
CAE Technical Library 注目機能紹介 - CAE技術情報ライブラリ
これまで3回にわたりAnsys Discoveryに関する情報を発信してきました。
今回はリリースされたばかりのAnsys Discovery 2024R2に、新たに追加された流体解析や構造解析の新機能と整備されたマニュアル類についてご紹介します。
流体向けGPUメッシングの強化
Ansys Discoveryの流体解析機能は、GPUを用いた高速演算とVOXELメッシャーによる高速ロバストなメッシングに強みをもっています。反面、広い領域から狭い流路までを同一サイズのVOXELメッシュで解像しようとすると、モデルの規模が大きくなりすぎてGPUメモリ容量を超過してしまうことがありました。
新バージョンの2024R2では、広い空間は従来のVOXELメッシュでモデル化し、狭い流路は局所的なポリへドラルメッシングを適用し、両者の境界を接続できるようになりました(図1)。これにより、微小物体周りや狭い流路があってもメモリ使用量を抑えた上でモデリングすることが可能となりました。モデル化規模の目安は、GPUメモリ1GBにつき100万メッシュ程度です。そのため、最新のミドルレンジのGPUカードであれば1000万メッシュ規模のモデルでも高速に計算することができます。
図1.薄い流体経路の再現性向上
ボルトのセットアップとモニタリング
アセンブリの構造評価において、ボルトのモデリングは煩雑な作業になります。Ansys Discoveryでは、ボルトをモデル化していない状態からモデル内の同一寸法の穴径を探索してボルトをセットアップする、簡易なワークフローを提供します。SAE、Eurocode、ASTMの各ボルト規格がデータベースに登録されているので、その中から該当するボルトデータを一括して割り当てることが可能です。初期張力やトルクを与えることもできるので、ボルト軸力を考慮した状態で構造解析を実施できます(動画1)。AISC ASD基準に基づいてボルトの安全率を判定できるので、設計上流での素早い対策検討が可能となります。
検証用マニュアルとショーケースマニュアルの掲載
Ansys Discoveryには、高速で使いやすいと高い評価をいただく一方で、VOXELモデリングによる解析精度を不安視する声もありました。これを受け2024R2では、理論解や実験データとの比較が容易にできるよう、開発元による42の検証ドキュメントをホーム画面のパネルから参照できるようになりました(図2)。また、オンラインヘルプではAnsys Discoveryの機能を紹介する実例集を収録し、解析対象に応じたベストプラクティスを紹介しています。2024R2では、次の4題が収録されています。
- ・プリント回路基板の固有値解析
- ・デバイス水冷を対象にした共役熱伝導-流体連成解析
- ・航空機エンジンブラケットのトポロジー最適化
- ・バルブ開度による流量係数変化を予測する流体解析
いずれも実用的な内容が解説されており、操作方法の習得だけでなく結果評価の考え方についても学習することが可能です。
図2.整備された検証用マニュアル
Ansys Discoveryは、汎用のCAEソルバと比べてユーザーインターフェースが非常に使いやすく、CAE専任者でなくても短時間で使いこなすことが可能です。
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