[解析事例] ジブロック共重合体の相分離構造の材料物性解析
- 事例カテゴリ
-
- 材料設計
- 使用モジュール
-
- J-OCTA [COGNAC、VSOP]、Digimat-FE/Modeler、Digimat-FE/Solver
分子動力学で求めた構造をDigimat-FEにインポート
目的と手法
複数のポリマーが結合したブロック共重合体は、そのブロック比によってさまざまな相分離構造をとることが知られています。本事例ではその相分離構造の違いが力学特性、熱伝導率特性に及ぼす影響をDigimat-FEにより有限要素法解析を行い評価しました。
まず、J-OCTAによりポリマーA、Bから成るブロック比の異なる3種類のポリマー(A10B10、A6B14、A3B17)を作成し、相分離構造を得ました。J-OCTAで得られた相分離構造はSTL形式で出力が可能です。 次に、J-OCTAから出力したSTLモデルをDigimat-FEにインポートし、力学解析および熱伝導解析を行い材料物性を求めました。
J-OCTA
相分離構造の取得
J-OCTA→Digimat
STL出力
Digimat-FE
メッシュ作成
Digimat-FE
力学解析、伝導解析
図1 J-OCTA→Digimat-FEによるミクロ構造解析の流れ
表1 材料パラメータ(一部)
Mechanical | Thermal | |
---|---|---|
Blue colored phase: Polymer | ・Elastplastic ・Density = 9e-10 ton/mm3 ・Young modulus= 1450 MPa ・Poisson ratio = 0.35 |
・Fourier ・Density = 900 kg/m3 ・Thermal conductivity = 0.1 W/m・K |
Red colored phase: Elastomer | ・Elastic ・Density = 8.9e-10 ton/mm3 ・Young modulus= 10 MPa ・Poisson ratio = 0.4 |
・Fourier ・Density = 890 kg/m3 ・Thermal conductivity = 0.4 W/m・K |
解析結果
図2にJ-OCTAで得られたジブロック共重合体の相分離構造を示します。
これらの構造を用いて、Digimat-FEに内包されたソルバFE/SolverおよびFFT Solver*を使用して計算した結果を図3、4に示します。
A10B10、A6B14ではその相分離構造により引張解析でも熱伝導解析でも異方性があることを確認できます。一方で、A3B17ではA相はB相内に均一に分散しているため異方性はほとんど見られませんでした。
* FFT SolverはV2019.1から追加された高速演算可能なソルバです。
A10B10
A6B14
A3B17
図2 J-OCTAで得られた相分離構造結果
図3 Digimat-FE/SolverおよびFFT Solverによる引張解析結果
図4 Digimat-FE/Solverによる熱伝導解析結果
動画では本ページでご紹介した相分離構造に加え、J-OCTAで得られたフィラー分散構造を用いた解析も実施しています。
図5 J-OCTAで得られたフィラー分散構造結果の例
Finite element analysis of mesoscale structures obtained by molecular simulation
事例一覧
- 材料設計
- 構造解析
-
- バッテリーハウジングの落下解析
- 繊維配向を考慮した疲労解析
- 3Dプリンタ成形品の破壊予測とデザイン最適化
- 可変バルブ機構の構造解析
- ラジエーター冷却タンク結合ピンの強度解析
- 圧力容器の材料変更による設計検討
- 樹脂積層造形インテークマニホールドの強度解析
- 短繊維強化材を用いた自動車部品の剛性解析
- 繊維配向分布/繊維長分布/繊維密度分布を考慮した衝撃解析
- 携帯電話の落下解析
- 射出成形のゲート位置による配向を反映した衝撃解析
- 積層角度を考慮したCFRPプレス事例
- 繊維強化部材の非線形強度解析
- ブラケットの剛性解析
- Bピラー下部の衝撃解析
- 多機能シートパンの剛性・破断予測
- サンルーフのベアリングにかかる荷重応答
- エンジンマウントの軽量化
- 繊維配向を考慮した熱ひずみ解析
- 長繊維強化樹脂を用いたバルクヘッドの剛性解析
- ※Digimatの開発元はe-Xstream engineering社です。http://www.e-xstream.com/
- ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。