[解析事例] Moldex3Dを使用してLED製品の最適化を行い、金型製作コストを11,500米ドル削減
- 事例カテゴリ
- 充填
LMT Mercer Groupはアメリカ、カナダ地域におけるPVCフェンス、テラス、手すりなどの関連製品のリーディングカンパニーであり、ニュージャージー州とオハイオ州に3つの工場があります。LMT社はサーボロボットとガスアシスト成形機能を備えた30台もの最先端射出成形機を有しており、2013年よりMoldex3Dを導入し、製品の研究開発の最適化を行っています。(出典: http://lmtproducts.com/)
- 導入企業様 プロフィール
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- 顧客名:LMT Products
- 国:アメリカ
- 分野:フェンス、テラスなど
- ソリューション:Moldex3D eDesign
概要
本事例の照明製品は、同一材料、同一金型から生産される2つの製品から構成されています。しかし、2つの製品にはサイズ違い、充填が不均一になるといった現象が発生していました。Moldex3Dを使用することで、これ以外に瞬間的に型締めトン数が急激に上昇するという問題が検出されました。そのためLMT社ではランナー、ゲートおよび冷却システムの最適化を行い、不均一な充填と急激な型締めトン数の上昇という問題を改善しました。また同時に冷却時間を短縮することで、冷却効率と製品平面度の問題も改善し、大幅な時間とコストの削減を達成しました。
課題
・2つの製品を同時に充填完了させる。
・ランナー、ゲートおよび冷却水路の配置に注意し、寸法公差範囲内で反りを制御する。
ソリューション
Moldex3Dは充填、保圧、冷却、そりに関する解析機能を提供し、充填時間、成形サイクル、冷却効率、製品平面度の問題を改善するうえで必要なランナー、ゲートおよび冷却システムの設計変更をサポートします。
利点
・保圧作業終了の際に必要な型締め力が225トンから175トンへと減少したことで、比較的小型の射出成形機を使用することができるようになり、コスト削減につながった。
・2つの製品の充填をともに1.28秒で完了することができるようになった。(本来の設計においては大小の製品の充填完了に要する時間はそれぞれ1.28秒と1.07秒だった。)
・最適な冷却回路設計により、冷却時間を11.99%短縮することができ、冷却効率のギャップは25.452%から13.759%まで縮小された。
・小さな製品の平面度は2.56%、大きな製品については6.18%改善された。
・金型製作と品質管理のためのサンプリングにかかるコストを11,500米ドル削減できた。
ケーススタディ
本事例の目的は、金型製作の前にランナーとゲートの設計を最適化し、製品の製造に際して不必要に大きい射出成形機を用いる必要がないようにすることでした。同時に、成形サイクルを短縮し、製品の平面度を許容範囲内に収め、金型修正と抜き取り検査のコストを削減させることを期待していました。
LMT社はMoldex3D eDesignを使用して2つの異なるキャビティ(小さな製品はLED基板ホルダー、大きな製品はリフレクター)の製品メッシュモデルを作成し、で流動解析から不均一な充填を検出し、型締め力、最長冷却時間、不要な冷却水路設計、Y軸変位などを検証しました。
シミュレーション結果に基づいたゲートとランナーの設計変更は図1と図2に示す通りです。
図1 従来の設計(左図)では、小さな製品はサイドゲートを使用し、大きな製品はサブマリンゲートを使用していました。設計変更後(右図)、大きな製品は変わらずサブマリンゲートを使用していますが、小さな製品はランナーを延長しサブマリンゲートに変更しています。
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図2 左図の従来の設計と比較すると、右図の設計では大きな製品が元々つながっていたループ状の冷却水路と分割され、大きな製品の下方に冷却水路を1本追加するように変更されています。
Moldex3Dのシミュレーション結果から、従来の設計では小さな製品の充填に必要な時間は大きな製品よりも短いことがわかります。小さな製品のランナールートを延長する設計変更により、小さな製品の充填時間を大きな製品とほぼ同じにすることができました。(図3)
図3 従来の設計の充填74%(上図)と設計変更後の充填96%(下図)の状態を比較すると、2つのキャビティの不均一な充填は解消されていることがわかります。
この他に、冷却システムを最適化することにより、最長冷却時間は本来の21.009秒から18.489秒に短縮され、それにより成形サイクルも短縮されました。最後に、代表的なヒケ現象であるY軸変位の問題についても改善することができました。本来の設計では大小の製品の最大変位量はそれぞれ0.6985 mmと0.1981 mmでしたが、設計変更後の変位量はそれぞれ0.6561mmと0.1930mmでした。
図4 大小の製品のY軸変位の解析結果によると、設計変更後(右)の変位量は従来の設計(左)よりも改善されています。
設計変更の結果は、試作によっても実際に確認を行いました。Moldex3Dの解析から導きだされた最適な成形条件に基づき、ショートショット結果を実機比較検証したものが図5になります。実際の射出成形の結果とシミュレーション結果が一致していることが確認できます。
図5 設計変更により、大小の製品のショートショット結果がシミュレーション結果と一致。
結論
本事例では金型製作前にゲート、ランナー、冷却システムの最適化を行い、生産コストの削減と製品の品質改善の2つの目的を同時に達成することが出来ました。Moldex3Dを使用することで実現象を高精度に再現し、様々な設計変更を容易に行うことができ、迅速な試作の遂行から最適な設計を見つけ出すことが可能です。また、金型製作と修正にかかる高額なコストを浪費させることなく、市場への投入と品質管理の準備をスムーズに進めることができ、大幅な時間とコストの削減が行えます。
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