[解析事例] Moldex3Dによる冷却ファンブラケットの変形量改善
- 事例カテゴリ
- 変形/最適化
Moldex3Dによる形状最適化と変形量の改善
- 導入企業様 プロフィール
-
顧客名: Delta Group 国: 中国 産業: エレクトロニクス 解決方法: Moldex3D Advanced Package 1871に設立された Delta Group はパワーマネジメントと冷却ソリューションにおける世界的なリーディングカンパニーです。悪化する気候変動に直面している現在、Delta Group は、地球と我々の環境を保護することに専念しています。彼らは “Smarter, Greener, Together” という精神の元で、地球温暖化が人類に及ぼす影響を軽減するため、革新的な省エネルギー製品やソリューションを作り続けています。(出典)
事例概要
本事例では、Dllta Group によるMoldex3Dを用いた冷却ファンブラケットの成形プロセス最適化事例をご紹介いたします。
コンピュータは使用時に部品から熱が発生するため、温度を下げるための冷却モジュールが広く使用されています。 このようなパワーマネジメントと冷却ソリューションをけん引する世界的なリーディングカンパニーである Delta Group は、革新的な製品開発を行うため日々、専門技術を磨いてきました。
そういった中、Dllta Groupは設計検証と成形プロセスの最適化を行うための解決策として、Moldex3D 射出成形シミュレーションソリューションを採用しました。Moldex3Dを使用して冷却ファンブラケットの潜在的な成形欠陥を事前に検出し、成形条件パラメータを最適化して製品品質を改良することで製造コストの削減に成功しました。
図1. コンピュータの冷却モジュールのファンブラケット
課題
- ・残留応力による深刻な製品変形
- ・平面度の規格:2mmを満たさない
ソリューション
Delta Groupは、Moldex3Dを使って製品変形の根本原因を事前検証し、製品設計変更のフィードバックにより設計の最適化を行い、変形を最小限に抑えることができました。
利点
- ・変形を3mm から 0.15mmに軽減
- ・欠陥率は 45% から 16%に減少
- ・サイクル時間の短縮とコスト削減
ケーススタディ
冷却ファンブラケットの機能は、冷却コンポーネントの実装とサポートです。その平面度は、組立て作業にとって極めて重要です。このケースでは、収縮が原因で冷却ファンブラケットの角が陥没し、要求される寸法スペックの0.2mm を満たすことができませんでした。よってここでの主な改善目的は、寸法の安定性を改善することです。
図2. 収縮により、冷却ファンブラケットの角が凹み、寸法公差を超えてしまいました
図3. 製品変形は 0.3 mm
製品品質を効率的に改良するため、Delta Groupの R&Dチームは、Moldex3Dの流動解析、保圧解析、冷却解析モジュールを使い、元の設計の問題を明らかにしました。
図4 は元の設計の流動解析結果です。構造上の問題により、製品強度に問題が生じています。充填完了時にコーナー部分が充填されるため、保圧が不十分です。これが体積収縮による変形を引き起こし、製品強度にも影響を及ぼします。
図4. 流動解析結果
図5で示すように、解析の温度分布結果から保圧完了時の温度が230℃(黄色)よりも高いことがわかります。この場合、厚い部分に内部熱集中が発生し、不均一な収縮を引き起こすことがあります。
図5. 保圧時の温度分布結果
図6 は冷却解析結果です。ここから冷却完了時(赤色)に部分的に蓄熱が起きていることがわかります。これは製品変形や冷却時間の延長を引き起こします。
図6. 冷却時の温度分布結果
問題の根本原因を明らかにした後、Delta Groupは Moldex3D Warp 解析を使って、改良後の設計と元の設計(リブ)、修正後1(ダブルリブ)、修正後2(ダブルリブ&円柱)の比較を行いました。この3つの設計の比較を行うことで、Z-変位の変化を観察し、ブラケットの変形を検証しました。解析結果から、修正後2のそり変形が最小(-0.39mm から 0.36mm)となり、この中で最も良い設計であることがわかりました (図7、8)。
図7. Moldex3Dを使って3つの設計を比較し、 修正後2のZ-変位が最小となるため、これが最も良い設計であると判断しました
図8. Delta Group はMoldex3D シミュレーションソフトウェアを使って、円柱を含むダブルリブが最適な設計であると結論づけました
結論
最終的にZ-変位が20%改善(0.3mm から0.15mmへ)され欠陥率は45% から16%に低減し、さらに開発サイクルは3日も短縮されました。また、シミュレーション結果が実際の結果と同傾向を示し、Moldex3D シミュレーションソリューションは Delta Group で高い評価を得ることになりました。
事例一覧
-
- 先進実装学会にてサンユレック様ご講演に関する技術報告
- ワイヤウィザードとワイヤテンプレートを使ってワイヤコンポーネントを素早く構築
- Moldex3D StudioにおけるCoWosの自動メッシュ作成
- シミュレーションによる電子ポッティングプロセスの最適化および製品信頼性の向上
- IC業界における信頼性試験:温度サイクル試験のシミュレーションによる熱疲労予測
- Moldex3D ICキャピラリーアンダーフィルの包括的シミュレーション
- Moldex3D StudioのICパッケージングにおけるトランスファー成形シミュレーション
- さまざまなIC封止成形プロセスに柔軟に対応するMoldex3D IC封止成形解析機能
- Moldex3D Expert Moduleによる反り変形の改善と成形パラメーターの最適化
- 第3ブレーキライトの設計最適化にMoldex3D を活用し、収縮問題を見事に解決
- 自動車用ヘッドライト反射板のエアトラップ解消事例
- Moldex3D粉末射出成形シミュレーション:ジルコニアインプラントの反り改善
- Moldex3D光学モジュール適用事例 : レーザープロジェクター レンズアレイの最適化
- Moldex3Dを使ってマルチショット射出成形の成形課題を克服
- 薄板成形品の反り変形予測
- マイクロレンズアレイ成形技術の飛躍的進歩
- Moldex3Dによるコストと時間の低減(Shape社)
- Moldex3Dによる成形品質改善(Widex社)
- MuCell® 技術の正確な解析 - Moldex3D解析 との融合
- 充填アンバランスの改善(BTI社)
- Moldex3Dによる冷却ファンブラケットの変形量改善
- 3Dプリントがもたらすスマート成形ソリューション
- コンフォーマル冷却回路の最適化とLEDレンズ残留応力の低減
- 金型温度調節機と冷却回路の互換性評価方法
- LS-TaSCを用いた射出成形金型のトポロジー最適化
- 流動解析の使用で3Dプリントによる開発プロセスを短縮
- ゲート位置アドバイザーの強化よりゲート設計を迅速に最適化
- 新しいMoldiverseクラウドプラットフォームで産業変革への第一歩を踏み出す
- ノートパソコン用キーボードのファミリーモールドの開発と組立ての自動化
- Composite 2023:StudioでRTM繊維配向を編集する方法
- Simpleware Software との連携による繊維配向予測精度向上
- Moldex3D Studio API機能を体験
- Moldex3Dを利用したiMFLUXのプロセスシミュレーション解析
- 樹脂流動解析の応用によるシングルバルブゲート型ホットランナーのアンバランス流動およびコアシフトの改善
- StudioでShellモデルを構築する方法
- Moldex3Dシミュレーションのためのクラウド活用
- 成形プロセスおよび金型構造がASA製品表面の白点に与える影響に関する研究
- 流動解析と実験計画法(DOE)の組み合わせにより最適なソリューションをすばやく特定
- NXのMold Wizardで作成されたランナーへの構造メッシュの作成
- 設計最適化によるそり変形問題の解消
- ICパッケージング業界のための自動シミュレーションワークフロー
- 金型業界におけるコンフォーマル冷却の普及について
- コンフォーマル冷却ウィザードの強化
- IC封止成形解析メッシング機能の高速化と信頼性向上
- APIによる射出成形シミュレーションの自動化
- 圧縮成形時の繊維配向変化の予測
- 高度な材料データを使用した射出成形圧力予測の改善
- 樹脂材料と3Dプリンタによる射出成形型(3DPIM)の効果的な設計検証ツールの実証実験
- 製品設計の最適化と複数解析の自動化
- ガラス繊維射出成形品のウェルドラインの検証
- Moldex3D バージョン2021 Viewer機能紹介
- 3D冷却CFD解析による仮想と現実の統合
- 射出発泡成形におけるコアバック技術の解析
- 共射出成形製品の物理メカニズムの調査と反り変形問題の解消
- シミュレーションテクノロジーを用いてSynventive社の高度なバルブゲートシステムを検証
- ウィスコンシン大学における学術研究:プラスチック製品の不具合予測
- AUDIX社 - 寸法精度の向上と外観不良の解消を両立
- Moldex3Dのコンフォーマル冷却解析による冷却時間の短縮
- Delta Groupは、冷却ファンブラケットの変形を改良するためにMoldex3D を利用
- CAEの使用でツール製造における複数の課題を一度に解消
- BASF、デザイン変更を行わずにガスアシスト成形の椅子製品を最適化
- 射出成形製品の最適化ワークフローを完全自動化
- 東陽実業による車用フォグランプの外観不良対策事例
- 電子部品のアンバランスな流動、ウェルドライン、エアートラップの問題を一挙に解決
- 先進的なCAEツールを使用して光学製品のそり変形と屈折率を検証
- 清華大学、Moldex3DによるVaRTMプロセスの検証に成功
- 射出成形の効率化を図るホットランナー設計にMoldex3Dを活用
- 軽量化と製品強度の要件を兼ね備えたプラスチック製品の実現
- 逆そり変形によるそり変形ソリューション
- 革新的な2ステップのシミュレーションでシート状複合材料の圧縮成形プロセスを一括管理
- マサチューセッツ大学による自転車金属部品の代替素材の特定
- ヘッドアップディスプレイのコンバイナー用蒸着治具金型と成形効率の最適化
- ブダペスト工科経済大学はMoldex3Dにより冷却時間を18%短縮
- ファスナー製品に欠かせない強度最適化手法
- イタリアの金型メーカーがMoldex3Dを使用して再利用可能なマスクをスピーディに量産化
- WISE、Moldex3Dにより引き出しスライドレールの要求寸法を達成
- STマイクロエレクトロニクスはMoldex3Dを使用してICパッケージングプロセスの最適化を実現
- SABICはMoldex3Dを使って2K-ICM製品の外観を最適化
- IDEMI、Moldex3Dにより新型コロナウイルス対策用フェイスシールドを検証
- Blackcad、Moldex3Dによる新型コロナウイルス対策用フェイスシールドの製造に成功
- 最短時間で最適な製品形状設計を見つけるには
- タブレットのバックパネルのそり変形を92%改善
- 部門間をつなぐビッグデータ管理プラットフォーム(Moldex3D iSLM)
- 独ケムニッツ工科大、Moldex3Dを用いた熱硬化性射出成形の壁面滑り現象の研究
- Moldex3Dを用いる事により成形歩留まり率を改善!
- 反り変形予測の定量評価に重要な粘弾性特性
- Moldex3Dにより車窓のガラスランチャンネルの変形を解決する方法を特定
- Moldex3Dによるコンフォーマル冷却回路の最適化で冷却効率が70%向上
- 炭素繊維配向の応力シミュレーション解析によりハンマータッカー製品の構造強度が向上
- 微細形状を持つ製品の流動評価
- Moldex3Dを使用して自動車部品の冷却時間を67%短縮
- CAE検証例:炭素繊維テープによるプラスチック製船舶用プロペラ構造の強化
- Berry PlasticsはMoldex3Dにより「時は金なり」であることを実証
- マルチコンポーネント成形:厚みのある光学製品の冷却時間を55%短縮
- コンフォーマル冷却回路の有効性を検証することでUSB外装部のサイクルタイムを短縮
- Moldex3DとANSYSの組み合わせによりガラス繊維のポリ乳酸製品構造に与える影響を検証
- CAEツールを利用したカメラレンズ筐体の真円度改善
- ACER社:Moldex3Dを活用し軽量・薄型タブレットを製造
- Moldex3Dを使用してLED製品の最適化を行い、金型製作コストを11,500米ドル削減
- Moldex3Dによる車載ナビゲーション機器部品の変形問題の解決例
- Moldex3DとLS-DYNAを統合し、スキャナーパーツの反り変形という難題の改善に成功
- Moldex3D成功例:反り変形抑制とサイクルタイム短縮例
- Moldex3Dと構造解析ソフトの統合 ― 反り変形の解決
- Moldex3D適用事例 −ガスアシスト・ワックスインジェクション成形の研究成果
- Moldex3Dにより光学製品の精密成形工程を最適化
- Moldex3D DOEによるパラメーター設定の最適化:部品品質の向上
- Moldex3D Advanced & Optics Module:ウェルドラインの解消
- Moldex3D eDesignを活用したウェルドライン改善の事例
- 樹脂流動解析と構造解析の連成事例
- 新繊維配向アルゴリズム(iARD) 〜長繊維配向の予測をより高速に、より高精度に〜
- 粉末射出成形「PIM」の紹介
- インサート成形用コアシフトシミュレーション(FSI)
- 3Dプリンター(レーザー焼結方式)を活用したコンフォーマル冷却による品質向上の事例
- ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
- ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。