[解析事例] Moldex3Dを用いる事により成形歩留まり率を改善!
- 事例カテゴリ
- 充填
飛緑股份有限公司は1985年に設立され、プラスチック製家庭用品の自社設計・研究開発、製造および販売を行っている企業です。海外に販売拠点を設立し、台湾国内でも数少ない家庭用品の設計・開発および生産・販売を一貫して行っている総合企業です。現在ではキッチン用品、バス・トイレタリー用品、ペット用品、インテリア・園芸用品、アイデア文具などの生産ラインを持ち、高い設計能力によって多様化する顧客ニーズに対応しています。世界的に多くの顧客を抱えており、飛緑社の製品設計および品質は全世界の顧客に認められています。(出典:http://www.felli.com.tw/about.php)
- 導入企業様 プロフィール
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- 飛緑股份有限公司
- 地域:台湾
- 業種:日常生活用品製造
- 導入ソリューション:Moldex3D Advancedパッケージ;流動解析モジュールFlow、保圧解析モジュールPack、冷却解析モジュールCool、Designer BLM
概要
飛緑社は、マルチキャビティ、短いサイクルタイム、高い歩留まり率、および少ない後工程を目標に食品保存容器の量産開発を行っており、バルブゲートホットランナーを採用して廃棄材料の削減および樹脂材料固化による外観不良の防止を図っています。しかし、バルブゲートホットランナーを採用すると、コーナー効果により流動のアンバランスが生じ、ウェルドライン、エアトラップおよびヒートマークの問題を引き起こします。飛緑社は、Moldex3Dの一連のシミュレーション解析により、問題の根本的原因の確認および解決策の検証を行う事で円滑に問題を克服し、24時間休みなく安定生産を行う目標を達成しました。
課題
・流動アンバランス
・エアトラップ・ウェルドライン
・ヒートマーク
導入ソリューション
ヘキサメッシュ技術を用いたMoldex3Dの流動解析によって流動アンバランスの対策検討
メリット
・外観不良の改善
・成形歩留まり率の99%改善
・安定生産
ケーススタディ
本製品はAS樹脂を使用した透明保存容器(図1)で、製品サイズは140 mm×140 mm×210 mmです。金型は2個取りであり、バルブゲートホットランナーシステムにより製品底部から充填しています。本製品の大量生産を計画しており、24時間休むことなく連続生産する必要があります。バルブゲートホットランナーシステムおよび適切な冷却回路を用いる事で、効果的に外観不良の改善およびサイクルタイムの短縮を図れますが、流動のアンバランスによるウェルドラインやエアトラップとヒートマークの問題が発生してしまいます。
図1 製品:透明保存容器
Moldex3Dのシミュレーション結果によると、やはり流動アンバランスの現象が確認されました(図2)。さらに温度分布結果を観察すると、溶融樹脂がバルブピンを迂回することによってコーナー効果が生じ、高温の溶融樹脂の大部分が外側に広がり、製品部まで流れ込んでいることが分かりました(図3)。
図2 Moldex3Dのメルトフロント等値線(左)から流動アンバランスの現象が見て取れ、実験結果(右)と一致している
図3 温度分布を観察すると、溶融樹脂がバルブピン(左)を通過した後に温度のバラツキが生じ、製品まで続いている(右)ことが分かる。
シミュレーション結果と実機検証の双方において、バルブピンが流動のバランスに影響を与えていることが確認できました。そのため、飛緑社はMoldex3Dによりバルブピンの長さの調整およびバルブピンの除去を行った場合について早急に検証を行いました。その結果、バルブピンを取り除くと流動バランスに明らかな改善が見られることがわかり(図4)、実機検証結果も解析結果と一致しました(図5)。
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図4 バルブピン除去後のシミュレーション結果 | 図5 実験検証 |
最後に、飛緑社はメルトフリッパ設計を利用して溶融樹脂がゲートを通過した後の温度差を減少させ(図6)、流動バランスを改善しました(図7)。
図6 メルトフリッパ設計によってバルブピン通過後の温度差が減少し(左)、流動バランスが改善(右)
図7 設計の最適化によって流動バランスが明らかに改善(右)
飛緑社は、Moldex3Dによる解析によって製品の問題となる根本的原因を見つけ出し、バルブピン設計の改善を行うことにより、流動アンバランスの不良率が100%から0%にまで改善しました。実際の生産における総不良率は0.05%まで低下し、非効率な生産の回避および無駄なコストの削減ができました。
結論
ヘキサメッシュ技術を用いたMoldex3Dの解析により、飛緑社のエンジニアは製品の流動アンバランスの現象を再現しコーナー効果をもたらす原因を見つけ出し、正確な温度分布状態を確認することができました。また、解析と実験結果を比較することにより、バルブピンの設計が流動アンバランスをもたらすカギであることを実証しました。これにより、飛緑社はランナー設計の最適化により溶融樹脂がバルブピン通過後の温度差を減少させ、流動バランスの改善に成功しました。
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