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CAE Technical Library インタビュー - CAE技術情報ライブラリ

ユーザー事例:設計/製造の精度が上がる!大幅に時間が削減できる!
〜数値化が、不具合のより細かい原因究明を可能にする〜
ご利用企業様の声:株式会社プロテリアル様

カテゴリー
:技術情報 / その他
関連製品
Moldex3D

導入のポイント

  • ・不具合発生のメカニズムを可視化して理解できる:金型製作期間の大幅な短縮に貢献
  • ・高い解析精度が根拠を支える:説得力を持ってお客様や現場に伝えられる
  • ・社内でのCAE活用文化が広がる:幅広い世代でCAE活用のメリットを共有

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お話を伺った人

株式会社プロテリアル 茨城工場 杉本千明氏

  • 株式会社プロテリアル 茨城工場 杉本千明氏
    機能部材事業本部
    自動車部品統括部 自動車部品技術部
    自動車電装開発グループ

― 杉本様の担当されているお仕事についてお聞かせください。

杉本 私は2017年、旧日立金属(現プロテリアル)に入社しています。最初の2年間はCAEの専任の仕事で、設計提案や不具合解析の対策を立案しており、部署内のCAEの普及にも務めてきました。その後、2019年の中頃から、CAEと組み合わせた実製品の設計開発・検討も行うようになりました。もともと、製品開発の部署に所属しており、そちらの業務を行いつつ、最近は射出成形関連の技術開発にも着手しているという状況になります。

― 「Moldex3D」を導入いただいた経緯を教えてください。

杉本 弊社では2015年から一貫して、「Moldex3D」のAdvancedというバージョンを導入しています。導入の理由としては、一連の射出成形の現象を可視化(数値化)できるという点が大きいですね。成形技術の強化、開発期間の短縮・コスト低減はもちろんのこと、顧客へ理論的な説明を行うために利用するなど、複合的な目的のために導入しています。

― 導入する際、他の製品も検討したのでしょうか。

杉本 導入の際には、業界大手3社さんのベンチマークを行いました。その中でも「Moldex3D」の解析精度が非常に高く、手法や操作性にも優れている点が決め手になりました。また、現実の成形に一番近い形を出してくれる点と、それに向かって常に技術開発を行なっていく姿勢、JSOLさんのサポート体制もあって、「Moldex3D」の導入を決めました。

―「Moldex3D」をどのようにお使いになられているのでしょうか。

杉本 いろいろと活用してきた事例がありますが、思い返してみると、「今まで知らなかったことや見えなかったことが理解できる」という活用方法が、主だった使い方だなと思います。例えば、製品の開発時、成形品の品質や量産金型を立ち上げる時の「OK」や「NG」の範囲決定だったり、量産で流れている現場の困りごとの改善だったり、というところですね。今まではやってみないと分からない、作ってみてからが勝負でした。つまり勘とか経験に頼っている側面が強かったんです。
実際、金型作りは大変で、例えば成形機を揃えて試作をやる場合、調子が悪かったら、金型メーカーさんに金型を送り返すやりとりを、数回にわたって行う必要があります。そうすると、平気で2、3カ月飛んでしまいますが、そこを「Moldex3D」を活用してコンピューター上でシミュレーションできると現象を目で見て理解できるので、かかっても1週間ぐらいで済む。そういうところが有利なところ、いいところだと思いますね。

― 導入前と比べ、時間とコストが減ったのですね。

杉本 シンプルに時間が減りました。製品の設計に時間がかかるとか、立ち上げた後の不具合の原因解明に時間がかかるなど、そこにかかっていた時間が、大幅に減りましたね。ただ、単純に原因究明の時間が早くなったというよりも、数値化することで、原因究明がより細かくなる、精度が上がるという点が、時間短縮に作用しているのかなと思います。お客様にご迷惑を掛けした場合、期限までに何かしらの答えを出さければいけませんが、解析の精度が高いか低いかが、結構効いてくる。不良が起きたポイントや「OK」と判断した根拠を、説得力を持ってお客様や現場に伝えられる点が、一番大きく改善されたところだと感じますね。
また、無形の活用というところでは、社内での意識として、CAEの活用文化が広がっていることがあげられます。私自身、CAEを活用するエンジニアの成果を、社内や部内で発信し続けていますが、今まであまりコンピューターを活用してこなかった上の世代の方にも、CAE活用のメリットを認識していただけた空気を感じています。

― CAEの活用が増えている、その辺りがプロテリアル様の強みでしょうか。

杉本 そうですね。弊社は2023年1月4日に日立金属からプロテリアルに社名が変わりましたが、行なっている事業は全く変わっておらず、特殊鋼、磁性材料、パワーエレクトロニクス関連製品など、さまざまな高機能材料を取り扱うメーカーです。ですが、いずれの担当部署でもCAEやコンピューターサイエンスを活用し、製品開発や現場改善に取り組んでいる例が数多くあります。「Moldex3D」を活用する人も増えたと思いますね。私の所属は電線の自動車部品を取り扱う部門ですが、要素技術の開発から顧客提案まで、いずれの段階でもCAEを使わない時はないと言うぐらい、活用しています。CAEの活用文化が醸成されている、そこが弊社の強みではないかと考えています。

― 「Moldex3D」で新たに取り組みたいことはありますか。

杉本 「Moldex3D」上で、圧力や速度の波形を再現し、製品品質の評価を可能にする「実機」の再現に挑戦してみたいと思っています。現状、解析と実機は傾向が一致するという認識でCAEを活用していますが、理論上、CAEで物理現象を全部再現できれば、品質も再現できますよね。あるいは逆説的に、もし物理現象を再現しても品質が再現されないのであれば、その差分を「Moldex3D」に反映させて検証する。そんなことが実現できれば、かなり有益になるのではと考えています。

― 今後、「Moldex3D」に期待することは何でしょうか。

杉本 一番期待したいことは、GUI周りです。形状測定の機能強化ですね。例えば、真円度や平面度などの出力機能も、三次元測定器みたいな操作感になってくれれば、かなりありがたいです。また、3D CADで再現した解析結果と実際の製品で、測り方やデータの取り方が一緒でないと、「同じ様に測れてない」なんて現場から文句が来ることがあるので、解析と実物がもっと近くなると嬉しいですね。

― 「Moldex3D」の開発元は、お客様のご要望・ご提案を常に受け付けておりますので、そういった今後のプラン情報も共有していただければ、私たちもご協力いたします。

杉本 変な言い方になりますが、私はユーザーである前に、協力者だと思っています。自分が使っているソフトのレベルが上がってほしいので、これに限らず、基本的には情報をなるべく渡すように心掛けています。我々が出したデータでレベルが上がってくれれば、こんなにうれしいことはありません。差分やちょっと違った部分を、相互にフィードバックしていければ、もっと良いソフトや良い製品が作れるかもしれない。JSOLさんはそれに協力してくれますし、サポート範囲でも行なってくれるので、時間は掛かるかもしれませんが、一緒に改善していきたいですね。

― 最後に、プロテリアル様の今後の課題・目標をお聞かせください。

杉本 どの業界でも共通の認識だと思うのですが、会社の成長や事業の拡大をする上で、リソースがどうしても少ない、という課題が出てきます。1人の従業員ができることは多くありません。実務を行う個々の能力を磨いて業務を減らすか、あるいは効率を向上させる体制を構築する必要があります。地道な反復検討、経験や勘に頼ったものづくりをコンピューターで取り扱い、データ処理ができる技術開発を行っていく必要があると考えています。
その中でも、射出成形の樹脂挙動の把握は、かなり難しい分野になりますが、最近では金型の中の状態測定が可能になったり、「Moldex3D」のようなCAEソフトが出てきたりで、樹脂挙動を数値化できる技術進歩が著しく、かなりできあがりつつありますよね。この数値化がポイントになると思うので、射出形成の数値的な検討を進め、さまざまな場面で役に立てたいと考えています。そうは言っても、そこで担当している人たちが活用方法を自ら考えていく、そういうところに視点が向かないといけません。そこが難しいところでもあるので、引き続きJSOLさんとも検討を重ねながら、新しいCAEの活用方法を考えていきたいと思っています。

インタビュー協力

プロテリアルロゴ

株式会社プロテリアル(旧日立金属株式会社)

モビリティ、産業インフラ、エレクトロニクス関連分野を中心に、材料開発の技術融合によって幅広い社会のニーズに応えるグローバル企業

本 社  所 在 地 : 
東京都江東区豊洲5-6-36 豊洲プライムスクエア
設    立 : 
1956年4月10日
資    本   金 : 
3.1億万円(2023年1月5日現在)
従  業  員  数   :   
連結 27,771人(2022年3月末現在)
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