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CAE Technical Library インタビュー - CAE技術情報ライブラリ

ユーザー事例:生産部門に響いた未体験の精度〜手間なく短期間で得られる解析精度が、材料の物性評価を可能にする! 〜
ご利用企業様の声:株式会社ニコン様

カテゴリー
:技術情報 / その他
関連製品
Moldex3D

導入のポイント

フロントローディングの加速:物性評価で誤差数パーセント以内を実現
高精度解析の必要工数短縮:実機情報の指定のみでも高精度を実現
並列計算による高速化:複数CPUコアの利用により処理時間の短縮を実現

お話を伺った人

株式会社ニコン 伊藤彰則氏

  • 株式会社ニコン 伊藤彰則氏
    映像事業部 開発統括部 設計部 第二設計課 技監補

― 伊藤様はどのようなお仕事を担当されているのでしょうか。

伊藤 主に解析技術や、商品設計に必要な新しい技術の開発を行っています。また、その新しい解析技術で出た答えを検証するための測定や評価システムの開発、さらに言えば、新しい技術情報の調査や人材育成なども業務のうちのひとつですね。

― JSOLを知ったきっかけや、「Moldex3D」を導入した経緯を教えてください。

伊藤 当時、樹脂の異方性を考慮することがなかなかできていなかったのですが、とある展示会でJSOLさんが「J-OCTA」(マルチスケール解析ソフトウェア)の分子シミュレーションについて講演されているのを聞き、分子の配向だけでも異方性の物性を出せるのではないかと感じました。講演後、JSOLさんに相談すると「できると思います」という回答で、実際にシミュレーションを実施してみたところ、想像以上の異方性が出ることがわかって驚いた、というのがJSOLさんとの始まりですね。
ガラス入り材料の異方性もシミュレーションしてみたいと相談すると、「Digimat」(複合材料シミュレーションに特化したソフトウェア)をご紹介いただきました。当時、我々は他社の樹脂流動解析ツールと自作のプログラムで変形を計算していましたが、それよりも高い精度で解析できたので、まずは「Digimat」を導入しました。その後、しばらくして今回の「Moldex3D」(樹脂流動解析ソフトウェア)もご紹介いただき、ベンチマークを実施してみたら、ものすごく高い精度で解析できることが確認できたので、「Moldex3D」もすぐに導入したというのが経緯です。

― 導入を決めた、他社製品と「Moldex3D」の違いは何だったのでしょうか。

伊藤 そもそも従来の樹脂流動解析のソフトは、「ソリはどうか?」「ウェルドラインはどこに出るか?」など、どちらかというと品質保証的な、〇×判定の部分で使いやすく開発されている製品なので、我々の目的と合わず、使いづらさがありました。我々の目的はフロントローディングであり、「その樹脂の材料物性はどうなるのか?」という情報のフィードバックが重要になります。樹脂成形は、温度と圧力によって変化する樹脂の特性を活かして成形するので、その特性を正しくとらえないとと、解析で新しい現象を再現できません。その点、「Moldex3D」は解析と実験において非常に精度よく計算してくれます。物性的にも誤差は数パーセント程度。他社ソフトでは再現できないので、非常にありがたいですね。

― 「Moldex3D」の優位性はどのあたりにあるとお考えでしょうか。

伊藤 従来のツールでは解析上のチューニングをうまく合わせないと、なかなか正確な答えが出ないのですが、「Moldex3D」はそういった手間が一切なく、ポンと入れればポンと出てくる。精度や作業時間が圧倒的に違います。誰の目から見ても「Moldex3D」が優れていることは明らかなので、既存のソフトウェアとの入れ替えに関しても、社内から特に反対されることもなくスムーズに進みました。また、CPUのコアを使うほどに高速化され、時間を短縮できますし、ソフト自体も常にアップデートし続けているのも、他のツールにはない「Moldex3D」のメリットだと感じ出ています。

― ニコン様の開発力が強い理由はどこにあるとお考えでしょうか。

伊藤 当社には、開発や設計部門の社員が生産部門の現場に出向き、生産部門と協力して製品を作り上げるという文化があります。そのため、開発・設計と生産との距離が近く、一緒に取り組むのが当たり前という雰囲気があるんです。お互いに意見やアイデアを出し合い、両者の間にあまり壁がない。だからこそスピード感も、高い精度も出せるのだと思います。
「Moldex3D」で言えば、生産部門もあれほどの精度は見たことがなかったと思うので、そこはかなり響いたと思いますね。開発と生産が同じ「Moldex3D」を導入して検討できるようになったことで、技術開発したものをスムーズにそのまま生産に移管できることにもつながりました。そういう意味でも、「Moldex3D」は社内の良い事例になっているかなと思います。壁がなく、生産部門と開発部門がお互いの状況をよく理解していて、コミュニケーションがうまく取れているというのは、当社ならではの強みだと思いますね。

― 今後のカメラ業界の課題があれば、お聞かせください。

伊藤 スマートフォンに搭載されるカメラの性能が上がり、非常に綺麗な写真を撮影できるようになりました。それをほとんどの人が持っているという時代に、どうしたらカメラを買っていただけるのか。今、各社とも厳しい状況に立たされていると思います。カメラは一眼レフからミラーレスが主流になりつつあり、性能は各社ともほぼ横並びです。差別化していくためには、ハードウェアの機能を上げるだけでは難しいだろうと思っています。スマートフォンを持っているお客さまが、カメラを買うことでどのような満足を得られるのか、どうしたらお客さまに感動していただけるのかが、鍵を握るのではないでしょうか。
一方、カメラのデメリットはその重さです。ミラーレスカメラの軽量化にあたってプラスチックボディを採用できればいいのですが、発熱の問題が壁となっています。ホットスポットを生じさせないようにしようと思うと、やはり重い金属ボディのほうが有利なんです。その課題をクリアして、樹脂を使って圧倒的な軽量化を実現し、性能もしっかりと確保できれば、大きな差別化になると思っています。それには、カメラが製品化された後もその性能をずっと維持していくための検討が必要です。そしてその検討にはマルチフィジックス的な多くの技術開発が必要で、そのためにJSOLさんのご協力や「Moldex3D」の精度が欠かせないと思っています。

― 今後、JSOLおよび「Moldex3D」に期待することがあれば教えてください。

伊藤 先ほど言ったさまざまな課題が「Moldex3D」だけで解決することはまずありません。「Moldex3D」と構造、あるいは「Moldex3D」と熱などのように、問題を複合させながら解析できないと、なかなか課題を解決することは難しい。その点JSOLさんは、マルチフィジックス的な、さまざまな分野を複合した検討をしてくれるので、ワンストップで本当に必要なソリューションを提供してくれます。それが他のベンダーさんとの違いであり、我々の開発のスピードアップにもつながっています。
それに担当者の方のクオリティがとても高いのも助かっている点です。技術的な話と現場的な話を一緒にお話しても、それを理解して受け止めてくれる方が多くいる。細かいチェックや検証にもきっちり対応してくれて、いつも頼りにしています。JSOLさんには課題解決に向けて、引き続きご協力いただきたいと思っています。

インタビュー協力

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株式会社ニコン

コア技術である光利用技術と精密技術をベースに製品やソリューションの提供をとおして、より豊かな社会の実現をサポートするグローバル企業

本 社  所 在 地 : 
東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟
設    立 : 
1917年7月25日
資    本   金 : 
654.76億円
従  業  員  数   :   
連結 18,437人 / 単体4,174人
(2022年3月末現在)
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