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[解析事例] J-OCTAによる蓄熱材の評価

全原子MD
マテリアルサイエンス

糖アルコールの融解潜熱計算

目的と手法

糖アルコール蓄熱材の性能を評価するために、J-OCTAを用いて分子シミュレーションによる潜熱評価を実施しました。対象分子はマンニトールとしました。マンニトール(C6H14O6)の結晶構造はCrystallography Open Database (COD)( http://www.crystallography.net/)より取得したCIFファイルを用いました。力場、電荷は先行研究[1]のパラメータを用いています。

分子動力学法を用いて融点での潜熱を求めました。まず、結晶状態から各温度に温度ジャンプを行い、その後一定温度で融解するかどうかを確認します。融解した最小温度を融点として、その融点での結晶状態でのエンタルピーと溶融状態でのエンタルピーの差を融解潜熱とする。アンサンブルはNPT_Parrinello_Rahman_Nose_Hooverとし、X,Y,Z軸のセルサイズをそれぞれ独立に圧力制御しました。温度は300Kから500Kとして、各温度で1nsの計算を実施し、1nsの間で融解するかどうかを確認しました。

図1 (左)マンニトールの単位結晶モデル、(右)計算モデル図1 (左)マンニトールの単位結晶モデル、(右)計算モデル

解析結果

密度変化から融点は440Kと確認できました。融点ではモデルの構造が大きく変化することが目視でも確認できました。各温度における密度と融解前後での構造変化を図2に示します。
また、各温度でのエンタルピーの結果を図3に示します。融点440Kでのエンタルピー変化から融解潜熱は196.8kJ/kgという結果が得られました。実験での融点は440K、融解潜熱は290kJ/kgで、融点については非常に良く合っていますがが融解潜熱はやや低い値となりました。

図2 各温度における密度結果と融点前後の構造変化図2 各温度における密度結果と融点前後の構造変化

図3 各温度でのエンタルピー結果図3 各温度でのエンタルピー結果

*参考文献
  • [1] H. de Waard J. Phys. Chem. B 2010, 114, 429-436
  • [2] 稲垣、石田、 潜熱蓄熱材としての糖アルコールの理論的物性解析 分子科学討論会予稿 2014

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