
CAE Technical Library 注目機能紹介 - CAE技術情報ライブラリ
複合材料シミュレーションソフトウェアDigimatは、樹脂複合材料製品の高度なものづくりに対応するためのさまざまな機能が搭載されています。本記事では、近年のアップデートにおいてDigimatに追加された注目機能をご紹介します。
樹脂流動―構造解析連携 Digimat-RP
Digimat-RPは繊維配向など、樹脂流動解析で得られた情報を構造解析用の材料モデルへ反映するためのGUIです。これまで、成形工程解析 ‐ 構造解析の連携解析を行うためには、各ステップでそれぞれ専用のツールや機能を起動して連携解析に必要な設定を与えていく必要がありました。新しいDigimat-RPでは、連携解析用の材料モデル設定(Digimat-CAEやDigimat-MX)やマッピングツール(Digimat-MAP)の機能が統合され、より使いやすく進化しています。
また、剛性、強度などの解析に加え、以下の解析に対応が広がり、さまざまな検討にお使いいただけるようになりました。
- ・疲労解析
- ・熱伝導
- ・熱力学解析
- ・キュアリング材料モデル適用
- ・振動解析
*対応可能なFEMソフトウェアには制限があります。詳細はお問い合わせください。
図1 繊維配向を考慮した熱伝導解析(DigimatとMarcとの連携解析)
図2 硬化度を考慮した変形解析結果(左:変位量結果、右:ある節点でのマトリクスの硬化度結果)
樹脂積層造形プロセスシミュレーション Digimat-AM
Digimat-AMは、樹脂積層造形の成形過程で生じる反りや温度分布などの解析が可能なツールです。FFF(Fused Filament Fabrication)またはFDM(Fused Deposition Modeling)と呼ばれる熱溶解積層方式およびSLS(Selective Laser Sintering:選択的レーザー焼結方式)による造形プロセスに対応しています。造形する際の経路に依存した異方性を考慮した変形・残留応力を計算することで、使用する材料やプロセス・製品形状の最適化を行うことが可能です。
アップデートにより、より簡単に、より精度よく解析が行えるようになりました。
3Dプリンタの解析専用ウィザード
Stratasys社製の3Dプリンタの解析専用のFDMウィザードモードを追加しました。これにより、製品形状(形状データの選択)、ツールパスファイルの選択、材料モデルの選択、ボクセルサイズの設定のみで解析を実施可能になり、より手軽に積層造形解析を実施できるようになりました。
サポート材の設定や試験機に関するより詳細な設定(ビード幅や冷却時間、室温など)を行う場合は、従来の設定画面を選択することも可能ですので、求める精度や目的により使い分けていただくことが可能です。
サブボクセルを含む不均一なボクセルメッシュ
Digimat-AMでは解析に必要なボクセルメッシュのメッシャーも内包されているため、メッシュ作成もDigimat-AMで対応することが可能です。これまでは均一なボクセルメッシュのみの対応でしたが、サブボクセルを設定することが可能になりました。これにより要素数を抑えながら、モデル形状をより詳細に再現することが可能になり、計算コストと計算精度の両方の要求を満たす解析を実施可能になりました。
メッシュの品質評価
元のモデルの体積との比較や成形時に使用される材料の体積の評価を行うことが可能です。サブボクセルを含む不均一なボクセルメッシュの作成機能と合わせ、より実物のモデル形状に近いメッシュを作成し、より精度の高い計算結果の取得を目指します。
図3 Digimat-AM FDM Wizard
図4 サブボクセルメッシュ
仮想クーポン試験 Digimat-VA
Digimat-VAは、連続繊維積層材料のクーポン試験や層間剥離試験の解析を行うことに特化した解析ツールです。実際の材料や試験片、試験環境などにはばらつきが発生していますが、これまでFEMでは1つ1つ手動で条件を設定してバラツキを再現していました。Digimat-VAではそれらのばらつきを自動的に解析モデルに反映、一括して計算を行うことが可能です。
近年、対応する試験の種類が増え、以下に示す材料試験に対応しています。実施する試験のコストを抑え迅速な材料開発にお役立ていただけます。
Digimat-VA対応試験
- ・対象材料:連続繊維強化樹脂積層材料
- ・試験片種類の選択(ノッチの有無、孔の有無、試験片サイズ指定など)
- ・試験種類の選択(引張、圧縮、Double/Single shear bearing、面内せん断、曲げ(3点、4点)、衝撃など)
- ・層間剥離試験(Short beam strength、Curved-beam strength、Double cantlever beam、Caliblated end-loadid split)
図5 Digimat-VA層間剥離の試験の設定画面
その他、Digimat-MF(等価介在物法)やDigimat-FE(RVEモデリング)においても解析対象や搭載材料モデルが増え、さまざまな解析に対応が可能になっています。ご興味ございましたら こちら からお気軽にお問い合わせください。