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[ユーザー事例紹介] バーチャルテストによる材料モデルの構築および不確かさを考慮した材料モデル作成および製品評価

事例カテゴリ
  • 材料設計
使用モジュール
  • Digimat-MS
事例提供
  • Robert Bosch(独)

Integrative simulation workflows for efficient material & component engineering of polymers(効率的な高分子材料開発やコンポーネント・エンジニアリングのための統合ワークフロー)

Digimat-MSに実装されたUQ(Uncertainty Quantification、不確かさの定量化)プラグインを活用したユーザー事例をご紹介します。本機能は、不確かさ(ここではDigimatの材料物性やミクロ構造(繊維配向など)のばらつき)を考慮した製品評価を行うことを目的としています。

バーチャルテストによる材料モデル作成

従来の方法では、Digimatによる製品評価を行うためには、次に示すようなステップを踏み、材料モデルを決定する必要があり、最低でも1ヶ月は時間を要するものでした。

  • 1.材料の入手
  • 2.射出成形により平板を作成
  • 3.作成された平板から角度違いの試験片を切り出す
  • 4.繊維配向入手のため、CTスキャン撮影等行う
  • 5.材料試験を行う
  • 6.Digimat用材料パラメータの同定を行う

その材料パラメータ作成にかかる工数を削減するため、Boschでは以下の手法を検討し、材料パラメータを作成するのにかかる日数を数日程度と、大幅に抑えることができました。

  • 1.材料試験データはデータベースから入手(0°のみ)
  • 2.繊維配向結果は流動解析結果を適用
  • 3.Digimat-FEによるRVE解析から材料パラメータを同定
  • 4.さらに、Digimat-FEにより各方向の引張解析を行い、異方性材料物性を計算

このような方法で入手した材料モデルを使用した計算結果と、部品レベルの試験結果が同等になることも確認できました。バーチャルテストを中心に評価することで、材料モデルの作成、製品評価のための解析実施にかかる期間や工数を抑えることが可能になりました。

図1. 解析結果と試験結果との比較(粘弾性モデル)・実線:試験結果・破線:シミュレーション結果(従来方法)・点線:シミュレーション結果(バーチャルテスト)、左のグラフの色の違いは荷重条件の違い) 図1. 解析結果と試験結果との比較(粘弾性モデル)
・実線:試験結果
・破線:シミュレーション結果(従来方法)
・点線:シミュレーション結果(バーチャルテスト)、左のグラフの色の違いは荷重条件の違い)

Digimat-MS UQプラグイン

一方で、シミュレーションで求めたパラメータは一意で、材料物性、成形時、環境、ユーザーの使用状況などの不確定要素、ばらつきについては考慮されていません。これらを無視して製品開発を進めてしまうと、後の工程で問題が発覚した場合に、設計変更を行うと非常にコストがかかります。しかし、これらをすべて考慮して実際に製品評価の解析を行おうとすると、非常に多くの計算を実施する必要があります。それを解決するため、Digimat-MSのUQプラグインにて、設計段階でばらつきを考慮しながら製品評価を行う検討をしました。

図2. Digimat-MSにおけるUQ 解析フローのイメージ図図2. Digimat-MSにおけるUQ 解析フローのイメージ図

まずはベースとなるFEMモデルの準備が必要です。それに対し何を変数/対象として評価を行うかを決定し解析を行います。この事例では、材料自体および成形時のばらつきを示す指標として繊維配向テンソルを変数、目的関数を破壊閾値(Failure Indicator, FI)としました。次に、実験計画法(DoE)に基づき、配向テンソルの値を様々変更した場合の製品評価解析を10ケース行いました。この結果を学習し、ROM(Reduced Order Model、低次元化モデル)を作成します。このステップにより解析モデルの条件とその応答(この事例では図3に示す試験サンプル形状のFIの関係)の簡易モデルが構築されたことになります。このROMを使用して、各パラメータの目的変数FIへの感度を確認し、設計限界を決定することができます。(FEMを実行する代わりにROMを使用してFIを予測することで、FEM実施回数を減らして計算にかかる時間を抑えることができます。)本事例のモデルでは、繊維配向パラメータによってFIに影響があること、荷重条件を低減することにより繊維配向パラメータがFIに影響がなくどの条件でも破壊が起こらなくなることが確認できました。ユーザー様の今後の展望としては、別のパラメータにおいても同様の検討を行い、材料設計に活かしていきたいとのことでした。

図3. 解析モデルとUQ解析の結果評価図3. 解析モデルとUQ解析の結果評価

Digimat-MS UQ pluginでは、上記で示したようなDoEの実施やその結果を用いたROMの作成をサポートしています。ご興味ある方はこちら(問い合わせフォームへリンクする)からぜひお問い合わせください。

※現在、FEMソルバとしてはMarc、Abaqusのみの対応となりますが、他ソルバへの対応などご要望がありましたらお問い合わせください。
※Digimat-MS UQ pluginのご利用には、Digimat-MSに加えてOdysseeライセンスも必要になります。詳細はお問い合わせください。

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  • ※Digimatの開発元はe-Xstream engineering社です。http://www.e-xstream.com/
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