。今回は、スレッドの初速度とエアバッグのマスフローレートを変更した計10ケースの計算をLS-DYNAを用いて実行し、その入出力データを学習データとして使用します。ODYSSEEの入出力はCSV形式のため、FE計算結果はもちろん、試験結果もODYSSEEへの入力に利用できます。

ROMを使った傾向予測

結果は以下の通りです。完璧な精度での予測とまではいかないものの、わずか10ケースの学習により、加速度波形の全体傾向を予測することができます。さらに、波形の予測にかかった時間はわずか26秒です。FEMで計算すると、32並列で2時間45分かかる計算が、1/300以下の時間で予測できてしまいます。

実際の解析結果とROMを使った波形予測の比較
Fig. 2 実際の解析結果とROMを使った波形予測の比較

ODYSSEE/Lunarによる操作例

下の動画は、ODYSSEEを使って過去の解析結果(学習データ)と変更したい条件をCSVファイルで読み込み、予測が完了するまでの操作イメージです。1つの画面からクリックしていくだけで、リアルタイムに予測結果を確認できます。

ODYSSEE/Lunarによる操作例(動画) Fig. 3 ODYSSEE/Lunarによる操作例(動画)

LS-DYNA連携機能

さらに、ODYSSEEにはLS-DYNAとの専用連携機能が実装されています。教師データに利用したケースのアニメーションファイル(d3plotファイル)があれば、ODYSSEEによる予測結果のアニメーションも自動的に作成されます。下の図は、LS-DYNAの計算結果(左)と、同じ条件でODYSSEEが予測した結果(右)です。このように、実際の解析結果に近い予測を視覚的にわかりやすく確認できます。

予測結果のアニメーション自動作成
Fig. 4 予測結果のアニメーション自動作成

いかがでしょうか?ODYSSEEを活用することで、既に役目を終えてしまったとばかり思っていた古い解析結果から、新たな結果を予測できる可能性があります。少しでも気になった方は是非、こちら からお問い合わせください。

  • ODYSSEEは高度な計算ライブラリ(AI、データマイニング、統計処理)を含むQuasarエンジンをベースとしたAI・データマイニング・最適化プラットフォームです。
    製品設計に関するエンジニアリングの分野だけでなく、工場設備のプランニング、株式市場でのリスクマネージメントなど統計分析の分野でも活用されています。
    エンジニアリングの分野に対して、製品設計に有用な機能をパッケージングし、多変量解析手法とAI技術の融合により高速に多変数のパラメータを高精度に近似できるツールを提供しています。
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