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CAE Technical Library エンジニアレポート - CAE技術情報ライブラリ

2009.02.02

非線形マルチスケールモデリングプラットフォームDIGIMATご紹介セミナー開催報告

カテゴリー
: 材料解析
関連製品
Digimat
開催日
2008年12月9日〜12月10日
開催場所
弊社名古屋オフィス(9日)、弊社東京本社(10日)

弊社では昨今の樹脂シミュレーションの高度化へのニーズに応えるべく、2007年より3回にわたり「樹脂部品の構造強度解析セミナー」を開催し、材料メーカー様、CAEベンダー様からの実務レベルでのご講演や国内外の研究機関からの招待講演により、樹脂部品の構造強度解析の現状についてご紹介してまいりました。

これらのセミナーでは、「樹脂シミュレーションの高度化へのアプローチの参考になる」というご意見を数多く頂戴する一方で、「多くのご講演が非常に高度な解析技術を必要としており、現場レベルでの技術展開が難しい」とのご意見もいただいておりました。

このような中、海外のLS-DYNAユーザー会議での、DIGIMATの開発責任者と情報交換をきっかけに、高度な樹脂解析行うためのツールとして定評のあるDIGIMATの紹介セミナーを弊社にて開催する運びとなりました。

DIGIMATはe-Xstream Engineering社(ベルギー)が開発した、樹脂などの高分子材料のマルチスケールモデリングソフトウェアです。最新のマルチスケールモデリング技術により、非線形領域までの物性値を容易かつ、高速、高精度に予測することができます。また、流動解析と連携することにより、ファイバーやフィラー、エラストマーなどが混入しているような樹脂での製造工程を考慮した材料特性を予測することができます。

本セミナーでは、DIGIMATの開発責任者であるe-Xstream Engineering社のAssaker博士をお招きし、以下の内容についてご紹介いただきました。

  • DIGIMATのプロダクト
  • ソフトウェアの機能
  • 欧州での適用事例
  • LS-DYNAとの連携事例と高精度化の効果
  • 今後のロードマップ

適用事例の中でも、特に「流動解析とLS-DYNAの連携事例」や「CFRPの内部損傷予測」に参加者の関心が集まりました。 これに先立ち、11月25日〜27日にブリュッセル(ベルギー)で開催された DIGIMAT Users' Meeting2008 においては、第1回目の大規模なユーザー会議にも関わらず、自動車、携帯電話、樹脂素材などの各分野から50名を越える参加があり、海外での注目度の高さが窺えました。

流動解析とLS-DYNAの連携事例

リブ構造を有する繊維強化樹脂部品にインパクターが初速度5m/sで衝突する実験のシミュレーションを実施し、得られたインパクター衝撃力の時刻歴を比較しました。図1に解析モデルの形状を示します。このような製品の場合、成形時の型へのゲートの取り付け位置と数により、材料の流動状態が変化するため、それが製品の強度特性に影響を与えることが知られています。

図1 解析モデルの概要 図1 解析モデルの概要

図2に3点ゲートを使用して成形した場合の実験結果とシミュレーション結果の比較を示します。
シミュレーションはLS-DYNAのみを用いた既存の手法、すなわち繊維配向を考慮しない簡易的な手法と、流動解析から得られた繊維配向を基にDIGIMATにより異方性材料物性を推定し、これをLS-DYNAの入力データに反映させた手法の2種類を実施しました。図に示すように既存手法でも、材料パラメーターをチューニングすることにより、実験に近い結果を得ることができます。しかしパラメーターチューニングのためには多くのトライアンドエラーが必要となります。これに対し、樹脂流動+DIGIMAT+LS-DYNAを用いたケースでは、特別なチューニングをする必要がなく、より実験に近い結果を容易かつ確実に得ることが可能です。

図2 初期成形条件(3点ゲート)での衝撃解析結果 図2 初期成形条件(3点ゲート)での衝撃解析結果

この結果を基にゲート数を1点としたケースについて、3点ゲートのケースと同様に、実験と2種類のシミュレーションを行いました。LS-DYNAのみによる既存手法では、3点ゲートのケースに対してパラメーターチューニングを行いましたが、このとき決定されたパラメーターは別のケースには適用することができません。そのため1点ゲートのケースでは実験結果と大きく乖離してしまっています。これに対し、DIGIMATを利用した連携解析ではこのケースに対し、新たに異方性材料物性を推定し、適用することによって非常によい実験との相関が得られています。

図3 成形条件変更(1点ゲート)した場合の衝撃解析結果 図3 成形条件変更(1点ゲート)した場合の衝撃解析結果

ご参考
e-Xstream Engineering社 DIGIMAT software Platform のご紹介(英語)
http://www.e-xstream.com/en/digimat-software-platform/
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