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[解析事例] 蒸着膜のシミュレーション

全原子MD
界面・相分離・粒子分散性
マテリアルサイエンス

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事例データDL

有機ELをターゲットとした蒸着プロセスのシミュレーションをMDで実施

目的と手法

蒸着による製膜方法は有機ELなどの有機デバイスの作成方法として一般的に使われています。
分子の形状によって蒸着膜の中の分子の配向性が変わることが知られており、これはデバイス特性にも影響することが知られています[1]。

本事例では、有機デバイスに用いられる分子の形状と膜中の分子配向について解析するため、蒸着過程のシミュレーションを行いました。基盤(Agスラブ)に対して、分子を繰り返し配置してMD計算を実施することで蒸着膜の形成過程を模擬しました。計算に用いたのはTPDとBSP-Czと呼ばれる分子で、後者はより直線状の形状を持っています。
力場は分子についてはUFFを、Agについては文献[2]で報告されているパラメータを用いました。温度は300Kでシミュレーションを行い、最終的には100分子から成る蒸着膜を作成しました。

図1. モデリングAPI図1 上:計算に用いた2種類の分子。
下:TPDの蒸着シミュレーション((左)初期、(右)後期)

解析結果

蒸着シミュレーションで作成された2種分子の蒸着膜の構造と、膜中の分子の配向を解析した結果を図2に示します。配向秩序パラメータPは以下の式で表されます。P=1では参照軸に並行、P=-0.5では参照軸に垂直な配置であることを示します。今回はz軸を参照軸として各分子の配向秩序パラメータPを算出しましたので、P=-0.5では基板に並行な配置であることが分かります。

\(P = (3 \cos( \theta )^{2} - 1)/2\)

解析の結果、BSP-Czの方がZ軸に垂直(基板に並行)な配置を取りやすいことが分かりました。

図1. モデリングAPI図2 左:配向秩序パラメータの解析結果。
 右:各分子の蒸着膜の構造(上:TPD、下:BSPCz)

*参考文献
  • [1] D. Yokoyama, Journal of Materials Chemistry, 21, 19187-19202, (2011)
  • [2] H. Heinz, et al., J. Phys. Chem. C, 112, 17281-17290, (2008)

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