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2018.9.6

実用的な板材成形シミュレーションの現状と開発状況
- NUMISHEET2018 全体講演 -

カテゴリー
: 技術情報
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JSTAMP / IGA Tool

板材成形シミュレーションの国際会議である NUMISHEET2018において、JSOLが 全体講演(Industrial plenary lecture)を行いました。「実用的な板材成形シミュレーションの現状と開発状況(The Current Status and Development of Practical Sheet Metal Forming Simulation)」と題して発表した内容を紹介します。

JSTAMPとは

JSTAMPは、板材成形シミュレーション専用のCAEパッケージソフトウェアです。1996年のリリース以来、お客様の要望や最新のテクノロジーを加える形でバージョンアップを重ねています。ユーザーは国内のみならず海外にも広がっています。特に近年は、軽量化材料への対応として、ハイテン材やアルミニウム合金板材への対応とその解析精度の向上がトレンドです。材料モデルは解析精度に強く影響することから、軽量化材料に対応するための研究開発が盛んに行われています。

JSTAMPの強みと材料モデル

JSTAMPでは、最新の材料モデルを次々に実装しており、多様な材料を使った解析を容易に行うことができます。また曲げRの小さい部品や外板部品の表面不具合への解析要望へ応えるため、ソリッド要素にも対応しています。ソリッド要素を用いた高次の降伏関数への対応のみならず、異方硬化への取り組みも行っています。

下図は、NUMISHEET2011のベンチマークの問題に、シェル要素とソリッド要素に異なる降伏関数を適用した結果です。要素と降伏関数の組み合わせによって形状に違いがあることが分かるかと思います。これらの材料モデルの知見や解析技術を駆使して、実際の5000系アルミニウム合金自動車部品のスプリングバック解析と試作パネルの形状を比較しました。その結果、解析と実機の誤差は形状面積の85%で±0.5mm以内に収まりました。また、材料モデルを的確に取り扱うためには、材料実験の実施とその取得データに準じた解析用のパラメータの同定が重要になります。材料実験データに基づく解析パラメータの同定に対応する「CalSysSmart」は9月より販売を開始予定です。CalSysSmartの利用で材料実験データの処理をスムーズに行えるようになり、より戦略的にJSTAMPの多彩な材料モデルでの検討が行えるようになります。

これらを現実的な計算時間で結果を得るために、解析の高速化の技術開発も進めています。

図1. 要素や材料モデルの解析におよぼす影響 図1. 要素や材料モデルの解析におよぼす影響

IGAツール

またLS-DYNAの技術開発の取組みとして、IGAの紹介も行いました。IGAとは、Isogeometric analysisのことで、これまでFEM(有限要素法)解析に必須であったメッシュ作成を行わず、CADデータを直接解析の形状情報として使用する解析手法です。IGAには、以下の3つのメリットがあります。1)メッシュ作成作業やエラー発生時の対応が不要 2)メッシュ作成の形状誤差がない 3)高次要素を容易に使用できる。

JSOLではIGAを実施するための形状修正ツールとしてIGAツールを提供しています。NUMISHEET2005のベンチマークの問題をIGAで解析した結果を下記に示します。FEMと比較して、同程度の精度を得たときの計算時間が30%短くなりました。これは高次要素を適用した結果と考えられます。

図2. FEMとIGAの結果比較 図2. FEMとIGAの結果比較

このように、JSTAMPはお客様の声を反映して、独自にあるいはお客様と共に、技術開発を進めています。

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