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CAE Technical Library 橘サイバー研究室 - CAE技術情報ライブラリ

vol.15疲労破壊のシミュレーション

2009年9月24日

人間もそうであるが、材料も繰り返して載荷されるとそのうちプッツンする。疲労破壊とよばれる。

このことで有名なのはイギリスで製造された世界で初めてのジェット旅客機「コメット」だ。就航してしばらくしてから原因不明の事故があいついだ。さすがシャーロック・ホームズの国。水槽実験などにより原因究明がなされた。

その結果、高度差による外部気圧変動で機体が膨張と収縮を繰り返す。そのため応力集中部分(窓の隅角部など)から疲労クラックが進展することが判明したのだ。

  • [写真1] 14回目での突然破壊

    [写真1] 14回目での突然破壊

  • [図1] 24回目での突然破壊(LS-DYNA)

    [図1] 24回目での突然破壊(LS-DYNA)

ところでコンクリートにも疲労破壊が生じる。

コンクリートの極低サイクル疲労実験を行った。中低層のビルを想定して4ヘルツとし、静的強度の1.2倍のピーク値を持つ3角波で最大40回の繰り返し圧縮を加えた。

4ヘルツ40回としたのは直下型地震では最初の10秒間が勝負、1.2倍としたのはピーク値ならそのぐらい、とエイヤット睨んだからである。写真1は14回目に突如破壊した状況である。他の4体については3回、4回、1回、8回であり相当ばらついた。

ところでLS-DYNAで解析したところ24回目に突然破壊が生じ、それを図1に示す[1]。(静的強度の1.2倍なのに数回持ちこたえたのは、ピーク値付近が瞬間的なので微小破壊の進展が十分でないことによる)

この解析結果は合っていないと言われるかもしれない。しかし、静的強度の1.1倍のピーク値なら40回でも破壊しないし、1.3倍のピーク値では、1回で破壊するという結果については各5体についての実験結果と一致した。この条件下では、実験、解析ともに、ピーク値が静的強度の1.2倍を境にして天国と地獄に分かれたことになる。

ということは・・・何事もなかったように見えるビルも、もう1回地震がくれば破壊するかもしれないということでもある。

  • [1] T.Shimizu, E.Tachibana,"A study on uni-axial compressive strength of plain concrete under dynamic cyclic loading", 12th WCEE, #1451, 2000

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