お問い合わせ

CAE Technical Library 注目機能紹介 - CAE技術情報ライブラリ

JSOLのRVEソリューション

カテゴリー
:技術情報 / 機能紹介
関連製品
Ansys LS-DYNA / Simpleware Software / Digimat

近年、樹脂と繊維の複合材料や空隙を持つ多孔質材料は、高機能素材として多方面での利用が高まっています。金属や樹脂などの均一な材料と異なり、複合材料や多孔質材料などの不均一な材料はミクロな構造によってマクロな物性が大きく変化します。そのため、実験による物性取得が困難です。JSOLでは、ミクロ分散構造を持つ不均一材料のマクロ物性を計算機内でバーチャルに取得するRVEソリューションをご用意しています。

RVE(Representative Volume Element/代表体積要素)とは

RVE法は、不均一材料の一部を切り出した”ユニットセル”と呼ばれる代表体積に対して構造解析を実施することで、マクロな材料特性を評価する手法です。RVEに関する詳細な解説は、こちらをご覧ください。

現物モデリングによるRVE解析

RVE解析を実施するためには、3次元構造のメッシュが必要となります。SimplewareTM softwareを用いると、複合材料の2次元断面画像から樹脂と繊維の3次元構造を取り出してメッシュを作成することができます。さらに、Simplewareのオプションである材料特性計算モジュールを利用すると、簡単な設定でヤング率、熱伝達係数、粘弾性特性のような線形範囲の材料特性を評価できます。

また、Simplewareで生成した高品質なメッシュをエクスポートして、汎用構造解析ソフトAnsys LS-DYNAを用いた非線形領域も含むRVE解析を行うことも可能です。

仮想モデリングによるRVE解析

現物の画像データをそのままユニットセルのメッシュとして使用すると、RVE解析の計算規模が大きくなりすぎてしまうことがあります。Simplewareでは、3次元構造のデータを分析し、フィラーの体積分率、繊維の長さ、径などを数値情報として出力可能です。これらの数値情報をDigimatに入力することにより、任意サイズのユニットセルのメッシュを作成できます(図1)。SimplewareとDigimatの連携によって、RVE解析を現実的な計算規模に抑えることができます。加えて、パラメータを変更してさまざまなユニットセルを作成する数値実験を行うことで、目的の材料特性を実現する構造の探索が可能です。

さらに、Digimat-FEを利用することで線形範囲を超えた塑性領域のRVE解析を行うことができます(オプション)。線形、塑性を超えて、破壊や界面剥離も含めた特性を評価したい場合は、Digimatで作成したメッシュをAnsys LS-DYNAにエクスポートしてRVE解析を実施できます。

図1. Simpleware	 / Digimat / Ansys LS-DYNAの相互関係 図1. Simpleware / Digimat / Ansys LS-DYNAの相互関係

上述の通り、Simpleware、Digimat、Ansys LS-DYNAのいずれもRVE解析を実施可能です。ただし、それぞれ評価可能な変形領域が異なるため、取得した物性特性を使用した解析で評価する最終変形の範囲によって、ソフトウェアを使い分けていただくことをお勧めします。具体的には、線形範囲のRVE解析を行う場合はSimpleware、塑性領域に入る程度の非線形範囲を評価する場合はDigimat、さらに、破壊まで評価する場合はAnsys LS-DYNAのご利用を推奨します(図2)。

図2. Simpleware / Digimat / Ansys LS-DYNAのRVE機能の使い分けイメージ 図2. Simpleware / Digimat / Ansys LS-DYNAのRVE機能の使い分けイメージ

分子構造シミュレーションモデルによるRVE解析

現物が存在しない、あるいはその断面画像がない場合でも、J-OCTAを用いたシミュレーションにより、材料のミクロな分子構造からマクロ特性までをバーチャルに予測することが可能です。分子シミュレーションソフトJ-OCTA を用いてフィラー分散構造のシミュレーションを実施し、その結果をSTLデータとして出力することでDigimat-FEでのRVE解析を行えます。

また、現物の散乱実験データがある場合は、リバースモンテカルロ法を用いてフィラーの配置を予測する機能をご利用いただけます(図3左)。さらに、Digimatで作成したミクロ構造のフィラー充填率には手法上の限界値があり、高充填率の形状が作れない場合があります。このような高充填構造の作成もJ-OCTAでは可能になります(図3右)。

図3. J-OCTAを用いたフィラーの分散配置の予測 図3. J-OCTAを用いたフィラーの分散配置の予測

短期的な大規模計算への対応

RVEの解析は3次元ソリッド要素を用いるために非常に多くの計算リソースを必要とします。短期的な大規模計算の際にはクラウド利用による計算環境の一時的な増強やライセンスのリースなどもご検討ください。 (Ansys LS-DYNAのクラウド利用については、こちらの記事をご参照ください。)

まとめ

本記事では、マクロ特性にフォーカスしたRVE解析とJSOLが提案するソリューションとそれらの使い分けについて紹介しました。ミクロな観点からの材料設計ソリューションについては、こちらをご覧ください。

J-OCTA、Simpleware、Digimat、Ansys LS-DYNAを用いたRVEソリューションにご興味がございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。

*CONTACT

お問い合わせ

電話でのお問い合わせ:03-6261-7168 平日10:00〜17:00

※ お問い合わせページへアクセスできない場合

以下のアドレス宛にメールでお問い合わせください

cae-info@sci.jsol.co.jp

ページトップへ