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[解析事例] MDによる比誘電率の評価

全原子MD
光学・電気・磁気
マテリアルサイエンス

分子構造が比誘電率に与える影響を計算

目的と手法

水、オクタン、ベンゼン、エタノール、メタノールの300Kにおける比誘電率を全原子モデルのMD計算により評価しました。水はSPC-FWモデルを使用し、その他の分子はJ-OCTAでのモデリングを行いました(力場はGAFFを用い、電荷はMO計算により求めた値を付与しました)。それぞれの分子で単一組成の系をそれぞれ作成しました。なお、粒子数が700個程度となるように分子数を決定し、境界は周期境界条件としました。 MD計算には弊社ソルバーである「VSOP」を使用しました。
NPTアンサンブルによる300KのMD計算を実施して緩和状態とした後、さらに計算を実施して誘電率評価用の時系列データを取得しました。誘電率の算出には以下の式を用いています[1]。

誘電率の算出

解析結果

MDにより推算された比誘電率の実験値との比較を図1および表1に示します。シミュレーションの結果は実験結果に近い値となりました。ただしオクタンおよびベンゼンのように分子内の電子の偏りが小さい物質では比誘電率が低く評価される傾向が見られます。

MDによる比誘電率の推算値と実験値の比較 図1. MDによる比誘電率の推算値と実験値の比較

表1. 密度および比誘電率 MDによる推算値と実験値
  ρMD [g/cm^3] εMD[-] ρexp [g/cm^3] εexp[1,2,3] [-]
water 1.01 77.7 1.00 88.2
octane 0.69 1.06 0.70 1.95
benzene 0.85 1.04 0.88 2.28
methanol 0.83 35.2 0.79 32.6
ethanol 0.82 22.1 0.79 24.3
  • ●参考文献
  • [1] N. Yoshii, S. Miura, S. Okazaki, Chem. Phys. Lett. 345 (2001) 195-200
  • [2] 理科年表 2005 丸善
  • [3] 化学便覧 2004 丸善

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