
[解析事例] ゼオライトとガス分子の相互作用
- 量子化学・DFT
- 低分子の浸透・拡散・吸着
- マテリアルサイエンス
目的と手法
LSXゼオライトは、Si-Al比が1.0のX型ゼオライトであり、内包するイオンがLiの場合のLi-LSXは空気中のN2を選択的に吸着する酸素PSA(Pressure Swing Adsorption)の吸着材として知られています。
ここではLi-LSXとN2,O2分子の相互作用についてSIESTAによるDFT計算で解析を行うため、図1のようなゼオライトのスラブモデルを構築しました。真空領域との境界部では水素による終端を行いました。
次にN2の主たる吸着サイトとして報告されている部位のLiイオン[1]とガス分子の間の相互作用エネルギーを、イオン‐分子間の距離を変えながら計算しました。計算はKBM/DZPレベルで行い、Counterpoise法による基底関数重なり誤差(BSSE)の補正を行いました。N2の分子軸は図1の垂直方向(Z)と水平方向(X)の2種類を検討しました。
図1 計算に用いたLi-LSXのスラブモデルとガス分子の配置
図2にN2, O2とゼオライトとの相互作用エネルギーをLiイオンとの距離についてプロットしたものを示します。計算結果からN2分子の相互作用エネルギーがO2分子よりも負に大きいことが確認でき、そのため強く吸着されることが示されました。また、N2分子は分子軸がZ方向と一致している場合に、より吸着力が大きいことも分かります。これはN2分子の電荷分布の偏り(四重極子)によるものと考えられます。
図2 ゼオライトとN2, O2分子の相互作用エネルギー
- 参考文献
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- [1]吉田, 平野, 中野, 化学工学論文集, 30巻, 461 (2004)
事例一覧
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