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JSTAMP次世代ポストプロセッサのご紹介

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JSTAMP

JSOLでは「便利で役立つシミュレーションソフト」を合言葉に、ものづくりのさらなる技術発展に対応したJSTAMPの機能開発を進めています。このなかでポストプロセッサは解析の結果評価を詳細かつ迅速に行い、エンジニアの皆様にさまざまな設計を検討するための情報をご提供する重要なツールです。解析結果の本質を理解し、対策検討を支援することを目指してきた次世代ポストプロセッサは2018年から企画検討が始まりましたが、本稿ではその開発コンセプトとともに、2023年12月末にリリースする最新機能と今後の展望をご紹介します。

「次世代」ポストプロセッサの開発コンセプト

プレス成形不具合の早期発見と分析力向上のため、金型構造全体のソリッド要素によるモデル化や、細密メッシュによる面ひずみ評価など、精度向上を目的とした解析モデルの高精度化・大規模化が進んでいます。 これを受けてJSOLでは、金型設計の全業務プロセスにおいて、効率化と品質改善に貢献するポストプロセッサに進化させることを目的に、次の3つのコンセプトを掲げて次世代ポストプロセッサを開発してきました。

  • ・高精度・大規模解析モデルに対応できるパフォーマンスを提供する
  • ・複雑な現象をわかりやすく見える化し、原因と対策を示して金型設計を効率化する
  • ・部門間のコミュニケーションの促進し、品質改善を支援する

大規模モデル(1000万要素以上)の高速表示、ソリッド要素の応力表示と型剛性評価の対応、断面での成形状態の評価など、素材と金型の挙動を詳細に確認できるようになったほか、従来のプレス成形評価機能もより使いやすくなっています。さらに、新設した解析結果データ容量を大幅に削減するビューワーファイルではコメントを残すことができるため、他部門との情報伝達・共有手段としても活用できるようになりました。これにより、従来の分析・検討では把握できなかった気づきやアイデアが生まれ、設計の可能性を広げられる、新たな価値を創造するポストプロセッサへと進化しました。

高精度・大規模モデルに対応できるパフォーマンス

操作性と処理速度の向上

円滑に金型設計をすすめられるよう、使いやすさ・作業のしやすさを追求し、ユーザーインターフェースを全面リニューアルしました。マウス操作は主要なCADソフトに合わせることが可能で、3Dマウス(3Dconnexion社SpaceMouseシリーズ)にも対応しており、成形不良の原因を確認しながら、スムーズに CAD での設計作業に移ることができます。

図1. 新しいユーザーインターフェース 図1. 新しいユーザーインターフェース

アーキテクチャの抜本的な見直しにより、描画の高速化を図りました。アニメーション再生やモデルのビュー操作などの処理時間を飛躍的に短縮し、大規模モデルにおいてもストレスなく操作・評価できるようになりました。

図2. 現行版と次世代版の処理時間の比較 図2. 現行版と次世代版の処理時間の比較

高精度化に応えるソリッド要素対応

ソリッド要素の読み込みと表示に対応するとともに、任意の断面におけるカット表示により、金型のたわみ量、金型内部の応力・ひずみ、上下型のクリアランスなどの状況確認と分析から、データに基づいて、リブの形状や配置などの型構造設計を進めることができます。

図3. 金型の内部状態の表示(応力集中箇所の見える化) 図3. 金型の内部状態の表示(応力集中箇所の見える化)

使いやすさ、わかりやすさ、評価しやすさの提供

進化したプレス成形評価機能

板厚減少率、FLD(成形限界線図)、しわ、流入、成形荷重などの成形不良の評価機能を、より使いやすく・わかりやすい機能へと進化させました。操作性を向上し見やすくなったチェック・測定機能とあわせて、より円滑な解析結果の評価環境を提供します。

図4. ポストウィンドウとチェック・測定コマンド 図4. ポストウィンドウとチェック・測定コマンド

画面レイアウトも大幅に見直しました。シングルビューによるモデルの評価に加え、マルチビューでの複数モデルの評価・比較の際にも、画面内にモデルが大きく表示されるため評価・比較がしやすくなりました。

図5. 条件違いの2つの計算結果の比較 図5. 条件違いの2つの計算結果の比較

FLDや成形荷重のグラフでは細部を確認できるよう見やすさを追求するとともに、現行版と同じように複数の評価式による評価ができるようになっています。

図6. FLDと成形荷重グラフ 図6. FLDと成形荷重グラフ

変形表示機能では、変形方向のプラス側とマイナス側の色を分けた表示や、変形倍率を指定して変形を誇張した表示ができるようになり、スプリングバック量や金型たわみ量と変形傾向が把握しやすくなりました。
これにより、より直感的な操作で、さまざまな視点からの状況把握と定量分析が可能となり、設計へより詳細なフィードバックが可能となりました。

図7. スプリングバック変形の評価 図7. スプリングバック変形の評価

また、形状評価機能においても操作性とパフォーマンスを改善し、各種位置合わせ機能と距離コンター表示機能により、正寸からの乖離状況を簡単に確認できるようになりました。各測定機能や断面カットにより、ねじれ、壁そり、稜線そりによる寸法誤差や角度差を詳細に把握・分析でき、張力や見込み量の調整と成形方法の改善など、対策検討のための情報を提供します。

図8. 位置合わせと距離コンター(形状評価機能) 図8. 位置合わせと距離コンター(形状評価機能)

軽量ビューワーによるコミュニケーションの促進支援

解析結果を軽量なビューワーファイル(JSTAMP-Viewerファイル)に保存することでデータ容量を削減でき、アニメーションを見ながら不良個所を確認し、注記として指示やコメントを残すことができます。報告書を作成する必要がなく、直感的に理解のできる3次元データで、漏れのない情報伝達が可能です。修正指示や設計変更前後の結果確認・パネルの検査結果など、設計/解析/試作/計測などの部署間、または社外へのコミュニケーションツールとして活用できます。解析担当だけでなく多くの担当者と共有することで、アイデアを広げて対策を講じる手助けをします。

図9. JSTAMP-Viewer 図9. JSTAMP-Viewer

今後の展望

直近では、さらなる予測精度向上やリードタイムの短縮を目的に、測定データを活用するための機能追加を検討しております。
JSOLは、「金型設計の構想から最終段階」まで、より便利で役立つJSTAMPをご提供できるよう、今後も次世代ポストプロセッサの機能拡張を継続します。今後の発展にご期待ください。

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