[解析事例] CAEの使用でツール製造における複数の課題を一度に解消
- 事例カテゴリ
- 充填
スタンレー・ブラック&デッカー(Stanley Black & Decker)は、電動工具、ハンドツール、家庭用品の世界的なリーディングカンパニーであると同時に、プロフェッショナルユースの信頼性の高い産業・家庭用工具、電動工具、空圧工具メーカーでもあります。共通の顧客に対するより専門的な製品とサービスの提供に努めています。(出典)
- 導入企業様 プロフィール
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- 顧客名:スタンレー・ブラック&デッカー
- 国:アメリカ
- 業種:ツール製造
- 導入ソリューション:Moldex3D Advancedソリューション;繊維配向モジュール、FEAインターフェースモジュール、そり変形解析モジュール
概要
スタンレー・ブラック&デッカーDTV部門のWilliam Laiマネージャーは、Frank Tsai製品エンジニアと共同でドライバーグリップの解析を行いました(図1)。本事例では、製品のねじ穴にウェルドラインが発生し、製品が破損しやすくなっていました。Moldex3Dのシミュレーションにより、ウェルドラインの位置を正確に予測し、改善することができました。この他にも、Moldex3Dマルチコンポーネント成形モジュールのオーバーモールディング解析により、ABSとTPEの2つの材料の結合後の温度を予測し、成形条件を最適化しました。
図1 製品開発の流れ
課題
- ・ウェルドラインによる製品の破断
- ・2種類の材料を用いた設計による追加コストと時間の増加
- ・コールドウェルドラインと表面の曇り
導入ソリューション
Moldex3Dのシミュレーションにより、ウェルドライン位置の修正、2つの材料の結合後の成形条件の最適化、ゲート設計の最適化を行い、正確な軸の偏移値を得ることができました。
利点
- ・ウェルドラインの位置の変更、落下テストの結果改善
- ・成形条件の最適化により、ABSとTPEの2つの材料の最適な結合を実現
- ・コールドウェルドラインと表面の曇りの問題を解消
- ・ドライバーグリップの事例における、正確な軸偏移値の取得
- ・ツール製造時間の短縮とコストの削減
ケーススタディ
スタンレー・ブラック&デッカーのDTVチームは、ドライバーグリップの製品構造強度と外観を改善するために、Moldex3Dを使用してファーストショットとセカンドショットの挙動とウェルドラインの発生位置を観察しました。 最初の事例では、Moldex3Dはウェルドラインの位置を正確に予測しました(図2)。シミュレーション結果に基づき、製品の内部構造を修正してウェルドラインの位置を変更することにより、構造強度を達成することが可能となり、ツール製造段階における設計変更から生じるコストの増加を避けることができます。
図2 Moldex3Dで予測されるウェルドラインの発生位置
次の事例では、Moldex3Dがオーバーモールディングプロセスにおけるファーストショットとセカンドショットのメルトフロントをシミュレーションすることにより、ユーザーは、ABSとTPEの結合後の挙動や、メルトフロントと温度を観察して、成形条件の最適化を行うことができ、金型製造の前に2つの材料の結合を的確に制御することができます(図3、図4)。
図3 Moldex3Dでシミュレーションされたファーストショットとセカンドショットの2つの材料の挙動
図4 Moldex3Dのバイインジェクションモジュールにより、セカンドショットのファーストショットへの接触時点を予測したところ、ファーストショットのメルト表面の再溶融温度が材料の相変化温度よりも大きくなったことから、両者の接触面の結合が良好であることが予測できます。
ドライバーグリップは半透明の素材で製作され、また、その直径が大きすぎることから、コールドウェルドラインと表面の曇りが発生しやすくなっています(図5)。3つ目の事例では、Moldex3Dは異なるゲート設計の成形条件、形状、サイズのシミュレーションを同時に行うことで、コールドウェルドラインと表面の曇りの問題に対するソリューションを見つけ出しました。ゲート位置の変更後、元々あったジェッティングが改善されました(図6)。それと同時に流体固体結合を予測することにより、ドライバー内部の金属部品の偏移量も改善され、金型製造における様々な問題を回避することが可能となります。
図5 コールドウェルドラインと表面の曇りの問題
図6 ゲート位置変更後に改善されたコールドウェルドラインと表面の曇り
Moldex3Dはゲート形状、サイズ、ゲート位置の最適化に役立ち、プラスチック材料のフロー挙動と流体固体結合値を改善することができました。その結果、スタンレー・ブラック&デッカーのDTVチームはこの後に続くCNCサンプルテスト、EMC・EMIテスト、信頼性テスト、組立検証などの作業を滞りなく進めることができました。
結論
DTVチームのミッションは実際の製造前に、設計と製造における潜在的な問題を予測してエンジニアをサポートすることにあります。また、Moldex3Dは頼れるアシスタントとして、プラスチック部品の生産をシミュレーションするだけでなく、金型製造と製品構造における問題を解決し、エンジニアチームの製品設計・製造におけるコストと時間を大幅に削減しました。
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