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2010.01.04
2009年7月より、Livermore Software Technology Corporation(以下LSTC)に駐在中の株式会社JSOL 斉藤 啓より現地での様子をご紹介いたします。
滞在開始
サンフランシスコ国際空港から東へおよそ70km、国道580号線沿いにある人口8万4千人の小さな都市リバモア市に、LSTCはオフィスを構えています。小高い丘に囲まれたリバモア市は、一面に続く広大なブドウ畑の中にワイナリーが点在する、カリフォルニアワインの産地の一つです。また、LS-DYNAの生みの親であり、LSTCの設立者でもあるJohn O. Hallquist氏がかつて在籍した、国立ローレンス・リバモア研究所があることでも有名です。
赴任後、始めての仕事は滞在するための住居を探すことでしたが、国立研究所近くの畑に囲まれた静かな住宅街に、アパートを見つけることができました。食の面については、リバモア市周辺には日系のスーパーや日本人が経営するレストランがあり、不自由することはありません。また、LSTCの中には、近隣の観光スポットや公園、お勧めのワイナリーを毎週教えてくれる技術者もいます。
赴任当初、慣れない海外生活は不安でしたが、今では快適に毎日を過ごしています。
LSTCの環境
続いて、LSTCでの勤務環境についてご紹介したいと思います。
LSTCのエンジニアは各々個室を与えられているため、日々の業務に集中して取り組むことができます。世界各地から訪れるベンダーのためにも、作業用の個室が用意されています。私も同様に、JSOL用の個室を使用しています。ただし、個室といっても、各部屋のドアは常に開けられているため、エンジニアのコミュニケーションが阻害されることはありません。エンジニア同士はお互いの部屋を訪れ、活発に議論しています。いつでも気軽に声をかけられるオープンな環境は、新参の私には非常に嬉しいものでした。
また、LSTCでは、年間を通して様々なユーザ向けのトレーニングセミナーを開催していますが、JSOLからの駐在という立場である私も、希望すれば他の出席者と同様にセミナーを受講することができます。そして何よりも、実際にLS-DYNAの開発に携わった開発エンジニアが近くにいます。こういった環境は、私がLS-DYNAに関する技術を習得する上で、この上ないものです。
業務の紹介
私が、滞在当初より、重点的に行っている業務の1つとして、塑性加工に関するLS-DYNA新規機能ベンチマーク・評価があります。これまでに、面ひずみ評価機能、陰解法高速化機能などのテスト・機能評価を行いました。これらの機能はまだ開発中のものですが、開発エンジニアであるXinhai Zhu氏と連携し、機能拡張・改善を行っています。
LSTC開発エンジニアは、エンドユーザの声を非常に大切にしています。「単なる機能テストではなく、ユーザが持つ問題点やニーズを踏まえた機能評価が大切」というXinhai Zhu氏の言葉が印象的でした。LS-DYNAが解析ソルバーとして先頭に立ち続けるため、エンドユーザの生の声が開発の原動力となっていることを実感しました。
そして、これはJSOLが担う役割とも関連しています。ユーザの皆様が持つ問題点やニーズを的確に察し、すばやくLSTCに伝えることで、提供するソリューションのクオリティ・スピード・バリエーションの向上を目指していきたいと考えております。また、LS-DYNAの更なる発展の一翼を担えるよう、努力していきたいと思います。