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[活用事例]オープンソースライブラリで画像分析 - 多孔質体画像分析ライブラリPoreSpyとSimpleware Softwareの連携事例

分野
  • 工業分野

3次元画像を分析可能なオープンソースライブラリをご紹介!

電子顕微鏡や FIB-SEM、MicroX線CT などの画像を用いた材料のミクロ構造の分析は、材料の性能を評価するために非常に重要であり、より優れた素材を開発するために各所で様々な研究が行われています。
これらの研究に必要な画像分析ソフトウェアやツールは有償のものから無償のものまで数多く存在します。

その中のひとつに多孔質体の分析に特化した「PoreSpy」と呼ばれる Python のオープンソースライブラリがあります。この PoreSpy でどのようなことができるのかを Simplewareソフトウェアとの連携事例でご紹介します。

PoreSpyとは?

PoreSpy はウォータールー大学の the Porous Materials Engineering & Analysis Lab(PMEAL)によって開発された多孔質材料の画像分析に特化した Pythonライブラリです。
画像処理や分析を行うオープンソースのパッケージとして skimage や OpenCV、ImageJ などのツールが一般的に使用されていますが、多孔質体の分析をこれらの汎用画像処理ツールで実施する場合、複雑なスクリプトやマクロの構築が必要です。
PoreSpy には、多孔質体に多く用いられる分析を迅速かつ便利に実行するための関数が用意されているため、比較的簡単な記述で多孔質体に関する画像を分析できます。また2次元だけでなく3次元画像の解析も可能です。

PoreSpy と当社の Simplewreソフトウェア は、ともに画像をインプットとして使用することから非常に相性がよく、この2つを連携することで多様なモデリングや分析が可能になります。
今回は数多くの PoreSpy の機能の中から、Simplewareソフトウェアと特に相性がいい以下の2つの機能をご紹介します。

  • ・多孔質体/複合材を模した画像の生成
  • ・多孔質体画像に基づく細孔径分析

多孔質体/複合材を模した画像の生成

ここでは PoreSpy による画像生成機能をご紹介します。パラメーターとして気孔率や細かさなどを入力して多孔質体や複合材のミクロ構造を模した画像を生成することが可能です。

図1に示しているのは同程度の気孔率を持ち、異なる構造的特徴を有する画像を PoreSpy で生成し、Simplewareソフトウェアでモデリングした例になります。
フリーのツールを使用して特定の気孔率を持った複雑形状を人工的に作り出すのは手間がかかりますが、PoreSpy には専用の関数が用意されているので、数行のコードでこのような画像を作り出すことが可能です。
また2次元画像だけでなく、3次元画像に対応している点がこのツールの優れた点になります。

Simplewareソフトウェアをお使いいただくと、図1のように画像を3次元モデルに変換してFEメッシュ化し、シミュレーションによる材料の仮想実験を行うことができます。

図1. PoreSpyによる画像生成とSiplewareによるモデリング図1. PoreSpyによる画像生成とSiplewareによるモデリング

多孔質体画像に基づく細孔径分析

次にご紹介するのは PoreSpy を利用した細孔径分布の計算です。多孔質体において細孔径分布はフィルター性能や輸送特性に影響する非常に重要な評価指標です。一般的に細孔径分布は水銀ポロシメーターなどの装置で取得しますが、PoreSpyの中には画像ベースの細孔径分布の計測機能があります。

細孔径を計算したい2値化画像を用意し、その2値化画像を PoreSpy で処理することで、細孔内部で球をフィッティングし、「画像のグレースケール=細孔径」という形で情報をマッピングした画像を出力できます。

図2は、Simplewareソフトウェアを使用して2値化画像を作成したのち、PoreSpy で細孔径がマッピングされた画像を出力した例を示しています。
さらにこの画像を再びSimplewareソフトウェアに読み込むことで、図3のように径の可視化や細孔径分布のグラフを作成できます。

図2. 細孔径のマッピング図2. 細孔径のマッピング

図3. Simplewareによる細孔径分布の可視化図3. Simplewareによる細孔径分布の可視化

本事例では画像の作成や分析を PoreSpy で実施し、その結果をSimplewareソフトウェアで可視化する方法をご紹介いたしました。
PoreSpy 単体でもできることは非常に多いため、3次元画像ベースの多孔質体の分析をまずは無料で試してみたいという方は今回ご紹介した PoreSpy を使用してみてはいかがでしょうか。

Simplewareソフトウェアをすでにご使用中の方は、PoreSpy と組み合わせることで画像分析やシミュレーションの可能性をさらに広げることができます。本事例の詳細を詳しく知りたい方はぜひ こちら よりお問い合わせください。

引用:
  • Gostick J, Khan ZA, Tranter TG, Kok MDR, Agnaou M, Sadeghi MA, Jervis R. PoreSpy: A Python Toolkit for Quantitative Analysis of Porous Media Images.Journal of Open Source Software, 2019.doi:10.21105/joss.01296
  • PoreSpy公式HP

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