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[解析事例] 薄板成形品の反り変形予測

事例カテゴリ
充填/変形

成形品の反り傾向を解析で再現

概要

プラスチック製品の成形プロセスにおける課題のひとつに、寸法精度の問題があります。反り変形の大きさによっては、求められている製品用途を満たせなくなくなる、設計時の性能が得られなくなるなどの影響が考えられます。

本事例では、POM樹脂材料の薄板製品に対しMoldex3Dを用いて樹脂流動解析・変形解析を実施しました。成形品に対してリブを追加する設計変更を行う際の、反り変形の抑制効果を検証しています。また、本事例の解析対象は図1に示す、6点ゲートの薄板成形品です。実成形品において、成形品端部で1.1-1.5mmの反り変形(図2)が発生しており、この反りの原因分析と形状変更検討を解析しました。

図1. 成形品形状・寸法図1. 成形品形状・寸法

図2. 成形品実物の反り傾向図2. 成形品実物の反り傾向

検証項目

  • ・製品端部での反り変形量の傾向が解析で捉えられるか
  • ・設計変更による反り変形量の比較

成果

  • ・成形品の反り傾向を解析で再現
  • ・リブを追加することで反り変形が抑制されることを解析で確認

解析モデル

解析モデル概要

成形品形状に対して、図3のように冷却管・金型・ランナーをモデル化し、樹脂流動解析を実施しました。

図3. 解析モデル概要図図3. 解析モデル概要図

リブの追加位置

元の成形品形状に対し、図4の青線位置にリブを追加した形状データに対して解析モデルを作成し、リブ追加による反りの抑制効果を検証しました。リブは成形品の反り方向の逆側に配置しています。

図4. リブの追加位置と形状図4. リブの追加位置と形状

検証結果

成形品の充填挙動

流動解析で得られた樹脂の充填挙動を図5に示します。ゲート位置6点に対して、ランナーのパス長さがそれぞれ異なるため、製品中央から順番に樹脂が充填されていき、赤線位置にウェルドラインが発生します。

図5. 流動解析で得られた樹脂の充填挙動(左上の数字は体積充填率、赤線はウェルドライン)図5. 流動解析で得られた樹脂の充填挙動(左上の数字は体積充填率、赤線はウェルドライン)

成形品の変形解析結果

形状変更前の成形品形状に対する総変形量の予測結果を図6に、面外反り変形量(Y方向変形量)の予測結果を図7に示します。全体的に収縮の影響が大きく、成形品端部で変形量が最大となっていることがわかります。

図6. 総変形量の予測結果(5倍表示)図6. 総変形量の予測結果(5倍表示)

図7. 面外反り変形量の予測結果(5倍表示)図7. 面外反り変形量の予測結果(5倍表示)

形状変更による反り抑制効果比較

実成形品の反り評価の状況を再現するため、固定平面機能(図8)を用いて、成形品裏側を変形量評価の基準平面として設定し、形状変更前・変更後の反り変形量評価を行いました。図9に形状変更前後での反り変形量の比較を示します。

図8. 固定平面機能図8. 固定平面機能

図9. 形状変更前後での反り変形量比較(5倍表示)図9. 形状変更前後での反り変形量比較(5倍表示)

図10に示す通り、成形品形状にリブを追加することにより、成形品端部の最大変形位置における反り変形量を約20%程度抑制できることが解析によって確認できました。

結論

この事例では、Moldex3Dを用いて、薄板成形品に対する反り変形量と、形状変更による反り抑制効果の検証を行い、リブを追加することによる反り抑制効果を確認することができました。

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
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