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[解析事例] Moldex3D Expert Moduleによる反り変形の改善と成形パラメーターの最適化

事例カテゴリ
レンズ成形/最適化

コンタクトレンズ成形の最適化事例

導入企業様 プロフィール
顧客名: National Taiwan University of Science and Technology
国: 台湾
分野: 教育
解決方法: Moldex3D AdvancedExpert Module

国立台湾科技大学(NTUST:National Taiwan University of Science and Technology)は、台湾国内初の技術と職業訓練に特化した教育機関として1974年8月1日に創立されました。急速な経済成長と産業の発展による 技術者とリーダーの需要に応えることを目的に創立された同大学は、開校以来、多くの学科を新設してきました。(出典)

概要

コンタクトレンズの主要な製造手法の一つに、キャスティングが挙げられます。反応射出成形技術はベーシックシェルとフロントシェルを含むレンズの準備段階で用いられています。この2つの型の間に流し込まれたポリマーが凝固したものがコンタクトレンズです。高い精度が求められるコンタクトレンズの製造においては、厳しい寸法基準を設け、反り変形を最小限に抑え厳密に管理する必要があります。NTUSTの研究者たちはMoldex3Dシミュレーションの利用に取り組み、Moldex3DのExpert Module(Expert: 実験計画法)を用いて成形プロセスを解析し、設計の変更と反り変形の問題解決に最適な条件を見出すことに成功しました。

図1. コンタクトレンズのフロントシェルとベーシックシェル図1. コンタクトレンズのフロントシェルとベーシックシェル

課題

  • ・コンタクトレンズの製造には、大量生産に対応するべくマルチキャビティ製造手法を用いているため、製品の寸法変更には限度がある。
  • ・成形された部品には正確な形状が求められるだけでなく、視力矯正器具として完成させるための二次工程があるため、製造段階での反り変形は最小限に抑えなければならない。

ソリューション

製品の反り問題を解決する最適な成形条件を導き出す為、Moldex3D Expert Moduleを利用。

メリット

  • ・学術研究の促進。また、さらにCAEソフトウェアを用いての充填挙動の可視化をNTUSTの研究者と学生たちで実践/共有できた。
  • ・試作に要する時間の短縮と人件費などのコストの低減。
  • ・部品の反り変形が28%向上。

ケーススタディ

本事例は、NTUSTの研究者たちがMoldex3D CAEシミュレーションソフトウェアを用い、どのようにしてコンタクトレンズの製造用金型の修正費の低減に最適な成形条件を特定したかを示す良い事例といえます。 NTUSTの研究者たちはまず、Moldex3D Expert Moduleを使用して収縮率を予測しました。これで、設計変更を行う為に必要となる最適値を推測でき、最終製品の品質向上を図ることができます。本事例の主目的は、反り変形の低減にあるので、部品の品質を左右する総変位量を品質因子とします。 さらに、Moldex3D Expert Moduleの設定にて反り変形条件に影響する制御因子として、4つの重要なパラメーターを選択します。図 2に示すように、制御因子は、成形温度、溶融温度、保圧圧力、冷却時間の4つを選定しました。各因子の影響の評価にCAEによる実験計画法を用います。 それぞれの因子から金型が受ける影響を計算し、因子応答をプロットしています(図3)。図3から、制御因子B(溶融温度)が最も重要な因子であることがわかります。

図2. Moldex3D Expert Moduleが示した品質因子と制御因子図2. Moldex3D Expert Moduleが示した品質因子と制御因子

図3. 因子応答のプロット図3. 因子応答のプロット

さらに、Moldex3Dの解析結果(図4)から、元のデザインでは流動状態に不均一がみられることが判明しました。充填率80%の段階で ベースシェルの充填が完了しているのに対し、フロントシェルの充填率は半分以下でした。そこで、フロントシェルのゲートサイズを広げて充填速度を調整しました。この新しい設計変更の成果を確認するため、もう一度Moldex3Dで解析したところ、図6 に示すように、流動バランスが大きく改善しました。本事例は、あくまで学術研究の一環であり、CAE解析ツールによる金型問題の予測と改善の実例を学生たちに理解させることを目的としていますが、更なる設計変更を試みる事で、より一層の充填効率の改善も期待できます。

図4. 設計最適化前図4. 設計最適化前

図5. 設計変更後図5. 設計変更後

図6. 設計変更後のメルトフロント時間解析図6. 設計変更後のメルトフロント時間解析

以下の表1に、元の設計の解析結果、ExpertによるDOE最適値、設計変更後の解析結果を示します。Moldex3D Expert Moduleと効率的な設計変更により、向上率は17.28%に達すると見込まれます(したがって変位の問題は大幅に改善されたといえます)(図7)。

表1. 比較結果表1. 比較結果

図7. 反り変形変位図7. 反り変形変位

結論

Moldex3D Expert Moduleは、 NTUSTの研究者たちに成形工程の可視化に役だっただけでなく、部品の品質に最も大きな影響を与える因子の特定により、反り変形問題を効率的に解消する成形条件の最適化にも役立ちました。また、Moldex3Dは、NTUSTの研究者と学生の方たちに、ものづくりを体験する機会とともに、社会でキャリアをスタートする前に、生産上のリスクを低減し試行錯誤の手間を減らすCAE解析ソフトウェアの使用方法を学ぶ機会を提供しました。

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
  • ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。

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