
CAE Technical Library エンジニアレポート - CAE技術情報ライブラリ
2018.11.22
エアバッグ折り畳み事例とJFOLD最新情報(後編)
- LS-DYNA Conference 2018 JSOL講演6 -
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- : JFOLD / LS-DYNA / ARUP software
15th LS-DYNA Conference およびLS-DYNAテクニカルセミナーで講演したJFOLDの最新開発情報と、エアバッグ折り畳み事例を紹介します。
JFOLDは、複雑形状のモデルにおいて、高精度なエアバッグモデル作成を助けるソフトウェアです。
前編では、JFOLDの機能とカーテンエアバッグ(CAB)のJFOLDによる折り畳み事例の詳細を説明しました。
後編となる今回は、パッセンジャーエアバッグ(PAB)の折り畳み事例を紹介します。
JFOLD最新開発情報
最新版のJFOLD ver.4では、エアバッグ体積・クロスエッジ数・ぺネトレーション数をAirbag information panelから確認できるようになっています。
次期バージョンとなるJFOLD ver.5をはじめ、将来のバージョンでは、次の機能の実装を予定しています。
- モーフィングによるエアバッグ形状の最適化
- エアバッグ全体の表面積の変化率(%)
- 前工程の最終折り形状からの、各シェル要素における伸び
- 現工程におけるクロスエッジの時刻歴
これらの情報をもとに、各ステップの結果をより細かく評価できるようになります。
折り畳み事例:パッセンジャーエアバッグ(PAB)
PABは助手席側乗員を衝突から保護するシステムで、メインパネルと2つのサイドパネル、インナーから成ります。PABの折り畳みは、メインパネルとサイドパネルの縫合から始まり、それをフラット形状にし、インフレーター部分を残してロールして、ラップカバーをフィットすることで折り畳まれます。
JFOLDで折り畳み工程を解析するPABモデルは、メインパネルとサイドパネルの縫合部のメッシュピッチを揃え、続いて実物からスキャンした折り線を結合して作成しました。
実機の再現性:縫合部と折り線
PABの縫合部は、JFOLDのスティッチングツールで簡単にモデル化できます。多数の節点をピックするのではなく、数個の節点をピックすることで、JFOLDが自動的に縫合ラインにビーム要素を作成します。3D形状の縫合を簡単に実施できるため、作業工数を大幅に削減できます。
実機スキャンから得た折り線に基づいて3D形状で折りたたむため、複雑な折り畳み工程を非常に簡単に、高い再現性を維持して実行できることがJFOLDを使用するメリットです。また、JFOLDでは、折り畳み工程の段階を問わず、いつでもラッパーやほかの基布パートをインポートして解析に利用できます。設計変更や新たなアイディアの試行などにも、迅速に対応できます。
展開形状の確認と改善
折り畳まれたエアバッグエアバッグは、LS-DYNAの粒子法(CPM)を使用して展開形状を確認できます。乗員とエアバッグが離れすぎている場合などは、ギャップがなくなるように、PABのデザイン変更が必要となります。従来はPRIMERでのモーフィングが必要でしたが、このモーフィング機能をJFOLD version 5で実装しました。
総括
JFOLDを使用した、高精度エアバッグモデル作成事例の紹介をしました。ルーフラインに沿うような形で組み付けられるCABやインパネ内部に格納されるPABのように折り畳み後の形状が複雑なエアバッグにおいて、JFOLDを使用することで、高精度モデルを作成することができます。
JFOLDは、ユーザーのフィードバックとリクエストに基づき、さらなる機能拡張を計画しております。
JFOLDについてご質問や機能のご要望がありましたら、こちら からお問い合わせください。
なお、本講演の資料はユーザー専用ページで公開しています。
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