
CAE Technical Library エンジニアレポート - CAE技術情報ライブラリ
人体傷害解析モデルTHUMS®(Total Human Model for Safety)は、トヨタ自動車様と豊田中央研究所様で共同研究されている人体有限要素(FE)モデルです。開発開始から約20年がたち、機能の強化とともに、ご使用頂けるモデルの種類も増えてまいりました。今回のエンジニアレポートでは、最新モデルも含めた各THUMSモデルについてご説明いたします。
1.各バージョンの仕様
現在ご利用頂けるTHUMSのラインアップは、Version 4とVersion 5です。2019年にVersion 6をリリースする予定です(※2019年2月にリリースされました)。
THUMSはバージョンによって考慮できる項目が異なります。下表に示すように、Version 4は内臓傷害が考慮できますが筋肉モデルは含まれていません。一方、Version 5では、内臓傷害は考慮できませんが筋肉モデルが導入されております。そして、Version 6ではすべて考慮可能です(Version 6の詳細については資料1をご参照ください)。また、人体モデルの姿勢とサイズもバージョンによって異なります。Version 4は乗員・歩行者の両姿勢で、AM50*、AF05*、AM95、10YO*、6YO、3YOの全サイズのモデルが用意されております。Version 5、6はAM50、AF05、AM95の乗員モデルのみとなっております。人体モデルの利用目的に合わせてVersionを使い分けてください。
項目 | Version 4 | Version 5 | Version 6 |
---|---|---|---|
骨折と腱の断裂 | ○ | ○ | ○ |
脳傷害 | ○ | ○ | ○ |
内臓傷害 | ○ | - | ○ |
筋肉モデル | - | ○ | ○ |
2.筋肉モデル
Version 5から導入された筋肉モデルによって、衝突時の筋活性状態を表現できるようになりました。衝突前の乗員身構え状態を模擬することで、より現実に近い状態での安全装備の効果予測が可能です。表現できる筋活性状態は、Sleeping(脱力)/Braced(身構え)/Relaxed(リラックス)の3種類です。下表の通り、Version 5のマイナーバージョン間で表現可能な状態や手法が異なりますのでご注意ください。表中のVersion 5.03は今年度内のリリースを予定しております。詳細は資料1をご参照ください。
筋活性状態 | V 5.0 | V 5.01 | V 5.02 | V 5.03 | V 6.0 |
---|---|---|---|---|---|
Sleeping | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Braced(EMG data使用) | ○ | ○ | ○ | - | - |
Braced(PID control使用) | - | - | - | ○ | ○ |
Relaxed(PID control使用) | - | ○ | ○ | ○ | ○ |
3.THUMS Version 4 EuroNCAP TB024対応モデル
Euro NCAPでは、アクティブボンネット等を備える車両の歩行者保護性能試験の条件決定に、人体モデルを使用します。さらに、2018年以降は、姿勢やコリドー等の規定の認証条件を満たす人体モデルの使用が必要となりました。そこで、認証条件を満たしたTHUMS Version 4 Euro NCAP TB024対応モデルリリースいたしました。このモデルは、Version 4 AM50、AF05、AM95、6YOを買い取り契約されている当社お客様への無償提供データです。
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乗用車とTHUMS AM50モデル(TB024対応)の衝突
4.Validationデータ
THUMSのマニュアル内「MODEL VALIDATION」に記載されている検証解析のデータ(Validationモデル)を、買い取り契約のお客様に無償提供しています。
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- ※車両モデル:Euro NCAP TB024certification pack(FCR)