相図からのχパラメータ推算 ゼオライトへのガス吸着 | J-OCTA解析事例 | CAEソリューション:株式会社JSOL
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[解析事例]ゼオライトへのガス吸着

全原子MD
低分子の浸透・拡散・吸着
マテリアルサイエンス

NaYゼオライトに対するCO2分子の吸着等温線の計算

目的と手法

ゼオライトやMOFなどの多孔性物質は触媒機能やガスの吸着特性が着目されています。近年では温室効果ガスの排出削減が望まれている中で、混合ガス中のCO2を捕集するといった応用が期待されています。

ガス分子の吸着等温線はガスの圧力\( P \)に対して平衡吸着量\( N \)をプロットしたものであり、ゼオライト中の分子の自由エネルギーと関係しています。J-OCTAのsolubilityモジュールでは過剰自由エネルギーを計算することができるため、計算モデルに含まれる\( N \)分子と平衡状態にあるガス状態の分子の圧力\( P \)が以下の式を用いて計算することが可能です。

\( \mu \)ex,zeo \( (N) \) + \( kT \) ln\( ( \)\( \rho \)zeo \( (N) \)\( ) \) = \( \mu \)ex,gas + \( \mu_0 \) + \( kT \) ln \( (P/P_0) \)

\( \mu \)ex: 過剰自由エネルギー

\( \rho \)zeo: ゼオライト中の分子密度

\( k \): ボルツマン定数

\( \mu_0 \): 参照圧力でのガス分子の自由エネルギー

\( P_0 \): 参照圧力

ゼオライトはSiの一部がAlに置換された構造を持ち、その際に電荷中性を満たすために種々の陽イオンを内包します。ここではFAU型でNaが含まれるNaYというゼオライト(Si/Al〜2.5)について吸着等温線がどのように変化するかについて検討しました。計算で使用した力場パラメータは先行研究*より取得しました。

ゼオライト(NaY)の構造とCO2拡散領域

図1 計算に用いたモデル
図1 計算に用いたモデル

解析結果

NaYゼオライトに対して、CO2分子の吸着等温線を計算しました。
計算に用いたNaYゼオライトのモデルではAlサイトが54あり、54個のNaイオンを内包します。(図1) CO2分子は図中の黄色で示された領域を移動します。

図2に吸着等温線の計算結果を示します。ガスの圧力の上昇に対して吸着量が増加するふるまいが確認されました。
温度が変わった時の挙動についても検討し、高温ほど吸着量が下がる傾向が確認されています。吸着量の絶対値については実験結果*と乖離がみられますが、これは自由エネルギーの計算手法の違いによるものと考えられます。

図2 吸着等温線の計算値(左)と実験値*(右)図2 吸着等温線の計算値(左)と実験値*(右)

*引用文献
  • A. Garcia-Sànchez et al., “Transferable Force Field for Carbon Dioxide Adsorption in Zeolites,” J. Phys. Chem. C, vol. 113, no. 20, pp. 8814-8820, May 2009.

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