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[解析事例] Moldex3D粉末射出成形シミュレーション:ジルコニアインプラントの反り改善

事例カテゴリ
特殊成形/最適化

粉末成形における最適化評価

導入企業様 プロフィール
顧客名: 国立高雄応用科技大学
国: 台湾
分野: 学術研究・教育
解決方法: Moldex3D AdvancedPowder Injection Molding ModuleMulti-component Molding Module

国立高雄応用科技大学(高応大)は台湾の経済発展に伴い需要が増加した技術のプロを育成するため、台湾省立高雄工業専科学校として1963年に創立されました。2000年に4年制大学に移行し、現在の名称へと変更。2012年には教育部が推進する「発展モデル科学技術大学計画」学校に選出されました。(出典 )

概要

粉末射出成形(PIM)は複雑な製品の製造によく使用されており、今回取り上げる一体式ジルコニアインプラントもその一例です(図1)。このセカンドショットの射出成形工程では反りと収縮の問題が発生します。そこで、今回は、タグチメソッドを用いて工程パラメーターの最適化を行った事例をご紹介します。反り変形の改善と体積収縮の低減により、粉末濃度の均一化を図ります。Moldex3Dを用いて充填・保圧・反り変形解析を行い、工程パラメーターによる製品品質への影響を評価します。

図1. 一体式ジルコニアインプラント製品。左図:セカンドショット、右図:ファーストショット図1. 一体式ジルコニアインプラント製品。左図:セカンドショット、右図:ファーストショット

課題

  • ・セカンドショットの成形品の寸法ばらつき
  • ・不均一な粉末濃度

ソリューション

Moldex3D Powder Injection Molding(PIM)とMulti-component Molding(MCM)モジュールを使用しました。成形不具合の予測を行い、さらにタグチメソッドを用いて最適な工程パラメーターを決定し製品品質の向上を図りました。

メリット

  • ・反り変形の低減と粉末濃度の均一化
  • ・ファーストショットの製品品質が12.12%向上、セカンドショットの製品品質が59.03%向上
  • ・金型修正の工数・コストの削減
  • ・製品開発期間の短縮

ケーススタディ

本事例の目標は、焼結前の部品に生じる収縮と粉末濃度の均一化です。高応大グループはMoldex3Dを使用して、適切なマルチコンポーネント成形(MCM)の製造工程パラメーターを検討しました。

まず、Moldex3D粉末射出成形モジュールを使用し、初期設計の成形条件で解析を行いました。セカンドショットの部品の解析結果で見られた不均一な体積収縮は深刻な反り変形を生じさせるため、製品の構造強度に影響を与える可能性があります。

次に、タグチメソッドを使用して充填時間、保圧圧力、金型温度、溶融温度などの成形パラメーターを決定しました。タグチメソッドの直交表がこの4項目に対して提示する3つのレベルから、一体式ジルコニアインプラントの製造に最適なパラメーターを決定し、解析を実行しました。最終結果から、製品の反り変形が大きく減少したことが確認できました。ファーストショットの反りは0.488 mmから0.145 mmに、セカンドショットの反りは0.059 mmから0.022 mm(Fig. 2、Fig. 3)に低減しました。粉末濃度も均一になりました(図4、図5)。製品全体の品質が改善され、金型修正の繰り返しによるコストを低減する事ができました。

図2. 初期設計の反り変形解析結果。左図:ファーストショット、右図:セカンドショット図2. 初期設計の反り変形解析結果。左図:ファーストショット、右図:セカンドショット

図3. 最適化設計の反り変形解析結果。左図:ファーストショット、右図:セカンドショット図3. 最適化設計の反り変形解析結果。左図:ファーストショット、右図:セカンドショット

図4. 初期設計の粉末濃度解析結果。左図:ファーストショット、右図:セカンドショット図4. 初期設計の粉末濃度解析結果。左図:ファーストショット、右図:セカンドショット

図5. 最適化設計の粉末濃度解析結果。左図:ファーストショット、右図:セカンドショット図5. 最適化設計の粉末濃度解析結果。左図:ファーストショット、右図:セカンドショット

結論

高応大グループはMoldex3Dによるシミュレーションを通して、実際の製造前に寸法の変位差異、反り変形問題、粉末濃度の改善に成功しました(表1)。タグチメソッドにより最適な製造工程パラメーターを決定し、ファーストショットの製品品質が12.12%、セカンドショットの品質が59.3%向上しました。Moldex3Dの利用により、製品設計段階で粉末濃度の均一化、製品品質の改善が可能となり、試作金型コストの節約、製品の市場投入時間の短縮を実現しました。

表1. 部品品質に及ぼす初期設計パラメーターと最適化設計パラメーターの効果の比較

ファーストショット(中心)

反り変形 (mm) 粉末濃度標準差 (%)
初期設計パラメーター 0.165 - 0.002 STD 1.089
最適化設計パラメーター
(Taguchi method)
0.145 - 0.002 STD 6.1 E-5

セカンドショット(外層被膜)

反り変形 (mm) 粉末濃度標準差 (%)
初期設計パラメーター 0.0454 - 0.0001 4.941
最適化設計パラメーター
(Taguchi method)
0.0186 - 0.0004 STD 4.2E-4

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
  • ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。

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