
CAE Technical Library エンジニアレポート - CAE技術情報ライブラリ
JSOL主催の第6回樹脂・複合材解析セミナー 発表した講演の内容を紹介します。
前回に引き続き、「異種材料を接合する技術」についての講演をとりあげます。
樹脂複合材と金属の接合解析技術
前回のエンジニアレポートで紹介したアルミと鉄の板組みのほかに、樹脂複合材と金属(鉄、アルミ)の組み合せについても、試験実施と並行して解析の検証を行っています。ここで対象とする樹脂複合材は不連続長繊維の樹脂複合材です。不連続長繊維樹脂複合材については、こちらのエンジニアレポートも併せてご覧ください。
複合材はその異方的な特性から、アルミと鉄の接合のような軸対称モデリングが適用できません。そのため、樹脂(SPG)と繊維(BEAM要素)で構成される樹脂複合材を想定した、SPGとビームのカップリング機能「CONSTRAINED_IMMERSED_IN_SPG」を、JSOLの依頼によりLSTC社が開発しました[1]。このキーワードを使って、上板となる樹脂複合材をSPR(セルフピアシングリベット)で打鋲する工程を解析しました。次の動画は上板が厚み1mmのCFRTP、下板が厚み1.5mmのアルミニウム(6061-T6)の板組で解析した事例です。
SPRと樹脂の接触によって、繊維も樹脂に追随して変形していく様子が確認できます。繊維は脆性的な特性であるため、小さなひずみで破断します。ビーム要素の破断は通常の有限要素であるシェルやソリッドと同様に要素削除で表現されるため、質量が減ってしまう側面があります。ビーム要素の破断のモデリング方法は検討の余地があるとはいえ、樹脂複合材と金属の異種材料を接合する解析技術はここまで進展しました。将来的には、これまで試験に頼らざるを得なかった試行錯誤をLS-DYNAである程度代用できるようになると推測されます。
異なる材料同士を接合するための解析技術の一例をご紹介しました。JSOLは、今後も継続して、実機との比較検証を行うとともにLSTC社の技術者と密に連携して、更なる解析精度の向上と新たな技術の構築のために取り組みを推進していきます。
- 参考資料
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- [1] Wei Hu, C.T Wu, Shinya Hayashi:“The Immersed Smoothed Particle Galerkin Method in LS-DYNA® for Material Failure Analysis of Fiber-Reinforced Solid Structures”, 15th International LS-DYNA Conference 2018, Dearborn, Michigan, USA