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ユーザー事例:「JWELD」で切り拓く車体製造のデジタルツイン
ご利用企業様の声:トヨタ車体株式会社様

カテゴリー
:インタビュー
関連製品
JWELD / JSTAMP / Ansys LS-DYNA

導入のメリット

  • ・プレス成形から汎用非線形解析まで一貫したデータ連携
  • ・プレス−溶接工程の工程間変化と課題要因の可視化
  • ・開発初期段階での設計図面の完成度向上による新型車開発プロセス全体の効率化

トヨタ車体株式会社 外観

お話を伺った方

お話を伺った方

  • トヨタ車体株式会社 車体性能開発部
    デジタル開発戦略室デジタルプロセス推進G
    庄山 和輝 氏

― 現在、どのようなお仕事やプロジェクトを担当されているのでしょうか。

庄山 私たちトヨタ車体は、トヨタグループのミニバン・商用車・SUVの企画・開発から生産までを、トータルに手がける完成車両メーカーです。私は開発部門に所属し、主に車体の性能を予測するシミュレーションを行っています。具体的には、衝突安全性や信頼性、NV性能といった車体の商品性に関わる性能の評価ですね。また、新型車の開発プロセス全体を俯瞰し、より効率的に商品を提供するため、設計図面の段階から製造上の課題や品質を精度良く予測するシミュレーション手法の開発にも取り組んでいます。これは、設計図面の段階から性能予測と生産技術のシミュレーションを同期させることで、開発から製造まで一気通貫での手戻り削減、期間短縮を図ることが狙いです。

― 「JWELD」の導入経緯と目的を教えてください。

庄山 私たちは、設計図面の段階でどういったクルマになるのかを予測して、開発プロセスの効率化を図ろうとしています。その検討の中、2023年にオンラインで参加した「JWELD」のセミナーで紹介されていた、「スマートマニュファクチャリング」というJSOLさんの生産技術CAEのコンセプトが、私たちのニーズである「プレスから車体完成までを一気通貫でデータプラットフォーム化する(図1)」と一致していると感じたことが、導入の決め手となりました。特に「JWELD」はプレス成形シミュレーションシステム「JSTAMP」や、汎用の非線形解析ソフトウェア「Ansys LS-DYNA」との連携が可能で、設計図面の段階から一貫してシミュレーションを実施できる点が非常に魅力的です。たとえば、板金のボディの状態をデジタルデータとして正確に再現できるので、次の溶接工程での予測精度の向上に繋げることができます。このように、前工程と後工程、図面(設計)と現場(製造)をスムーズに繋ぐ「ハブ」のような役割が期待できるので、「JWELD」の導入によって、設計段階での手戻りを減らし、効率的な製造プロセスを実現できると考えました。

図1. データプラットフォームの連携イメージ図1. データプラットフォームの連携イメージ

― 「JWELD」の導入によって、どのような成果が得られるでしょうか。

庄山 まずは「JWELD」を導入したことで、新型車開発プロセス全体の効率化が図れると思います。まだ導入したばかりで製品も課題もさまざまですが、数日〜数週間の工期短縮が見込めると考えています。そのほかにも、製造工程の問題の「可視化」にも役立っていますね。たとえば、ミニバンや商用車はドアパネルやルーフパネルが大きく、溶接の順番や溶接方法によって、製品パネルの面品質に大きな影響が出ます。設計図面や試作段階で予測しきれなかった問題が、製造時に発生することがあり、その原因究明にも時間が掛かっていました。直近の例をご紹介すると、開発初期段階の大きなルーフの製造現場で面精度に左右差が生じた際、「JWELD」で溶接工程をシミュレーションしてみたところ、左右差がデータ上ではっきりと確認できました(図2)。私たちとしては見た目で分からない差異を、まずは「可視化」できたことが非常に有益でした。今まで見えなかった問題部分を「可視化」する「JWELD」を導入したことで、試作回数の低減や製品の品質向上に大きく貢献すると期待しています。

図2. ルーフパネルの面品質の可視化例図2. ルーフパネルの面品質の可視化例

― JSOLのサポートについてはいかがですか?

庄山 JSOLさんのサポートは、困ったときも迅速に対応していただけて、とても助けられています。メールでの問い合わせも場合によってはその日のうちに回答いただけることもあります。また、困りごとの背景まで理解されたタイムリーな提案など、親身になって対応してくれるので安心感がありますね。

― 「JWELD」に期待することはありますか?

庄山 機能的なことはこれから出てくるかもしれませんが、今は「JWELD」の操作性の改善を期待しています。正直なところ、直感的な操作がやや難しいと感じているので、ユーザーフレンドリーな使い勝手の良さがあるとうれしいですね。今後はCAE専任者ではない人が使用する場面も多くなると思いますし、Microsoft製品と共通するようなインターフェースだと、操作しやすいのではないかと思っています。

― 今後の展望についてお聞かせください。

庄山 当社は、お客様の求められる性能と品質を両立した構造を具現化するために自社独自の効率的な方法を確立する必要性が高まっています。その中で、「デジタルツイン」の導入を進め、データを活用して効率的かつ精度の高いクルマづくりを実現しようとしています。その要となるのが「JWELD」です。溶接シミュレーションは、上流と下流を繋ぐ「ハブ」であり、車体の品質予測や製造工程全体の最適化において欠かせない技術だと思いますし、トヨタ車体が次のステップに進むための重要な要素だと考えています。今後も「JWELD」を活用して独自の効率的なプロセスを確立し、より高品質な製品を生み出すための技術革新を進めていきたいと思っています。

インタビュー協力

トヨタ車体株式会社ロゴ

トヨタ車体株式会社

トヨタ車(ミニバン、商用車、SUV)の「開発から生産まで」をトータルに手がける完成車両メーカー

本 社  所 在 地 : 
愛知県刈谷市一里山町金山100番地
設    立 : 
1945年8月31日
資    本   金 : 
103.7億円
従  業  員  数   :   
連結 17,807名

(※2024年3月現在)

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