J-OCTA事例:mol-inferを用いたQSPRの逆解析
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物性値から分子構造を予測
分子構造や結晶構造から物性を予測するQSPR(定量的構造物性相関)は、機械学習を用いてよく実施されています。ここでは逆解析、つまり物性から分子構造を予測します。J-OCTAでは、京都大学の永持研究室で開発しているmol-inferとのインターフェイスをとっています[1]。
mol-inferでは、まず人工ニューラルネットワーク(Artificial Neural Network: ANN)を用いて分子の構造から物性を予測します。つぎに、ANNの逆演算を混合整数線形計画法(Mixed Integer Linear Programming:MILP)によって解くことで、ANNだけでは不可能な、逆向きの演算を実行できるようになります。
図1はテスト計算に用いた分配係数のデータです。まず、分子構造と物性の関係について、1297個のデータを用いて学習させます。
図1. mol-inferのターゲット物性(分配係数=10.0)
次にMILPを用いて逆演算を行います。この際、分子構造の種となるグラフ構造と、官能基に相当するツリー構造を用意しておき、これらを用いて分子構造を推定します(図2)。
図2. シード構造(左)とツリー構造(右)
結果として図3の構造が得られました。ここでは構造異性体についても取得されています。得られた分子構造について再度順方向の物性推算を行うと、分配係数の値は9.8となり、得られた分子構造はターゲット物性をほぼ満たしていることが示されました。
図3. mol-inferで得られた分子構造
- *参考文献
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- [1] Int.J.Mol.Sci.,22,2847,(2021)
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