お問い合わせ

[解析事例] Moldex3Dを利用したiMFLUXのプロセスシミュレーション解析

事例カテゴリ
充填/最適化

Moldex3Dを利用したiMFLUXのプロセスシミュレーション検証事例紹介

プロクター・アンド・ギャンブル (P&G) の100%子会社である iMFLUX は、射出成形業界向けの革新的なソリューションを提供しています。iMFLUX は、一定の充填圧力がかかるモードで作動し低圧での成形を可能にします。射出工程で射出圧力をを制御することにより、溶融樹脂をキャビティに注入する際に失速や滞留が生じず、メルトフロントが一定の圧力下で連続して前進します。また、流速が自動的に調整されるため、メルトフロントがより安定するという利点を備えています。射出圧力を低く抑えているため、射出プロセス中の圧力のピーク値は、従来の速度制御モードのものよりも低くなります(図1)。射出圧力が低いため、圧力を原因とする製品品質問題も減少します。圧力を制御することで射出プロセスにおける保圧段階への移行が早まり、冷却時間が減少するため、射出プロセス全体の成形サイクルも短くなります。iMFLUX のキャビティ内の圧力を効果的に制御するため、型内圧力センサーを取り付けて圧力制御係数PFA(Process Factor A)を設定し、PFA を通じて溶融樹脂圧力を制御することにより、射出プロセスを正確に制御することができます。

図1 従来の射出成形プロセスとiMFLUXのプロセスの比較図1 従来の射出成形プロセスとiMFLUXのプロセスの比較
(Reference: https://www.imflux.com/)

ユーザーからすると、iMFLUX のプロセスを使用した場合、最適な射出圧力の選択と適切な金型センサーの位置決めを行って PFA制御パラメータに適用する方法がきわめて重要になります。かつては試行錯誤法以外に実行可能な数値を特定する方法はありませんでしたが、現在は Moldex3D を利用して iMFLUX のプロセスシミュレーション機能を実行できます(図2)。ユーザーはこのプロセスを実行する前に先行して評価を行うことができ、導入後もシミュレーション結果に基づいて最適な成形圧力を特定し、効果的でない過剰な射出圧力を回避することができます。統合された機能により、Moldex3D において溶融樹脂の挙動を予測でき、PFA制御パラメータを特定する最適なインモールドセンサーの位置を見つけ、最も適切な圧力に調整できます。

図2. Moldex3DにおけるiMFLUXのプロセスシミュレーション図2. Moldex3DにおけるiMFLUXのプロセスシミュレーション

箱型製品を例にとると、ユーザーは Moldex3D において Create Run(s) Wizard を使用して最大保圧圧力を選択した後、圧力別の複合解析ランをすばやく設定することができます(図3)。

図3. 複合解析ラン設定図3. 複合解析ラン設定

解析結果から、圧力が 25MPa の時に製品を完全に充填できることが見て取れます(図4)。そのため、25MPa を上回る圧力を射出圧力として設定する必要はありません。Moldex3D は成形試作の前に実行可能な設定圧力の条件を把握でき、試行錯誤法で浪費していた材料やエネルギーを削減できます。

図4. 圧力別の製品充填結果図4. 圧力別の製品充填結果

PFA制御パラメータを設定する位置の選択に際しての CAE の利点は、製品内に複数の仮想センサノードを設置してシミュレーションを行い、CAE を利用して適切なPFA制御パラメータの実行位置を選択し、解析を行えることです(図5)。解析完了後、Moldex3D Summary table を用いてセンサーノード別に解析結果を確認し、適切な検知結果を特定します。この例では、溶融樹脂がセンサーノード#1またはセンサーノード#2を通過した後に PFA制御を開始します(図6)。この位置において、製品はより良好な収縮・そり変形結果およびより小さな型締力が得られ、以降のセンサー設置位置の参考とすることができます。

図5. 複数の仮想センサノードを設置図5. 複数の仮想センサノードを設置

図6. センサーノード別の解析結果図6. センサーノード別の解析結果

Moldex3D 内の PFA設定を利用することにより、解析結果に PFA設定別の溶融樹脂の圧力変化を表示できます。図7 は PFA を 0.5 および 0.1 に設定した場合の圧力変化を示したものであり、実際に生産を行う前に適切な PFA係数の設定値を評価できます。

図7. PFA係数別の圧力変化図7. PFA係数別の圧力変化

iMFLUX は試行錯誤法で起きていたコストの浪費を効果的に削減し、解析結果を利用して成形試作の回数を減らし、さらには製品の量産時間を加速させることができます。かつてはユーザーが iMFLUX のプロセスを採用して製品の生産を行うにあたり、試行錯誤法で適切な射出圧力を特定しており、PFA制御を用いる際に行う生産前の適切なセンサー位置の選択に頭を痛めていました。現在、ユーザーは Moldex3D 内の iMFLUX のシミュレーション機能について、その利点を評価し、このプロセス導入の是非を考慮することができます。このプロセスを導入すると、Moldex3D のシミュレーション能力を最適な成形圧力および型内圧力センサー位置の特定ならびにPFA制御別の効果の解析に役立てることができます。

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
  • ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。
*CONTACT

お問い合わせ

電話でのお問い合わせ:03-6261-7168 平日10:00〜17:00

※ お問い合わせページへアクセスできない場合

以下のアドレス宛にメールでお問い合わせください

cae-info@sci.jsol.co.jp

ページトップへ