【解析事例】グラフェンシートの分散性を考慮した熱伝導解析
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グラフェンシート添加によるCFRTPのマトリクス熱伝導特性改質
目的と手法
CFRTP材の熱伝導性能を上げるためマトリクスにグラフェンシートを加え熱伝導特性を改善させる方法が採られています。一方で、グラフェンシートはそのまま添加すると凝集してしまうため、グラフェンシートの分散構造の物性への影響を調べるため解析を行いました。なお、本事例では、マトリクスはPEEKを想定しています。
まず、J-OCTAを用いてグラフェンシートの表面改質の有無による分散性の違いを確認しました。(図1)
次に、J-OCTAで求めたグラフェンシートの座標をDigimat-FE/Modelerの入力値として用いてミクロ構造モデルを再作成し、Digimat-FE/Solverにより熱伝導性能を求めました。(図2)
最終的に、Digimat-FE/Solverにより求めた熱伝導度を用いて、グラフェンシートの分散の影響を考慮したCFRTP材全体の平均的な熱伝導性能を求めました。(Digimat-MF)(図3)
図1 J-OCTAによる分散構造作成
(グラフェン 10vol%)
図2 Digimat-FE/ModelerによるFEMモデル作成および
Digimat-FE/Solverによる熱伝導解析
(熱流束コンター図)
解析結果
マトリクス部分に存在するフィラー分散構造の違いが、材料全体の熱伝導性能に影響を及ぼすことを確認できました。
また、マトリクスにグラフェンシートを追加することでCFRTPの熱伝導性能を向上できることを確認できました。さらに、分散した状態と凝集した状態を比べることで、同じ量を添加してもグラフェンシート表面の改質を行い均一に分散している状態の方がよりCFRTPの熱伝導性能が向上することを確認できました。
- ●出典情報
- T.Ozawa, T.Nakayama, M.Watanabe, G.Goldbeck, V.Regnier, MOLMOD2015
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