
[解析事例] 顔料の表面エネルギー
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目的と手法
シアン系の有機顔料の一つである銅フタロシアニン(CuPc)の001面、011面の表面エネルギーをSIESTAで密度汎関数法を用いて計算し、比較しました。
溶媒中での顔料粒子の分散性には、粒子と溶媒間の界面張力が影響を及ぼすと考えられます。本計算はそのための基礎的な検討となります。
顔料モデルのバルクモデル、および表面モデルのエネルギー差から表面エネルギー \( \gamma \) を算出しました。
\( \Delta \) = \( E_{\rm surface} - E_{\rm bulk} \)
\( \gamma \) = \( \Delta \) /\(2A \)
(\(A \) = surface area)
分子性結晶であることから、SIESTAを用いた密度汎関数法の計算では VDW汎関数を用いました。また、対象分子がスピンをもつため、スピンを考慮した 計算を行いました。\( E_{\rm surface} \) の計算において、表面の構造緩和は考慮していません。
解析結果
図. 銅フタロシアニンの表面構造
001面、011面の表面エネルギーは、それぞれ0.12[J/m2]、0.21[J/m2]となりました。
011面の方が表面エネルギーに対する分子間相互作用の影響が強く出ると期待されますが、その予想と合致する傾向が捉えられていると考えられます。
SIESTAを用いることで顔料の表面エネルギーを評価することができました。
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