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[解析事例] CAE検証例:炭素繊維テープによるプラスチック製船舶用プロペラ構造の強化

事例カテゴリ
充填

Erteco社は北欧最大のプラスチック・ゴム材料販売メーカーのひとつで、ポリオレフィン、PSから高度な複合材料にいたるまでの幅広い製品を提供しています。(出典:http://erteco.se/en/

導入企業様 プロフィール

概要

本事例においてErteco社はガラス繊維強化プラスチック製の船舶用プロペラインナーハブの亀裂の原因を特定し、その問題を解決する必要がありました。ハブに過剰な負荷がかかると、旋回時にプロペラのブレードに亀裂が発生しやすくなり、製品全体の品質と性能に影響をおよぼしていました。

課題

・出力の大きなエンジンの使用、過負荷により、接合部分のプラスチック部品が破断しやすくなる
・脆弱な部分を金属カラーで補強するとコストがかかる

導入ソリューション

Erteco社はMoldex3Dを用いて重要なウェルドラインの位置を予測するとともに、新しいソリューションの導入によって生じる可能性のある問題の評価検証を行いました

メリット

・成形条件の最適化

・ETT (Ems Tape Technology)による強化炭素繊維テープとポリマーとの完全な接合

・ハブの最も薄い部分におけるウェルドライン位置の深刻な亀裂問題を解消

・ETTによるハブ構造の強化で、大幅なコスト削減に成功

ケーススタディ

このプロジェクトでは、プロペラブレードとハブの接合部に過負荷がかかった際に亀裂が発生しやすくなる問題(図1)を解決する、よりコストパフォーマンスに優れた方法を見つけることを目的としていました。メーカーであるPropulseは、従来のプラスチック部品を手動で装置に設置し、金属カラーで固定して構造を補強していました(図2)。

図1 Propulseのプロペラモデル分解図。図中の円で囲まれた部分が本事例で対象となる部品。(Propulse AB, 2015) 図1 Propulseのプロペラモデル分解図。図中の円で囲まれた部分が本事例で対象となる部品。(Propulse AB, 2015)

図2 本事例で使われていた金属カラーによる構造補強 図2 本事例で使われていた金属カラーによる構造補強

1回目のシミュレーション解析では、流動特性から深刻なウェルドラインが発生することが確認され、またその位置はプロペラブレードが回転する際に急激な加速によってハブに非常に大きな負荷がかかる部分と一致していました。この部分は部品の最も薄い部分であるため、ウェルドラインの発生は製品強度を大幅に低下させることとなります。

この問題を解決するために、Erteco社ではポリアミド繊維と炭素繊維の合成テープであるEms Tape Technology (ETT)を従来の方法に代えて採用し、Moldex3Dを使用してこの新技術の検証を行いました。シミュレーションでは、射出成形プロセスにおける温度と圧力の挙動がセンサーノードによってモニタリングされます。最初の試作後、テープとポリマーが完全には結合していないことが確認されました。そのためErtecoは従来の設定(図3)と金型温度と樹脂温度を引き上げた設定(図4)の2つの異なる成形条件のシミュレーションを行いました。

図3 EETを使用したシミュレーション事例(従来の設定) 図3 EETを使用したシミュレーション事例(従来の設定)

図4 金型温度と樹脂温度を上げてEETを使用したシミュレーション事例 図4 金型温度と樹脂温度を上げてEETを使用したシミュレーション事例

Moldex3Dの解析結果から、金型温度と保圧圧力を上げることにより製品の収縮を抑制することが確認でき、テープが基材から剥離するのを防ぐことが確認できました。また、金型温度と保圧圧力を引き上げることにより、保圧段階での製品の脆弱な部分のメルトフロント温度が溶融樹脂温度を超える時間をわずかに引き伸ばすことができ、それによりテープとポリマーが完全に結合されることが分かりました。

結論

Moldex3Dを使用することでErteco社のエンジニアはプラスチック部品の品質問題を確認し、コストパフォーマンスに優れた問題修正を短期間のうちにすばやく行うことができました。Erteco社は他の製品に対しても成形条件の最適化、生産品質の改善のために今後も引き続きMoldex3Dを活用する予定です。

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
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