[機能紹介] 圧縮成形時の繊維配向変化の予測
- 事例カテゴリ
- 充填/特殊成形
- 事例提供
- Ben Lai, Engineer at Technical Support Team, Moldex3D
圧縮成形時における初期繊維方向を考慮した繊維配向解析
繊維強化プラスチックは、製品の機械的強度を向上させるために使用されますが、射出成形時の繊維の破断を防ぐため、通常、圧縮成形が用いられます。圧縮成形では、繊維を混ぜたプラスチックをあらかじめ加熱したキャビティに入れ、硬化させることで長繊維の物性を維持することができます。しかし、圧縮成形時の繊維配向は通常変化し、流動挙動、製品強度、反りなどにさらに影響を与えます。繊維配向の影響を正確に予測するために、Moldex3DのCompression Moldingモジュールは、繊維配向の設定をサポートしています。以下、Moldex3Dのチャージの繊維配向の設定方法と結果表示について紹介します。
機能概要
繊維を含む材料では、繊維の配向を3種類設定することができます。3D ランダム、平面ランダム、一方向の3種類です。3Dランダムとは、繊維がチャージ内にあり、方向がなく、モデルツリーに繊維の方向が表示されないことを意味します。平面ランダムは、繊維がチャージ内にあり、指定された基準平面上にランダムに配置されていることを意味します。繊維の方向はモデルツリーに表示でき、二重の十字で表示されます。一方向とは、繊維がチャージ内にあり、繊維の方向を指定した基準平面で設定できることを意味します。繊維の方向はモデルツリーで表示でき、繊維の配列方向として表示されます。
- ・成形タイプは圧縮成形(Compression Molding)を選択する必要があります。
- ・繊維の方向を設定するために、ソリッドメッシュのみをサポートしています。
- ・材料に繊維が含まれている必要があります。
操作手順
1. SMCシミュレーション・プロジェクトの作成
Studioで、通常のCMシミュレーションと同じワークフローで、メッシュ、材料、成形条件を設定したCM(Compression Molding)プロジェクトを作成します。
2. 材料設定
圧縮成形解析でソリッドメッシュの作成が完了すると、材料ツリーに繊維方向コラムが表示されます。 繊維を含む材料が選択されると、繊維の向き欄は「指定されていません」と表示され、ユーザーは引き続き繊維の向きを「繊維の向き」のドロップダウンメニューから設定することができます。
注)ピュアマテリアルを選択した場合、繊維配向の欄は「繊維なし」と表示され、繊維配向を設定することはできません。
3. 繊維配向設定
繊維方向ドロップダウンメニューから、「繊維方向」ウィンドウを開きます。設定可能なファイバー方向は3種類です。3D ランダム、平面ランダム、一方向の3種類です。
A. 3Dランダム(3D Random)
- 1. 繊維方向(Fiber Orientation)]ドロップダウン・メニューから[3D ランダム(3D Random)]を選択します。
- 2. OK "をクリックして設定を終了すると、完全にランダムな配向になるため、ファイバーの配向は表示されなくなります。
B. 平面ランダム(Planar Random)
- 1. 繊維方向(Fiber Orientation)ドロップダウン・メニューから、平面ランダム(Planar Random)を選択します。
- 2. ファイバーの向きを設定する平面をクリックして選択します。
- 3. OK をクリックして設定を完了すると、ファイバーの方向が二重の十字として表示されます。
C. 一方向(Unidirectional)
- 1. 繊維方向(Fiber Orientation)]ドロップダウン・メニューから[一方向(Unidirectional)]を選択します。
- 2. 繊維の向きを設定する基準面をクリックし、選択します。基準面は、現在設定されている配向ベクトル(赤い矢印)を示すモデル上でグレーで見ることができます。
- 3. 繊維方向設定については、繊維方向ベクトルを直接入力し、繊維方向ベクトルとなる2つのメッシュ点をクリックし選択します。
- 4. "Preview "をクリックすると、ファイバー方向が表示されます。
- 5. "OK "をクリックして設定を終了します。
4. 結果解釈
解析終了後は、充填解析で繊維配向の結果事項を確認でき、複数あるタイムステップを切り替えて圧縮過程での繊維の変化を観察したり、ビデオ機能を使って充填時の繊維挙動の動画を出力したりすることが可能です。
繊維の初期配向 - 平面ランダム
異なるタイムステップでの繊維配向
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