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CAE Technical Library 注目機能紹介 - CAE技術情報ライブラリ

樹脂材やゴム材の高精度予測に向けたパラメータ同定

カテゴリー
:機能紹介
関連製品
:Ansys MCalibration / Ansys PolyUMod / Ansys LS-DYNA

樹脂材料やゴム材料は軽量化や緩衝、減衰機能といった幅広い用途で工業製品に広く使われており、CAEでも古くから解析対象として扱われていました。ただ、実機を精度よく再現するためには複雑な材料モデルが求められるうえ、複数の材料パラメータを効率的に同定するには豊富な知見や最適化ツールが必要不可欠でした。

本稿でご紹介するAnsys MCalibrationとAnsys PolyUModは、組み合わせて用いることで、これまで困難だった樹脂やゴムの高精度予測を実現し、試作数や予実差にともなう手戻りを削減することが期待できます。

材料同定ツールAnsys MCalibrationの特徴

一般的な材料同定ツールは、実験データを読み込んで、フィッティングしたい材料モデルを選択し、最適化手法を用いて実験データを再現するようにパラメータを同定する機能を持ちます。しかし、計算コストの面や最適化処理への理解など、適切に利用するにはいくつかのハードルがありました。
Ansys MCalibrationは、樹脂やゴムの材料モデル研究で世界的に著名なBergstrom博士らの20年以上に渡る研究の成果が反映された、高度で洗練されたツールです(図1)。特に、内蔵ソルバの計算が高速であることと、初心者でも容易に最適化処理が利用できる扱いやすさが特徴です。これにより、最適化処理の初心者でもパラメータ同定を短時間で行うことができます。

図1. Ansys MCalibrationの画面イメージ図1. Ansys MCalibrationの画面イメージ

製品内には樹脂やゴムの試験データ が登録されています。図2にその一覧を示します。複数のひずみ速度、単純な引張や圧縮だけでなく、繰り返し試験やクリープ試験など多彩なデータが登録されているので、登録された試験データに解析対象があればすぐにパラメータ同定作業を始めることができます。

図2. 登録されている材料試験データ図2. 登録されている材料試験データ

材料モデリングソフトウェアAnsys PolyUModの特徴

Ansys PolyUModが対応する材料モデルを図3に示します。ゴムや樹脂の特性を再現可能な材料モデルを搭載しており、一般的なシミュレーションソフトウェアでは扱えない高度な材料モデルも利用できます(複雑な材料モデルのパラメータ同定には上述のAnsys MCalibrationが推奨)。また、Ansys製品であるAnsys LS-DYNAやAnsys Mechanicalはもちろん、AbaqusやCOMSOL Multiphysicsといった他社製ソフトウェアにも対応したサブルーチンモジュールも提供しています。

図3. Ansys PolyUModが対応する材料モデル図3. Ansys PolyUModが対応する材料モデル

各種材料モデルを比較した予測性能ベンチマーク

Ansys PolyUModのモデルを含めて、開発元が実施した複数の材料モデルの予測精度を比較した事例をご紹介します。
図4は対象とした熱可塑性コポリエステルの試験データです。それぞれ、以下の試験データを示します。

  • 黒線:一軸引張後に1時間応力緩和
  • 青線:一軸引張と10分の応力緩和の繰り返し
  • 緑線、紫線:ひずみ速度違いの一軸引張のみ

図4. 熱可塑性コポリエステルの試験データ図4. 熱可塑性コポリエステルの試験データ

図5に各材料モデルでの比較結果を示します。
左側の赤の部分が金属塑性モデルを示しており、最良でも誤差20%弱となっています。真ん中の緑の部分で示した“ばねとダンパーで構成される高分子を模倣したネットワーク構造”では、2層の粘塑性モデルは50%を超える誤差となり、この材料には適していないことがわかります。青の部分は、開発者が推奨するThree-Networkモデルです。
結果、今回解析の対象とした熱可塑性コポリエステルでは、青色で示した開発者が推奨するThree-NetworkモデルであるPolyUMod TNならびにPolyUMod TNVが試験をよく再現する結果となりました。

図5. 各材料モデルでの比較結果図5. 各材料モデルでの比較結果

さいごに

今回ご紹介したケースはあくまで一例に過ぎませんが、Ansys MCalibrationとAnsys PolyUModの組み合わせは、これまで予測精度が壁となりCAEの適用が難しかった樹脂やゴムに対しても、設計初期段階からの予実差検討への活用が期待できます。

JSOLではAnsys MCalibrationやAnsys PolyUModを用いたベンチマークや無償トライアルも受け付けております。
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