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CAE Technical Library インタビュー - CAE技術情報ライブラリ

ユーザー事例:一歩先の未来技術をキャッチアップ!組織の垣根を超えたワンチーム
ご利用企業様の声:トヨタ自動車株式会社(レクサス)様

カテゴリー
:技術情報 / その他
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Ansys LS-DYNA

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お話を伺った人

前田建設工業株式会社 石黒 健 様

  • トヨタ自動車株式会社 Lexus International
    レクサス車両性能開発部 感性性能開発室 空力グループ
    中江雄亮氏
    トヨタ自動車はこれまで空力を利用した車の性能向上を推進し、異業種との交流も積極的に実施しそこで得た新たな知見も、車の開発に反映し大きな成果をあげている。本稿では、組織の垣根を越えて中江様と当社で築き上げたワンチーム視点のエピソードを紹介します。
    空力利用などの詳細は、Ansys様の記事のほか、トヨタ自動車様の動画を参照ください。
  • トヨタ自動車様動画:Wings
  • Ansys様記事:Toyota Simulates from Land to Air and Back Again

― 技術者として中江様の根っこをお聞かせください。

中江 2007年にトヨタに入社して以来、一貫してCAEを利用した次世代の空気力学(空力)解析の技術開発に携わっています。大学との共同研究も行ってきましたが、根っこは学生時代に没頭した計算流体力学の研究とそこでの流体解析コードのコーディング経験なのかもしれません。

― Ansys LS-DYNAに初めて触れた時の第一印象は、いかがでしたか?

中江 Ansys LS-DYNAに出合ったのは8年前です。大学時代にハウスコードを使用していた私にとって、商用コードで流体現象を詳細に解析できるのか、と正直半信半疑でした。商用コードでは想定されていないような問題を解きたいからこそハウスコードを逐次コーディングしてきた訳ですから。しかし実際にAnsys LS-DYNAを使用してみると、「そうだよね、こういう結果が出るよね」と、結果に違和感がなかったです。ただ、当時はインターフェースが提供されていなかったのでいろいろと大変でした。そのせいで、未だにインプットはテキストです(笑)

― Ansys LS-DYNAを導入してよかったことはなんですか?

中江 今までだと車両の静止状態でしか空力性能を評価できなかったのに、Ansys LS-DYNAでは、車両の動きも考慮しながらその周りの空気の流れを解くことができるようになりました。これが一番のアドバンテージでした。車体運動とカップリングし、実際に運動させた時の空気の状態を知ることができるというのは、実地試験でも他の商用コードでも難しいですし、ハウスコードだと解析が不安定だったりするので助かっています。

― 商用コードに対する期待と不安は?

中江 運動時の流体を解ける商用コードではありますが、車両技術開発の中で我々が解きたい問題は日々変わりますし、それがコード側にとって想定されていない使い方であったり境界条件である場合、どう適用させることができるか不安でした。ハウスコードなら自分たちで機能開発できますが、商用コードでは開発元にすべてを委ねるしかありません。当時の私にとってここが一番の不安材料でした。振り返ると、コードの構成がシンプルであり、JSOLさんや開発元LST(現Ansys)による迅速な機能開発に応えられる素性の良さがAnsys LS-DYNAにはあったのだと思います。

― JSOLとの出会いを振り返ってみると?

中江 出会いというと、8年前、天野さんたちと会議室でお会いした日のことは鮮明に覚えています(笑)。そこからサポート業務を通じて感じたJSOLの印象は、アットホーム感があることですね。皆さんAnsys LS-DYNAのスペシャリストなんですが、気さくなんです。 技術者として熱い方が多いので技術的にもすごく信用できるし、人間としても楽しいというか、魅力的な人が多い印象です。実際、思いもよらないアドバイスをいただけたり、どうにもならないトラブルも一晩で解決していただけたりしているので、私はとても助かっています。

― もう少し具体的にお聞きして良いですか?

中江 言い換えるとJSOLさんは「信頼できる」です。先にも話しましたが、解きたい問題は従来の想定を超えた先にありました。このままAnsys LS-DYNAを使い続けて良いのか、という判断の決め手になったのがJSOLさんに対する信頼です。ここでの信頼とは、日々の話と将来に向けての話の両方を含みます。例えば、新しく追加された機能について事前に動作検証してくださっているのですが、私の計算はかなりの大規模なので、大規模計算固有の問題も正直多く発生しました。そういう時に、メモリをどううまく分散させるかなど丁寧な支援をいただきました。他にも、コードの機能開発では常に数年先までの計画を共有いただいていました。Ansys LS-DYNAへの要望と課題がずらりと並んだリストで、取り組みの優先順位とその理由が明記されていて、進捗状況もすぐにわかりました。ですから、今はどの段階にあるか、を常に実感できていたのはありがたかったです。
さらには、バージョンアップの際の影響範囲まで検証結果を共有していただけるのは助かりました。他社製品では公開されない情報範囲まで独自に品質管理されているんでしょう。同じエンジニアとして求める情報を先取りして提供してくれます。解析結果が変わった際の原因解明に大きく役立ちました。

― 大変なご苦労もあったと思います

中江 大変なこともありましたよ(笑)新機能開発に不具合解決は必須と理解していても、期限に間に合うよう3日間缶詰で不具合対応したのは大変でした。すぐに電話に出てくれるJSOLさんも大変だったと思います。例えば、計算モデルの大規模化では苦労しました。1/4のモデルでできていた計算が実スケールのモデルでは計算が止まってしまうのです。計算に使用するメモリ容量と、内部的な処理としてメモリの分散の仕方など、いつもその辺りで苦労していました。問題が発生したときは、それこそ電話をつなぎっぱなしにしながら対策案を一緒に考え、時には連日夜遅くまで(会議室に缶詰状態で)サポートいただきました。打開策を挙げていただき、その結果を開発元にフィードバック、Ansys LS-DYNAを改良してもらいながら3社の連携で解決していきました。

― 解析機能に関して何かエピソードはございますか、

中江 例えば当初、ポーラスメディアという機能が入っておりませんでした。これはラジエーターをモデル化するために必要な機能だったのですが、それを担当できる開発者がいなかったらしく、当時の社長であるホルキスト氏がわざわざ雇い入れて開発まで対応いただきました。そして機能が入った後はJSOLさんが検証をしてくれたのですが、実験値と一致しない結果が出てきており、その理由を開発元の開発者に問い合わせながら実験値に合うところまで機能を作りこんでいただきました。その結果を弊社の中でも検証、車両に搭載した結果をホルキスト氏にお話した時には、「よくここまで合わせることができましたね」とコメントをいただいたことを今でも覚えております。

― これまでのJSOLを評価すると・・・?

中江 Ansys LS-DYNAを介して我々と開発元を繋ぐ心強いパートナーだと思っています。JSOLさんも、開発元も、開発チームは皆仲が良く、所属する組織は違ってもワンチームだと感じます。まるで同じ大学の研究室にいるような感覚が共有できているからでしょうか、先進・挑戦的な課題にも踏み込んでいるからなのかもしれません。JSOLさんは、アットホームでありながら決して馴れ合いはせず、仕事になるとスペシャリスト。そこが尊敬できますし、一緒にお仕事しやすい部分でもあると感じています。

― 今後、JSOLに期待することはありますか?

中江 引き続き、ソルバーの作り込みや、密なコミュニケーションをお願いしたいです。現在、社会はあらゆる局面で変化しています。自動車業界そのものが変わりつつあり、開発の内容も変化している。おそらく自動車メーカーだけではなく、ベンダーさんやディベロッパーさんも変化していると思います。JSOLさんと目指すところは同じでも、お互いの視点や情報ソースは異なります。この違いを活かしてさらなる高みを見たいですね。良いものを作り続け、工業界の盛り上がりに貢献していきたいです。ぜひ、今後ともお力添えをお願いします。

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インタビュー協力

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トヨタ自動車株式会社
(TOYOTA MOTOR CORPORATION)

創    業 : 
1937年(昭和12年)8月28日
資    金 : 
6,354億円
主な事業内容 : 
自動車の生産・販売
従  業  員  数 : 
71,373人(連結 366,283人)
(2021年3月末現在)
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