[解析事例] AUDIX社 - 寸法精度の向上と外観不良の解消を両立
- 事例カテゴリ
- 充填 / 変形
AUDIX社は1980年の設立以来、代理店として日系半導体電子部品を取り扱ってきました。近年では、関連業界の発展に伴い、製品検証および製造等の分野にも進出しています。現在、AUDIXグループは電子部品の製造、検証、販売という3大事業をカバーし、国内外の優良企業にトータルソリューションサービスを提供しています。また、日本企業との共同事業として、大型テレビやモニターの生産を呉江で行っています。(出典)
- 導入企業様 プロフィール
-
- 顧客名:AUDIX (敦吉科技)
- 地域:台湾
- 業種:電子機器
- 導入ソリューション:Moldex3D Advanced Package
概要
本事例では、PBT(結晶性プラスチック)製品の一例として高電圧コネクターを取り上げます。結晶性をもつ製品では、大幅な体積収縮が生じる可能性があります。ほかの電子部品との組み立て時の問題を回避するため、製品寸法の精度は非常に重要です。さらに、外観不良となるエアトラップやショートショットなども看過できない問題です。したがって、寸法精度と外観不良の2点が取り組むべき課題となりました。AUDIX社はMoldex3Dを利用して体積収縮分布を解析した結果、高収縮率部分の板厚調整、さらに、ゲートサイズの調整によってエアトラップの解消に成功しました。これにより、大量生産開始の前段階で収縮の問題と外観不良を解決しました。
課題
- ・寸法精度の向上
- ・製品表面の不具合解消
ソリューション
AUDIX社はMoldex3Dを利用して部品の板厚とゲート設計を調整し、開発の初期段階において製品の最適化に成功しました。
ベネフィット
- ・体積収縮の低減(17%から14%)
- ・寸法精度の向上(77%)
- ・金型の試作コスト削減・開発時間の短縮
ケーススタディ
本事例の目的は、高電圧コネクタージャック周囲の体積収縮問題を解決し、要求精度(Fig. 1)を満たすことにありました。コネクタージャックの周囲に生じた収縮は、許容基準を超過していました。AUDIX社はこの収縮問題を板厚減少により解決することを試みましたが、この方法ではエアトラップが発生することが判明しました。そのため、本問題の解決には、寸法精度の向上と外観不良(エアトラップ)の解消を両立する設計変更が必要でした。
Fig. 1 コネクタージャック周辺の収縮
AUDIX社は、まず体積収縮率が高い領域を特定し、続いて1点ゲートから2点ゲートにデザインを変更しました。Moldex3Dの解析結果から、ダブルゲートのデザインで体積収縮が17%から14%に減少することが確認されました。
Fig. 2 左図:オリジナルデザイン(1点ゲート)、右図:デザイン変更後(2点ゲート)
ゲートデザインの変更に加え、AUDIX社は製品板厚の変更にも着手しました。板厚を薄くする部分の対象として、2つの領域が提案されました。デザイン変更案(1)は、コア部とキャビティ部の板厚を別々に薄くすることで、形状と外観上の基準を満たそうとする案でした。 Fig. 3に、減肉した位置とその体積収縮の結果を示します。図からわかるように、変更案(1)では体積収縮には大きな変化が見られませんでした。
Fig. 3 デザイン変更案1:コアとキャビティの板厚を減肉
デザイン変更案(1)に基づいてスライダーを調整し、製品の板厚をさらに薄くしたものをデザイン変更案(2)とし、Moldex3Dの解析を行いました。この解析結果から、変更案(2)で特定の領域における体積収縮が効果的に減少していることがわかりました。しかし、体積収縮の分布はより均一になりましたが、この変更により、側壁にエアトラップが生じました(Fig. 5)。そこでAUDIX社ではゲートサイズを(変更案(2)の)1 mmから1.5 mmに再び変更し、エアトラップの発生する位置を側壁から分割面側に移動させました。
Fig. 4 デザイン変更案2:側壁を減肉
Fig. 5 デザイン変更案2:エアトラップの発生
AUDIX社は、解析結果に基づき部品の上部と底部にある4つの穴の長さを測定し、体積収縮後の寸法精度を評価しました。その結果、オリジナルデザインにおいて要求精度を超える収縮が生じるケースは、底部の穴1と穴4の長さが基準値を超えていることが判明しました。そして、デザイン変更案(2)では、寸法精度がオリジナルデザインと比較し77%改善し、生産許容基準値を満たすことが確認されました。
続いて、Moldex3Dの解析結果を実機と確認するため、AUDIX社はショートショットのテストを実施しました。結果はFig. 6に示すように、Moldex3Dのメルトフロント解析は射出成形中の樹脂挙動を正確に反映していることが確認できました。さらに同社はデザイン変更案(2)に基づいた試作金型とその解析結果を比較し、エアトラップの発生位置が実際の金型と解析結果でも一致していることも確認しました(Fig. 7)。
Fig. 6 試作結果と解析結果の比較:メルトフロント
Fig. 7 エアトラップ検証。デザイン変更案(2)に基づいた試作結果と解析結果の比較
結論
AUDIX社は、Moldex3Dによる解析を通して樹脂の挙動を把握し潜在的な問題を金型の製作前に発見しました。そして、この高精度な予測結果を活用することにより、AUDIX社は試作金型の製作コスト削減と開発期間を短縮し、さらには製品の品質向上にも成功しました。
事例一覧
-
- 先進実装学会にてサンユレック様ご講演に関する技術報告
- ワイヤウィザードとワイヤテンプレートを使ってワイヤコンポーネントを素早く構築
- Moldex3D StudioにおけるCoWosの自動メッシュ作成
- シミュレーションによる電子ポッティングプロセスの最適化および製品信頼性の向上
- IC業界における信頼性試験:温度サイクル試験のシミュレーションによる熱疲労予測
- Moldex3D ICキャピラリーアンダーフィルの包括的シミュレーション
- Moldex3D StudioのICパッケージングにおけるトランスファー成形シミュレーション
- さまざまなIC封止成形プロセスに柔軟に対応するMoldex3D IC封止成形解析機能
- Moldex3D Expert Moduleによる反り変形の改善と成形パラメーターの最適化
- 第3ブレーキライトの設計最適化にMoldex3D を活用し、収縮問題を見事に解決
- 自動車用ヘッドライト反射板のエアトラップ解消事例
- Moldex3D粉末射出成形シミュレーション:ジルコニアインプラントの反り改善
- Moldex3D光学モジュール適用事例 : レーザープロジェクター レンズアレイの最適化
- Moldex3Dを使ってマルチショット射出成形の成形課題を克服
- 薄板成形品の反り変形予測
- マイクロレンズアレイ成形技術の飛躍的進歩
- Moldex3Dによるコストと時間の低減(Shape社)
- Moldex3Dによる成形品質改善(Widex社)
- MuCell® 技術の正確な解析 - Moldex3D解析 との融合
- 充填アンバランスの改善(BTI社)
- Moldex3Dによる冷却ファンブラケットの変形量改善
- 3Dプリントがもたらすスマート成形ソリューション
- コンフォーマル冷却回路の最適化とLEDレンズ残留応力の低減
- 金型温度調節機と冷却回路の互換性評価方法
- LS-TaSCを用いた射出成形金型のトポロジー最適化
- 流動解析の使用で3Dプリントによる開発プロセスを短縮
- ゲート位置アドバイザーの強化よりゲート設計を迅速に最適化
- 新しいMoldiverseクラウドプラットフォームで産業変革への第一歩を踏み出す
- ノートパソコン用キーボードのファミリーモールドの開発と組立ての自動化
- Composite 2023:StudioでRTM繊維配向を編集する方法
- Simpleware Software との連携による繊維配向予測精度向上
- Moldex3D Studio API機能を体験
- Moldex3Dを利用したiMFLUXのプロセスシミュレーション解析
- 樹脂流動解析の応用によるシングルバルブゲート型ホットランナーのアンバランス流動およびコアシフトの改善
- StudioでShellモデルを構築する方法
- Moldex3Dシミュレーションのためのクラウド活用
- 成形プロセスおよび金型構造がASA製品表面の白点に与える影響に関する研究
- 流動解析と実験計画法(DOE)の組み合わせにより最適なソリューションをすばやく特定
- NXのMold Wizardで作成されたランナーへの構造メッシュの作成
- 設計最適化によるそり変形問題の解消
- ICパッケージング業界のための自動シミュレーションワークフロー
- 金型業界におけるコンフォーマル冷却の普及について
- コンフォーマル冷却ウィザードの強化
- IC封止成形解析メッシング機能の高速化と信頼性向上
- APIによる射出成形シミュレーションの自動化
- 圧縮成形時の繊維配向変化の予測
- 高度な材料データを使用した射出成形圧力予測の改善
- 樹脂材料と3Dプリンタによる射出成形型(3DPIM)の効果的な設計検証ツールの実証実験
- 製品設計の最適化と複数解析の自動化
- ガラス繊維射出成形品のウェルドラインの検証
- Moldex3D バージョン2021 Viewer機能紹介
- 3D冷却CFD解析による仮想と現実の統合
- 射出発泡成形におけるコアバック技術の解析
- 共射出成形製品の物理メカニズムの調査と反り変形問題の解消
- シミュレーションテクノロジーを用いてSynventive社の高度なバルブゲートシステムを検証
- ウィスコンシン大学における学術研究:プラスチック製品の不具合予測
- AUDIX社 - 寸法精度の向上と外観不良の解消を両立
- Moldex3Dのコンフォーマル冷却解析による冷却時間の短縮
- Delta Groupは、冷却ファンブラケットの変形を改良するためにMoldex3D を利用
- CAEの使用でツール製造における複数の課題を一度に解消
- BASF、デザイン変更を行わずにガスアシスト成形の椅子製品を最適化
- 射出成形製品の最適化ワークフローを完全自動化
- 東陽実業による車用フォグランプの外観不良対策事例
- 電子部品のアンバランスな流動、ウェルドライン、エアートラップの問題を一挙に解決
- 先進的なCAEツールを使用して光学製品のそり変形と屈折率を検証
- 清華大学、Moldex3DによるVaRTMプロセスの検証に成功
- 射出成形の効率化を図るホットランナー設計にMoldex3Dを活用
- 軽量化と製品強度の要件を兼ね備えたプラスチック製品の実現
- 逆そり変形によるそり変形ソリューション
- 革新的な2ステップのシミュレーションでシート状複合材料の圧縮成形プロセスを一括管理
- マサチューセッツ大学による自転車金属部品の代替素材の特定
- ヘッドアップディスプレイのコンバイナー用蒸着治具金型と成形効率の最適化
- ブダペスト工科経済大学はMoldex3Dにより冷却時間を18%短縮
- ファスナー製品に欠かせない強度最適化手法
- イタリアの金型メーカーがMoldex3Dを使用して再利用可能なマスクをスピーディに量産化
- WISE、Moldex3Dにより引き出しスライドレールの要求寸法を達成
- STマイクロエレクトロニクスはMoldex3Dを使用してICパッケージングプロセスの最適化を実現
- SABICはMoldex3Dを使って2K-ICM製品の外観を最適化
- IDEMI、Moldex3Dにより新型コロナウイルス対策用フェイスシールドを検証
- Blackcad、Moldex3Dによる新型コロナウイルス対策用フェイスシールドの製造に成功
- 最短時間で最適な製品形状設計を見つけるには
- タブレットのバックパネルのそり変形を92%改善
- 部門間をつなぐビッグデータ管理プラットフォーム(Moldex3D iSLM)
- 独ケムニッツ工科大、Moldex3Dを用いた熱硬化性射出成形の壁面滑り現象の研究
- Moldex3Dを用いる事により成形歩留まり率を改善!
- 反り変形予測の定量評価に重要な粘弾性特性
- Moldex3Dにより車窓のガラスランチャンネルの変形を解決する方法を特定
- Moldex3Dによるコンフォーマル冷却回路の最適化で冷却効率が70%向上
- 炭素繊維配向の応力シミュレーション解析によりハンマータッカー製品の構造強度が向上
- 微細形状を持つ製品の流動評価
- Moldex3Dを使用して自動車部品の冷却時間を67%短縮
- CAE検証例:炭素繊維テープによるプラスチック製船舶用プロペラ構造の強化
- Berry PlasticsはMoldex3Dにより「時は金なり」であることを実証
- マルチコンポーネント成形:厚みのある光学製品の冷却時間を55%短縮
- コンフォーマル冷却回路の有効性を検証することでUSB外装部のサイクルタイムを短縮
- Moldex3DとANSYSの組み合わせによりガラス繊維のポリ乳酸製品構造に与える影響を検証
- CAEツールを利用したカメラレンズ筐体の真円度改善
- ACER社:Moldex3Dを活用し軽量・薄型タブレットを製造
- Moldex3Dを使用してLED製品の最適化を行い、金型製作コストを11,500米ドル削減
- Moldex3Dによる車載ナビゲーション機器部品の変形問題の解決例
- Moldex3DとLS-DYNAを統合し、スキャナーパーツの反り変形という難題の改善に成功
- Moldex3D成功例:反り変形抑制とサイクルタイム短縮例
- Moldex3Dと構造解析ソフトの統合 ― 反り変形の解決
- Moldex3D適用事例 −ガスアシスト・ワックスインジェクション成形の研究成果
- Moldex3Dにより光学製品の精密成形工程を最適化
- Moldex3D DOEによるパラメーター設定の最適化:部品品質の向上
- Moldex3D Advanced & Optics Module:ウェルドラインの解消
- Moldex3D eDesignを活用したウェルドライン改善の事例
- 樹脂流動解析と構造解析の連成事例
- 新繊維配向アルゴリズム(iARD) 〜長繊維配向の予測をより高速に、より高精度に〜
- 粉末射出成形「PIM」の紹介
- インサート成形用コアシフトシミュレーション(FSI)
- 3Dプリンター(レーザー焼結方式)を活用したコンフォーマル冷却による品質向上の事例
- ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
- ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。